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八十一話

持ち前の配達スキルを駆使してなんとか警察を

巻いたのだけど、かなり時間を食ってしまった。


俺は搾りかすのような力まで使い、全力で地を蹴り続けたお陰で約束の5分遅れで待ち合わせ場所に到着した。


待ち合わせ場所に目をやると、やはり刹那さんは既に待っていた。本当に申し訳ないな。


しかも、イケメンに捕まっていてなんだか居心地が悪そうにしている。


「だからさぁ、その彼氏が来るまででもいいから俺に付き合ってよ。だいたい、君みたいな可愛い娘を待たせる彼氏なんて碌なもんじゃないって、クズ、クズだな。俺なら待たせたりしないし、どう?」


その発言に刹那が拳を握りしめて振り上げ、、


「‥‥オレ、、クズナノ?ゴミバコニポイッ?」


る前に俺は2人の間に割り込んだ。


覚えたての人語を喋るような感じになったのはご愛嬌ってことにしておいてくれるとありがたい。


「あれ?もしかして彼氏くん?」


イケメンは心底驚いたかのように目をビー玉のようにまん丸にしている。いや、その態度ちょっと失礼じゃないのか?まぁ、結局俺は刹那の彼氏じゃないから何も言えないけども。



「あっ、ハッシー。ウチほんま待ちくたびれたんよ。ほな、行こう。」


一方、刹那さんは、イケメンはいないものとして普通に俺と歩き出す。スルースキル高いな。


いや、しかし、歩き出した後が普通ではなかった。


遠巻きに見守っていた大勢の男たちが舌打ちした後、一斉に解散したのだ。美奈様の時も凄かったが、これは度を超えていた。


もしかして、この人たち全員刹那狙いだったのか?

自然界ならこれだけハイエナが多ければ、ライオンですら倒せるのだが。


しかし、そこでまだ終わりではなかった。

やはり、周りの人間が自然と刹那に視線を奪われている。


以前のゾンビバージョンの時、『慣れている』と言っていたのはこの視線のことなの?


まぁ、視線の種類がまるで違うから気付きそうなものだが。そこはやっぱり刹那なのだろう。


いくら美少女だといっても刹那がちょっと変わった娘なのはまぁ間違いないな。


まぁ、そういう刹那も気に入っているのだけど。



しかし、視線が気になる。


なにしろ、周りの人達は刹那だけでなく、俺にも無遠慮に視線を向けているのだ。それは俺の自意識過剰なんかではない。


しかも、その視線は俺をまるで品定めするような、そんな色を帯びていたし、バカにするような視線を向ける奴もいた。


まぁ、俺と学校一の美少女である刹那では、まるで釣り合っていないのだろう。


心配しなくても俺たちは恋人同士なんかではない。あ〜っ、イヤだイヤだ。リア充ってのは男女をみたら恋愛に結びつけなくてはいけない生き物なのだろうか。


しかし、そこで少しまずいことが起こった。

刹那が手を差し出したのだ。


もしかして、これって‥?

手を繋ぐのか? 


『友達だから手を繋ぐ理論』はまだ続いていたのだろうか。まぁ、そんな理論は存在しないのだが、周りのバカにしている奴等を見返すチャンスでもある。


俺はガシッと刹那と手を繋いだ。

もちろん、恋人繋ぎで。


刹那が嫌がるかと思ったが、全然普通に歩き出す。もしかして、刹那のことだから恋人繋ぎさえ知らない可能性すらある。


ザワッ、、、また周りがざわつく。

まさに悪魔的‥な光景。


さすがに俺たちが恋人だとは思いたくなかった奴らが沢山いたのだろう。


もちろん、刹那とは恋人同士ではないが、優越感が全身を駆け巡るのは仕方がないよな?


「そう言えばどこに行きたいんだ?」

気を取り直して俺がたずねると訳のわからない答えが返ってきた。


「リベンジやねんよ。リベンジ。」

ん?意味がわからない。


そう思っていたのだが、意味はすぐにわかることとなった。何しろ歩いて行く方向が前回と同じだったのだ。


もしかして、、、

いや、まさか、そんなことはないだろう?


俺の不安をよそに刹那はどんどん歩いて行く。


「ん?ここやよ。」

眞姫那が指差したのは、いかにもお洒落な雑貨店だった。というか前回来たお店だし、今回は特に買うものはないのに何故来たんだ。


しかし、暴走列車刹那たんは止められないのだ。


カランコロッ。


刹那たんが扉を開けると小気味良い甲高い音がして、二十代くらいで黒髪の落ち着いた感じの女性が近寄ってくる。ちなみに前と同じ店員さんだ。



「またお越しいただきありがとうございます。」

「覚えてくれていたんですか?」


俺は感激のあまり、声を上げてしまったが、肝心の刹那はというと、俺の陰に隠れてしまった。


そう言えば忘れがちだが、刹那は友達がすくない。そして、友達が少ない奴って大抵が人見知りだったりするのだ。


というか、前回、同じ場所で自白していたな。


「あっ、私は下がってるから何かあったら呼んでくださいね。」

空気の読める店員はやはり分かっている。

アパレルの店員に見習わせたい、スキルだよな。


ほんと、明らかに似合わないものを持ってきて、


「よく似合いますよ。買っちゃいます?」


なんて言ったり、聞いてもないのに、


「これ今、すごく流行っててぇ、ここに出てるので最後ですからぁ、買った方がいいですよ。」


なんて煽ってきたりする店員にはほとほとウンザリしているのだ。アパレル店員はレジ打ちだけしている方が売り上げが上がると思っているのは俺だけではないだろう。


「で、なにか買うのか?」


キョロキョロしているので、なにか探しているのかと思ったが、刹那は俺の問いに可愛らしく首を傾げた。


おいおいっ、刹那たん、何しに来たんだよ?


結論から言うと、刹那が何も買わずに店を出そうになったので、俺は店に気を遣って、用途のわからない石を税込330円で買ってしまった。


今更気付いたけど、刹那に丸投げプランって完全に失敗なんじゃ?


とりあえず、無理矢理にでもプランを変えなくちゃ。じゃあ、どこに行くって話だけど。


ボーリング?

カラオケ?

は却下だな。

なんとなくリア充感が拭えない。


というか、2人とも根がまじめなので、アスリートのように個人プレイに没頭する可能性が高い。


つまりは、

1人ボーリング×2

1人カラオケ×2

みたいになってしまうのだ。



じゃあ、映画とか水族館とか見る系はどうだろうか?盛り上がりそうではないが、まぁ、無難なところだろう。


「ねぇねぇ、ハッシー、あんな所にお化け屋敷があるよ。」

しかし、俺の気持ちなんて知らない刹那は前と同じルートを忠実にトレースしようとしている。


刹那ってやはり真面目な性格だな。

いや、こんな真面目さは要らないけど。


「いや、あっ、あそこなんてどうだ?」

そこで俺はカットインすることにした。

俺が指差したのはゲームセンターだ。


いや、 さっきまで色々考えていたが、映画館も水族館もここにはないから仕方がなかったんだ。



「あっ、ハッシーもゲームしはるん?」

しかし、刹那の声が明らかに弾んでいた。

どうやらあたりを引き当てたようだ。


俺は期待を胸に大股でゲーセンに向かう。

それが間違った選択肢だと気づきもしないまま。


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