表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/105

七十八話

久しぶりですみません。

仕切り直しという事で、なぜだかその日の放課後に刹那さんと2人で出かけることになった。


もちろん、デートなどではない‥‥よな?


ソワソワしながらも、鞄に手際良く筆記用具、教科書を詰め込んでいく。なぜなら、今から刹那さんを迎えに行かなければならないのだ。


だって、彼女は有名人だ。

という事は堂々と2人で下校しようものなら目立って仕方がない。


だから、出来ればそっと呼び出して、速やかに慎重に人目に付かず行う必要がある。


まるで、いつもの配達の仕事みたいだ。

思わず苦笑いをした俺は次の瞬間肝を冷やすことになった。


そう、背筋が一気に冷え込んだ。

それは第六感だったのかもしれない。


振り返ると刹那さんが後ろに立っていたのだ。


そう、わざわざ教室にまで迎えに来たものだからクラス中に騒めきが起こっている。


「あれ?なぜ、、氷結姫がシンヤを迎えに来るんだよ?もしかして何か弱みでも握っているのか?」


トモヤが真顔でそう言う。

おいっ、親友、普段から俺のことどんな目でみているんだよ?




「んなわけないだろ。と、、、友達になったんだよ。」

友達‥と言う言葉で思わず吃ってしまったが言っていることは間違っていない。




「いや、だから、どんな弱みを握って友達にさせたのが聞いているんだけど。」


トモヤはキスが出来そうなくらい、顔を近づけてくる。ふわっといい香りが漂ってくるのがなんだか女の子みたいでイヤだった。



「いや、だから、前から知り合いだったんだよ。それで、この前、初めて2人で遊びに出かけて、、友達になったんだよ。」

「えっ、、、友達じゃないけど2人で遊びに出かけたのか?はっきり言って意味がわからないんだけど。本当に2人で遊びに行ったのか?」


ますますトモヤの顔が近付いたけど、俺の視線は虚空を彷徨っていた。


「‥‥ん?言われてみると、トモヤじゃあるまいし、友達でもない女の子と2人で出かけたりしないものか?」




「いや、俺も友達じゃない女の子と2人でお出かけなんてしないからな。シンヤ、大丈夫か?」



「いや、、なにがだいじょう‥」

言いかけて、視界に何か不吉なものが写り、息が止まる。


そう、凛花だった。

つまりは詰んだ。


「凛花さん、どうかしたんですか?」


顔色ひとつ変えないでそんな質問をぶち込むトモヤを尊敬はするが、セリフは全然空気を読めていないものだった。


いや、正直言って凛花がこれから何をやらかすか想像もつかない。


「シンシン、、その娘、だ、あ、れ‥‥?」

凛花の妙に甲高い声が俺の心を蝕んでいく。



「いや、、あの、、「神崎刹那と申します。橋本君のと、、と、、友達です。」


言い訳が思いつかない俺に変わって、刹那さんは吃りながらもしっかりと説明してくれた。


しかし、友達というのがそんなに照れくさいのか頬をほんのり桜色に染めた姿は、まるで恋する乙女みたいでドキッとするからやめて欲しい。



「ん?あれぇ?おかしいよね。この人はお客さんじゃないんだよね?なのに女の子と友達って‥本当に友達なのかな?」


ネトッと粘着気味の話し方がいつもの凛花と全然違いすぎて思わず目を見る。

しかし、凛花は暗い瞳を刹那に向けていて、なんだか刹那が呪い殺されそうだ。


「あの、、、神崎さん。今日は凛花と帰っていいかな?ちょっと凛花と話したい事があるんだ。」


そう言って俺は凛花と2人で帰るのだった。





「‥‥ところで、話したいことって何なの?」

しばらくどう切り出すか悩みながら歩いていると、ヒヤリとした温度の口調で凛花が切り出した。



「いや、凛花の本音を聞いてみたいと思って。」

それで余裕がなくなった俺は何も考えずに話し始めた。



「どういうこと?」


「いや、勘違いじゃなければ良いんだけど、、凛花って、、、俺に気がある」

そこで一旦区切る。


そして、、本題を切り出した。


「‥‥ように見せて実はそんな事もないよな。どちらかと言うと俺に変な虫がつかないようにとかそんな印象を受けるんだけど。」


そう、女の子絡みで怒るのは最初は仕事に不真面目に見えるからだと思ったのだが、刹那は仕事絡みですらないただの、、友達だ。


「‥‥ふふふっ、面白いこと言うね、橋本シンヤは。私達って幼馴染なのに私の考えてること‥‥わからないかなぁ。」


凛花は少し前屈みになってこちらを覗き込む。

そうすることによって自然と上目遣いになるのだが、それは本当に天然なのか?あざとさなのか俺には判断できなかった。


「それって、、、いや、駆け引きとかわからんし、聞くわ。凛花って俺のことどう思っているんだ?」


「好きよ。凛花はあなたのことが好き。」


少しも熱が籠っていない、いや、むしろ、いらだちさえ感じる口調に似つかわしくない答えに戸惑いしか感じなかった。


「それが本当の事って誓えるのか?もし嘘なら君の言うことは何も信じないけど。」


「そうっ、、でも、、本当の事なんだよ。残念ながらね。」

今にも泣き出しそうな悲しそうな瞳はしていたが、だからこそ嘘をついているような感じは受けない。




「疑って悪かった。」

「別にいいけど、あのメス猫のこと聞かせてくれるんでしょ?」


しかし、凛花は涼しげな顔だ。先程までの悲しい瞳はもしかして演技だったのか?


「そうだな。まぁ、この写真をみてくれ。」 

俺が見せたのは刹那さん(ゾンビver3)と俺が映った写真だ。


「これが2人で出かけた時の写真だ。どうみても色恋が絡みそうじゃないだろ?ちなみにその後、つい数日前まで刹那さんの本当の姿を知らなかったんだぜ。」


俺は焦りから、いきなり切り札を差し出す。

これで失敗すれば命はないかもしれない。


「‥‥そうなんだ。なら凛花に話すほどの話じゃな‥‥ううん、何でもない。」


しかし、予想したどのリアクションとも違った。


凛花は無意識に何か呟いた後、、ハッとした顔をして頭をブンブンと振る。


何か違和感を感じたものの、そのリアクションがどういった意味を持つのか分からず、そのまま当たり障りのない会話を続けて凛花とは別れた。



なんだったんだ?



俺は家に帰りベットに横になっていたが、やはり思い出されるのは凛花のことだった。


ハッキリと好きと言われた事自体喜ぶべきなのかもしれないが、素直に喜べない何かがあるのか、なんだかモヤモヤだけが心の奥のほうで渦巻いていた。


どうするかな。


あっ、、、忘れてた。


‥‥ほんと、どうにかしている。


配達のアプリを立ち上げる事すら忘れていた。

働かなきゃ家族を幸せに出来ないのに。



俺はアプリを立ち上げたが、タイミングが悪かったのか、いつまで経っても仕事のオーダーは出てこない。


そのかわり、LIONのメッセージが2件きていた。


一件は、刹那さん、、。


『あれから、大丈夫やったん?』

というメッセージとともに何故か子猫が直立しているスタンプが送られてきている。



そして、もう一件は、king of ojousamaから、お茶会のお誘いのメッセージだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ