【漫才】夢があってさ〜
二人「「はい、どうも〜◯◯【コンビ名】です」」
ツッコミ「いきなり前置きなしで悪いんだけど、俺昔から寿司職人になってみたかったんだよね」
ボケ「……そうか」
ツッコミ「それでさ〜、今から実際に―」
ボケ「-ないだろ」
ツッコミ「へ?」
ボケ「なら、こんなとこで俺と漫才なんてしてる場合じゃないだろ‼︎」
ツッコミ「は?」
ボケ「もっと早く教えてくれたら良かったじゃねーか! 水くせーよ。俺、そんなこと知らないでお前をお笑いの世界に誘っちまった。俺、お前の人生を狂わせちまってたなんて知らなかったんだ。すまねー」
ツッコミ「いや、これ漫才で定番の-」
ボケ「もう漫才はいいって言ってるだろ‼︎ここは俺の一発芸で間を持たせておくからお前は早く寿司屋に弟子入り志願してこい‼︎」
ツッコミ「いや、お前の一発芸この前合コンでも死ぬほど滑り倒してたじゃねーか」
ボケ「あの合コンもお前の為に高級寿司屋とかでやればよかったな」
ツッコミ「いや、それどんな合コンだよ。もうそれ上級国民のお見合いの席とかだろ」
ボケ「うるせー‼ 御託はいいんだよ‼ お前は早く寿司職人になる夢叶えて来いよ‼」
(ツッコミが渋そうな顔をして、このままじゃ話が進まないなと悟る)
ツッコミ「分かった。俺、寿司職人になるからさ。でも、その前にいきなり店に弟子入りするのも怖いだろ? だから、俺と一緒に寿司職人の世界のシミュレーションをしてくれないか?」
ボケ「そんなことしてる暇があったら、YouTubeでも見て、少しでも寿司の握り方でも研究した方がいいんじゃないのか?」
ツッコミ「お前の寿司職人の認識も大概だな。いや、そういう技術は店で学べばいいやん。俺、人見知りだから強面の大将とか出てきたら緊張してまともに受け答え出来なくなるかもしれんから、シミュレーションしたいんよ」
ボケ「すまねー‼」
ツッコミ「⁉」
ボケ「お前が人見知りなんてしらなくて、沢山のお客様の前で漫才させてたなんて、俺もうお前になんて言ったら……」
ツッコミ「いや、それは、これもお笑いの前振り―」
ボケ「お前が転校初日の自己紹介で『夢はナンバーワンホストになることです』って言ってたから、俺はてっきり大して顔もよくないのに見知らぬクラスメイトたちの前でそこまで言うなんてよっぽどコミュニケーション能力があって話し上手で人見知りとは無縁の存在とばかり思ってたんだ」
ツッコミ「ちょっ、お前そんなこと思ってたんか!」
ボケ「なんで、あの時、寿司職人になりたいって言ってくれなかったんだ。ホストはどれだけ努力してもお前の顔面じゃ無理だろうってお笑いの世界に誘ったんだよ。寿司職人なら、家庭科の時間いちょう切りの上手かったお前ならきっとなれるよ」
ツッコミ「お前、さっきからちょいちょい寿司職人への認識舐め腐ってんな」
ボケ「まぁ、お前の最後の頼みだしな。そのシミュレーション、付き合ってやるよ」
ツッコミ「これでやっと話が進むわ」
(ツッコミが『がらがら』と口で言って店に来店する様な動きをする)
ツッコミ「すみません。俺をここで働かせてくれませんか」
ボケ「この仕事は甘くないぞ。下積みも長い。それでもいいのか?」
ツッコミ「はい! 俺、本気なんで」
ボケ「そうか、俺は一切お前に技術は教えない。見て盗め」
ツッコミ「はい!」
ボケ「よし、なら早速チャンネル登録をだな―」
ツッコミ「いや見て盗めってそういうことかい! YouTubeはもういいって!」
ボケ「そうか? ここには指名ナンバーワンになる道が全て詰まってるんだけどな」
ツッコミ「って、ホストのシミュレーションかよ! もうやってられんわ‼」
二人「「どうもありがとうございました」」