七十五話
俺は昼休み屋上にいた。
昨日は眞姫那が倒れて、そのまま連れて行かれてからどうなったかすごく気になっていた。
あれってゾンビvsお化け対決で、眞姫那が勝ったのに最後の罠『トラップ』で自爆してしまった感じだよな。しっかし、普通、鏡で自分の姿を見て気絶するか?
普段、鏡とか見ないのか?
俺ですら冴えない自分の顔を毎朝見ているのにな。
だけど、眞姫那の連絡先は知らないし、クラスも知らない。だから、屋上に行くしかなかったのだ。
「お〜い、眞姫那。居るか?」
いつも通り階段塔の上に向けて声をかけると。
「‥‥居るんよ。ほんまごめんなぁ、あんな格好悪いとこ見せて。」
格好悪いところかぁ。
なんて慰めればいいんだろうな?
「いや、身体が無事なら良かったよ。それにしても、眞姫那ってお嬢様だったんだな?」
なんとなくノリの良さから言っても、お嬢様感はないんだけどなぁ。
ほら、お嬢様と言えば語尾に『〜ですわ』とかつけるのが常套句かと思ってたし。
俺の周りでお嬢様って楓さま位かと思っていたしな。まぁ、あの人、お嬢様って言ってもちょっと箱入りすぎるけどな。
「フフフッ、、正体を知られてしまったからには生かして返すわけにはいかへんよぉ」
「いや、それ、俺殺されんの?遺書書き忘れたから書くまで待ってくれないか?書き出しは『君がこの手紙を読んでいると言う事は俺はもうこの世にはいないのだろう』だ。」
「フフフッ、続きはこうやんなぁ?この手紙には呪いがかけられています。三日以内にこの手紙を3人以上に送らないとあなたに不幸な事がおこりますやろぉ」
「いや、それ、チェーンメール‥」
「あははっ、さすがハッシー。でも、実は顔は見られてなかったんよ。そう、ハッシー、昨日の姿は世を偲ぶ仮の姿。だから、本当の姿を見せたいんやけどあかんかなぁ?」
「えっ?閣下的な感じなのか?何歳だよ」
「いや、今はボケてへんから。今日は恥ずかしいけど。私の制服姿見せるなぁ。」
そう言った後に誰かが階段塔から降りてくる。
その際にレースのあしらわれた純白のパンツがチラッと見えた。滑らかな質感はシルクだろうか?
ゾンビだとわかっていても目がいってしまうところが、ほんとに俺って業が深いな。
そして、こちらに向き直った美少女をみて、俺の頭はハテナマークで一杯になる。
なぜなら見たことがある人だったからだ。
きみょうな言い回しだが、それも無理もない。
あの有名な氷結姫が目の前に立っている。
肌なんて本当に白くて光を放っているかのようだし、顔なんて本当に小さいし、銀髪が日光を浴びて揺れる様なんて、まるで一流の絵画を眺めているかのように見惚れてしまった。
「お〜い、眞姫那ぁ〜っ。制服姿、見せてくれるっていってなかった?早く降りてこいよ。」
俺は階段塔の上に向かって声をかける。
返事がない。ただのしかば‥‥いや、本当に返事がないんだけど。どうした?
「えっ?」
俺が階段塔の上に気をとられているうちに、
氷結姫が目の前に来ていた。
「フフフッ、ほんまに気づいてはらへんのん?ウチやよ。ウチ。」
信じられないくらい綺麗な笑顔を浮かべた美少女が、まるで眞姫那のような声を発した。
ま、さ、か?
「眞姫那‥‥なの、、か?」
俺がそう問いかけると、、、
「そうやよ。っていうか、なんで遠ざかるんよ?昨日のゾンビ姿の方が好みやったん?」
子供っぽく頰を膨らませた彼女の声は間違いなく眞姫那のものだった。




