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八十七話

昼休み、俺は校舎裏に1人で佇んでいた。


校舎裏といえば絶好の告白スポット。。ということもなく。園芸部の花壇があるだけで妙に寂しげなスポットなのだ。


通常であれば花があれば寂しげなスポットどころか華やかな感じさえするかもしれないが、実際園芸部が植えているのが食虫植物であることが問題だったりする。


しかも、部長が勝手に育てているらしい。


そして、彼女の言い分が


『家で可愛い娘《食虫植物》を育ててたら親に怒られたから、これはもう学校で育てるしか無い』


という謎理論に基づくものだったのだから余計にタチが悪い。


まぁ、そういう理由でここは俺の中では考え事にはピッタリなスポットと化していた。


で、考え事の内容はモチロンこれだ。


『トモヤとは踏み込んで今までよりももっと仲良くなれた。しかし、凛花はどうだろうか?』


いざ踏み込むとなると度胸が出ない。


それはトモヤと違い女の子だからということもある。ただ、話はそう単純な事ではなかった。


俺は目を瞑り、空を見上げた。


脳裏に浮かぶのは彼女と出会ったかけがえのない思い出達。そして、考えまいとしていた事。


自分の決断が2人の関係性を劇的に、、不可逆に変えてしまうのだろう。そう考えると臆病になってしまうのも無理からぬ事だった。


しかし、俺はもうとっくに決めていたのだ。

俺は踵を返して教室に戻っていく。


今、彼女は教室にいるのだろうか?

不安混じりの期待を抱えて小走りで教室に戻る。


しかし、道中、委員長に見つかって、説教を受ける羽目になってしまったのだった。


まぁ、『廊下を走らないように。』なんて小学生でも知っている案件でだけど。





そして、放課後。


「なぁ、凛花、、前から気になっていた事を聞いていいか?」


凛花と話そうとしたのはいいが、切り出し方が分からず、どストレートに気になっていた事を聞いてみた。


「どうしたの?そんなに真剣な顔をして」

張り詰めた空気を出し過ぎたのか、凛花が背筋を伸ばす。


「なぁ、凛花、、昔、2人きりの時、お互い、何て呼び合ってたか覚えてるか?」


俺が問いかけた瞬間、凛花は真顔になったが、その後、また普段の柔らかい笑みを浮かべた。


取り繕い損なっている‥‥


「ん?ん?あ〜っ、、、呼び合ってたね。う〜ん、忘れちゃった。」


ペロリと舌を出して謝る凛花は相当に可愛いらしかったが、俺は予想通りの解答に肩を落とした。



「それじゃ、俺がボッチの凛花を誘った時、凛花が何を言ったか覚えてるか?」



ちなみに答えは

『孤高の戦士は群れないものよ』だ。



「‥‥そんな昔のこと覚えてないよぉ。」


やはり更に予想通りの解答が返ってきて、今度はため息を吐きそうになる。というか、なんで今まで気付かなかったのだろうか?



「それじゃあ、それじゃぁ、「ごめん、帰るね。」」


凛花は俺の会話をぶった斬るように言葉を吐き出してから軽やかに逃走した。


まだ、日が高く、生温い風が頬をなでる。


しかし、それとは裏腹に俺の心には極寒よりも更に冷たい風がふくのだった。

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