第一節 幕開ける鏡と鮮血 ☆
挿し絵アリです(*‘ω‘ *)
○月◇▲日、天晴れなほどの青空が広がる秋晴れの日、
「どうぞー、見ていってくださーいっ!」
騒がしい、
「いらっしゃいませー!!」
煩わしい、
「みたらし団子200円だってぇ、行かない?」
「いいな、行こうか。」
ウザったい、…と、今日も今日とて通常運転なオレは悲しいほどボッチだった。別にボッチが嫌なわけじゃないけど。ないけどっ。(大事なので二回言った。)今日はボッチなりに楽しみにしていた文化祭、なの、だが…、やっぱり疲れる。出店は楽しみなのだが、人混みはパスしたい…。全く、一年に一度だからってみんな浮かれちゃって、と、呆れた後で人をよけながらオレは考え直した。オレも人のことは言えないけれど…。
「とりあえず避難…」
そういいながら“いつもの場所”へ茶化しに出向く。ガラッ扉は開かれた。そこには美人とは言い難い残念な養護教諭が1人。残念だ、全くを以て残念だ。セクシーな保健室の先生なんて夢幻なのだろう。それはおいておいて。彼女はオレを見つけるや否やあきれたようにこんなセリフをいい放つ。
「こんな日まで来なくていいわよ、どうせ体調が悪いわけでも怪我でもないんでしょう?今、出店を見て来ようとおもってたとこなのよ。あなたも友達とまわってきなさい。」養護教諭が保健室ほっぽりだしていいのかとつっこみたいがこらえよう。
「今の先生のセリフで心に重症を負いました。オレに友達なんていません。すでに知っておられるはずですが?嫌味なのですか?それともエア友達と会話しろと…」
「ああ、ごめんごめん、わかったわかった、いやぁ昨日とかにサクッとできてたりするかなと」
「あり得ませんっ!!」
軽口をいつも通りたたきあう
「まっ、ここにいてもいいけど私はちょっと行ってくるからあとよろしくね」
おいっと言いたげな顔をオレはした。がらっ
「先生っ榊さんが演劇中に舞台から落ちちゃってっ」
女子生徒は慌てたように担ぐ隣の女子生徒を見やる。
「全く心配しょうだなぁ、大丈夫だっていったのに…」
対して怪我しかかもしれない本人は落ち着いていた。
「じゃあちょっと見せてくれる?」
そういって白衣は動く。さて、こうなったら話し相手もいなくて暇だなあ、
「先生ちょっとまわってきますね。」
「えぇ。」
ガラリと開け、そうっと閉める。さてどうしたものか行くあてなどない(避難場所)。出店はどうしたかって?見てまわるだけと心に決めている。そして、目的はすでに午前のうちに済まされていた。オレの国庫資産はいつも赤字財政だからね。と、乏しい懐を探っているとキラリッと光るものが見えた五百円硬貨が一つ侘しそうにガマ口の腹の中でチョコンッと鎮座していた。ドガッ、チャリーン
「スミマセーン」
と女子生徒が走り去った。たくっ、ぶつかって行くなよ。……?……チャリーン?あれ、ない…、気がつくとソレは口の中から吐き出されていた。辺りを見渡したところソレらしいモノがキラリと廊下の姿見の下で光った拾おうと手を伸ばしたところソレは鏡に吸い込まれ…………???!!!!おい、待て。吸い込まれた!?見間違いではない確かにそこにあった“ブツ”はきれいさっぱり消えている。オレの全財産がぁぁあああああっ!!!!オレはソレを取り戻そうと鏡を探ろうとし“冷たい銀色”に触れたその途端世界は暗転した。パリーンッと、何かが割れた音がした。そして少年をそれから見た者はいない。“ココ”では。そう“ココ”で彼の消息は一度途絶えたのだ。何の因果かその事象は起きた。いや、起こされたのだ。おお、神は残酷なりや然して慈悲深い。…否、断じて否である。これは神の御業にあらず、人の所業なのだ。「人」、彼を「人」と呼ぶことは誤りなのかもしれない。なぜなら「彼」はただの人間ではないのだから…。かくして少年は混沌に身を投じることとなったのである。そして鏡は割れた。
「うお○×▲□!?」
少年の目前に虹色の空間が広がった刹那、風景は穏やかな雑木林の中の丘陵地に変わっていた 「やぁ、こんにちは☆初めまして」突然声をかけられておののく。
「!!??」
振り替えると銀髪ゆるふわロングヘアー金眼の美少女がたっていた。え、なにこれ異世界ラブコメ冒険譚始まっちゃうの!?とはやる気持ちを抑え…でなく、異世界にいきなり来ちゃって不安な気持ちを!、を!!抑えつつ美少女をまじまじでなく、軽く目線を投げかけた。美人だ。かわいい、素晴らしい、もう運命かなと思った。しかし彼女の胸位は貧相…失敬、大丈夫、ノープログレム、オレは貧乳も愛しているので問題ない。
「あの~、もしも~し!聴いてるかい?」
「どぁっ、あ、え、き、聞いてるけど!?」
まずい、オレの思考回路だけが未来に進んじゃうとこだったゼ、フッ、とやはり脳内だけが進む。「あの、ここがどこかとか聞きたいよね?」「え、あ、まぁ聞きたいけど、とりあえず君は?」
「ああ、僕?僕はティナ、よろしくね」
僕っ娘かわいい…。
「オレはキョウ、あ、いや、そうじゃなくて君はここがどこか知ってるの?」「う、うん、知ってるよ。ここは君の世界とは違う世界、魔剣と共に歩む世界だよ…う~ん、まぁアナザーワールドと考えてくれてるかな?」
「だいたい察した!けど察せない!」
「!?どっちなんだい?!」
「剣がどうとか言われてもわからない」
少女は頭を抱えた。
「う~ん、説明が難しいなぁ」
「簡潔に言うと君がオレをここに呼んで世界救ってくれてきなかんじなわけ?」
少女はたじろいだ。
「っ!?ち違うよ!!…あー、いや、違うわけじゃないけど…ぅ」
「君こそどっちなんだい…。」そうこうしているとヒューーンッと音がなり何かが降ってくると同時にドガァンッという地響きと共に粉塵が舞い上がり巨大な何かがうごめいた
「どぁっ、なんだこれ」
黒い影は粉塵が薄れるのをまたずに動きだし、その全貌を露にした。ごわごわした毛のたくさん生えた体に、鹿のような角を頭部にすわええーと、とりあえずタヌキの鹿の角生えた版みたいなのがいきなり少女に襲いかかってきた。それをかわすというよりよろけて逃げる少女が
「モ、モンスターだっ!!助けてぇっ!」
とオレを盾にしてすがってきた。何このシュチュエーションっ!?最高ぉなのか!?いや、落ちつけっ。彼女が危険な目にあっているのはもちろんなのだがっソレはオレも同様なのだ。
「どうやって助けるんだよっ!?」
というかですね。こんな最高のシュチュエーション味わっちゃってもう死んでもいいかな、てか、下心を神様に咎められて天罰で死ぬかもぉお。モンスターはさらにオレにも襲いかかってくる。
「っ!!」
間一髪でかわすがすがりつかれて動きずらい。どうするっ??!!
「食べられるっ、お願い、助けてっ死にたくないよぉお」
彼女はパニックに陥って泣きじゃくっている。
「オレがっ…」
オレが助けないとっ!!彼女はオレに助けを求めているんだ!!ならっオレが彼女を助けないでどうする!!!!そう思った瞬間オレの右手に輝くモノが現れ、ソレは光の粒子から剣へと姿をかえた。手には刃が握られている。(汝は今このときよりこの世界の住人となりしモノ、その刃をもって己が道を切り開き、破滅したること必定となりし事象を切り捨てん)剣を手にした瞬間そんな言葉が聞こえた気がした。オレは迷わずソレを振るい、モンスターを斬った。真っ二つに。
「やった!?倒した!!?」
「あわっわ、すごい切れ味。か、可哀想…。」
少女は気分が悪くなったようだった。
「ありがとう、ごめんね?本当は僕がナビゲーション係としてアシスタントしないといけなかったんだけど…?」
彼はしばらくぼうっとしていた。自分が今おこなったことが信じられないようであり、地面に倒れた直後に黒い灰になったかつて生命活動をおこなっていたであろうソレをただただ見つめていた。彷彿とし、ソレを切断した“モノ”は再び粒子となって虚空に消え去ったことにさえ気付かない彼に少女は薔薇色の唇で
「あのぅ、聴こえてるかい?キョウ君?大丈夫?」と、鈴の音のような声で問いかける。そう、少女はたじたじしながらなぜか“ソレ”を口にしていた。
「え?…は?あっ、うん、て、えぇ!?何で“ソレ”知ってるの?!」
この少女は一体本当に何者なんだ!?。この時やっとオレの思考はまともになった。ラノベの読み過ぎだったなと反省しつつ、改めて白い少女を疑惑の目で見やた。
「え、う、うん、し、知ってるよ!ぼ、僕は君のナビゲーション係として世界に選ばれたんだからっ!!そ、そう君がさっき言ったようにこの世界を救うためにね!!」
どうしよう、胡散臭くなってきたな…。でも、まぁ…他に頼れそうな人いないしなぁ。
「と、とにかくっ…!」
と、少女が何か伝えようとした時、「貴様らっそこで何をしているっ!?なっ、ゼムセプトを一太刀だと!?」いきなり謎の金髪のショートヘアーで翠眼の女騎士が現れなぜかこちらにさっきオレが出したような剣を向けた。
「なっ!?」
何でだよおぉ!?もう泣きたい。帰りたい!!それとさっきのモンスターそんなカッコいい名前だったの!?「貴様ら見ない顔だな?、ゼムルスの者か?!」と睨み付けながら切っ先はオレの首に今にも刺さらんばかりである。ゼムルスって何でだよ?!すると少女が口を開いた。
「ぼ僕たちは異世界からの旅人なんだだから君の言っている"ゼムルス"が何かよくわからないのだけど」いやいや、ちょっとまとうか?君、さっきまでオレのナビゲーション係がどうこう言ってなかったかい?まぁ話が複雑になるといけないので言わないけど…と、オレは口をつぐんだ。「旅人?ほう、そうか異世界からの旅人か」そう言うと騎士は剣を納め…ビュッ、え、
「ゴハッ、なっ!?」激痛が走る。突然のことで訳がわからないオレは恐る恐る痛みの根源に目をやるとオレの腹腸が在るべき場所から零れ出していた。赤い、紅い、意識が遠退く。
「そんなっ、どうして!!??本当に僕たちは旅人でっ」
彼女は目に涙を浮かべながら必死で紅い騎士に訴えかける。ダメだ…もう、…紅く染まる地面に突っ伏しながら、朦朧とし、黒い幕を落として行くオレの瞼が閉じていく。薄れ行く意識の中で白い少女の黄色い悲鳴が聞こえた気がした。
続くつまりカミングスーン