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八十五話

翌朝、、カラスの鳴き声で目を覚ました。


「おはよ。どうしたの?お兄、知ってる?そんな真剣な顔してもイケメンには見えないんだよ。だから、普通にしてれば良いのに。」


弥生は相変わらず、一皮剥くまでは優しさが伝わりにくい毒舌を口にする。


まぁ、真剣な顔をしていたのには理由がある。

お嬢様、美奈さまと立て続けに話して気付いたことがあったのだ。


それは俺が人付き合いの経験が壊滅的に少ないということだ。


いや、まぁ、表面上の接客ならまだなんとかなる。しかし、踏み込んだ話になると本当にどうして良いかわからないんだよな。


まぁ、お嬢様と美奈さまだけなら、付き合いが浅い人間とはそもそもそんなに深い話をしなくていいという考え方も成り立つだろう。


じゃあ、凛花ならどうか?

トモヤならどうか?


胸に手を当てて考えてみても2人と深く何かを語り合った記憶がない。


うーん、、だからダメということはないんだけど、それで本当に親友なのかと胸を当ててみてもわからない。


いや、、、思い返せばトモヤはちょくちょく踏み込んでくれたりしている。そして、むしろ無意識に拒絶しているのは俺なのかもしれなかった。


今度は俺から‥‥臆さずに踏み込んでみるか。


俺は決意を胸に玄関を飛び出した。





「トモヤ、恋バナしようか。トモヤって好きな人居るのか?」


早速、教室で缶バッチに絵付けしてるトモヤに話しかけてみる。


ちなみに缶バッチに書いているのはディフォルメされたロバ、犬、猫、ニワトリが順に乗っかっている絵、レイヤードのエンブレムだ。


しかし、トモヤにジト目で見つめられた。

なにか選択肢をまちがえたことはわかったが。


リカバリー不能だ。

もう、撤退したい。


「ん?なんで、恋バナなんだ?あっ、、ミサミさサから推し変したのバレたってことか?」


「ん?推し変?ミサミサから誰に推し変したんだ?」


話が変な方向に‥‥


「葵ちゃんだぜ。葵ちゃんだぜ。」

何故か2度も答えてくれた。

大事なことだから2回答えてくれたってことか?



葵ちゃんと言えば、綺麗なのに天然なあの娘だよな?確かに母性豊かな胸とか、男心をくすぐるものはあるが、レイヤードの中では案外人気ランキング的には低い。


ちなみに1位はミサミサ。

どうやら普段のポンコツぶりとダンスの時のギャップが人気の理由らしい。


2位は結衣ちゃん。

結衣ちゃんは圧倒的なトーク力とあざと可愛さが理由のようだ。まぁ、唯一の小学生だし、ロリ枠も担っているのかもしれない。



3位はいちごちゃん。

明るくてハッキリした性格と乙女な一面のギャップで女子人気が高いらしい。


4位は意外や意外、ユッキーだ。

『ユッキーって誰だよ?』って思った人は2.5話を読んでみよう。というかこの人がランキングに入ってるのおかしいと思うのは俺だけか?


そして5位が葵ちゃんなのだ。

おっとり、天然の美人さんはあまりにテンプレ過ぎるのが原因なのかもしれない。


そもそも、ミサミサに葵ちゃん、2人も天然系が居るのによくうまくいってたよな。それこそヒゲオヤジの手腕なのか、それとも結衣ちゃんの手腕のお陰か?


もし後者なら、小学生に支えられているアイドルグループ、レイヤード、、、斬新なアイドル像なのかもしれない。




あれ?

しまった。

トモヤとの会話中だった。

正直に言って、全然踏み込めてないな。



「お〜い、トモヤ、嫁の話じゃなくて、リアルの話はどうだ?」

「はぁ、、、空気嫁」


えっ??

空気だと?


人間ですらない、、空気がリアル嫁なのか?


いや、まさか、そんな事‥‥。


でも、、、、、、ジェンダーフリーが叫ばれるこの世の中だ、愛の形なんて人それぞれだよな??


しかし、対象が男だとか女とか、哺乳類、、。いや、生き物だということも当てはまらない愛か。


やはり、トモヤはそんじょそこらの奴等とは人間としてのスケールが違いすぎるのだろう。


「そうか、、空気が好きなんだな。いや、理解できるとは言えないが、そう言う形もありだと思うぞ」


俺は精一杯の笑顔を浮かべる。


すると、爆笑されてしまった。


「ん?笑う要素あったか?」

「いや、シンヤが良い奴って事と、バカな奴って事は伝わったぞ。」


なんだか噛み合わなかったが、トモヤが妙に笑顔を浮かべるので、少しだけでも踏み込んで良かったのかもしれない。


あと2話分は書いてますので、近々あげます。

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