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リレー小説 『双子の天使 ~不幸な運転手~』  作者: 総勢17名によるリレー小説
1/7

天使が来たりてかき回す 【1】~【5】

この作品は、複数の書き手さんがリレー形式で物語を書き綴って行く手法で完成させたものです。

各パートの【数字】の右横に書かれているのが、そのパートを書いてくれた作者さんの名前です。

最終的に、総勢17名の方が参加して下さいました。


作品の成立過程は、下記の活動報告でご覧いただけます。

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1054237/blogkey/2560216/



別々の人が書いたパートがこうやってつながって、一つの読み物になると、特有の面白さが生み出される、という事に、読んだ方はすぐに気が付かれる事でしょう。

相互に刺激と影響を受けながらの、荒い部分や矛盾もありながらの、即興に継ぐ即興のスリルと妙味。これは、一種の、文章によるジャムセッションなのです。


タイトルの副題、『不幸な運転手』は、黒イ卵さんが考案してくれました。物語の執筆序盤で考えてくれたんですが、完成したバージョンの副題としても、シュールで面白い効果を発揮しているのではないかと思います。




【1】Kobito


おせっかいな双子の天使、ヒルダ(女の子)とヨルダ(男の子)が、今朝は、動物たちが暮らすトンキョウという大都会の街角に、ふらふらと舞い降りて来ました。




【2】家紋 武範さん


「うひひひひ、困ってる人がたくさんいるぞ。やっぱり下界はいいなぁ。天国とはまるで違う」

「下品な笑いね。ヨルダ。困ってる人を助けるのが私たちの仕事じゃない」


喜んで手を擦り合わせるヨルダをヒルダはたしなめます。すると前からこまり顔のクマさんがやって来ました。


「困った。困った。今日はデートなのに遅刻しちゃったぞ。彼女怒ってるだろうなぁ」


二人はさっそく顔を見合わせました。


「困ってる人は見過ごせない。天使の力で助けてあげる!」


ヒルダとヨルダの合体魔法が煌めきます。たちまちクマさんは車にはねられました。


「これで彼女に言い訳できるね」

「ほんと。人助けって気持ちがいいわ」




【3】暮伊豆さん


困ったのは車の運転手さんです。

巨大な灰色熊なんかにぶつかったために車は廃車になってしまいました。

無理してローンを組んでまで買ったフェラーリF40だったのです。

もちろん無保険です。

途方にくれています。

どこかに救いの天使はいないものでしょうか?




【4】ねぎさん


「だありいいいいいいいいいいん!!!!!!」


もはや運を天にまかせて神に祈りをささげた運転手さんの前に、またも巨大な灰色熊(ピンクのリボンつき♡)がとびだしてきました。


二足歩行です。

前の熊の三倍はあります。

え、俺、神は神でも死神よんじゃった?


運転手さんが「Oh my Go……死神って英語でなんだっけ?」と考えていると、「うひひひひ、またも下界の人助けゲットぉ!」「ヨルダ、言葉づかいと笑いかた!」とかわいらしい子どもの声がきこえました。


次の瞬間、廃車になったフェラーリF40はキレイに消え失せて、運転手さんと同じ背丈くらいの小さな灰色熊がぽかんとその場に立ちつくしていました。




【5】菁 犬兎さん


大事なフェラーリF40を失い、残されたのは一銭も支払いを終えていないローンのみ。


運転手さんは絶望に打ち拉がれて膝を突き顔を手で覆い泣き始めてしまいました。


「あら?駄目だったみたい」

「そうなの?ちょっと待って」


ヨルダはメソメソ泣いている運転手さんの耳元でソッと囁きました。


「隣街では熊の剥製がそれは高価な値段で買い取られているらしいよ?」


気がつくと彼の手には狩猟用の麻酔銃が握られていました。


運転手さんはチラリッと隣にいる灰色熊に視線を動かしました。

すると、お互い目が合い二人は同時に視線を逸らしました。



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