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六十八話



「ファイブスターの第7位、、学内では2位の莉奈‥です。」

射抜くような瞳で見つめるのは、間違いなくあの莉奈だった。


ただし、口調はいつもと違い、やけに無機質でそこに感情はひとかけらも乗せられてはいない。


というか、知り合いなのに、初対面感がバリバリ出ているんだけど。


もしかして、『友達に、俺と知り合いだってバレたら恥ずかしい』とかいうやつだろか?


まぁ、俺自身、莉奈へのコンプレックスはある。


それに、水晶のように綺麗な瞳はやはり綺麗なのだが、こういう表情の美人ってのはやけに整いすぎているせいか、まるで怒っているかのように見えるから不思議だ。



俺はブルッている表情を悟られたくないので、目を逸らした。


動物同士は先に目を逸らした方が負けとか言うけど、しょうがないだろ?


最近までやたらと好感度が高かったのに、、、


まぁ、お陰でそれから暫く意識を失っていたような状態だった。よく考えると、配達の時に一度会った坊主もクラスに居たんだけど名前すら頭に入っていない。


まぁ、坊主なんて坊主でいいだろう?




「早速ですが、今日も実習室で実践してもらいます。各自VRルームに集合してください。」


校長の言葉で、我に返って美奈さまを目で追ったけど、すでに彼女の背中は小さくなっていて完全に置いてきぼりだった。


というか、美奈さまってば俺の視線に全然気づいてないんだからな。


慌てて美奈さまを追いかけようとしたところで、今度は自分に向けられている視線に気づいた。


その視線は二つ。


親の仇のように俺を睨む坊主。


そして、水晶のように綺麗な、しかし無機質な瞳で俺を見つめる莉奈だった。




「あの?坊主さん、なぜ俺をそんなににらんでいるんですか?」


俺はなるべく友好的に見えるよう、笑顔で話しかけたのだが、


「規約違反の上に、可憐な女の子に無理、あんな事する信じられないでござる。拙者はそんな貴様の事を絶対男とは認めない。で御座る」


何故だか物凄く怒ってらっしゃる。


早く誤解を解かないと。



「あの、早く行かないと、、、」

俺の服の裾を引っ張るのは莉奈だった。


「あ〜っ、遅れるで御座る。」

それにいち早く反応したのは坊主の方で、結局彼が怒っていた理由を追及することは出来なかった。




VRルーム。

そこには大きめの棺桶のようなものが並んでいて、なんだか本当に縁起が悪い。


しかし、そんな俺の気持ちとは裏腹に皆んなが皆、棺桶の中に入っていった。


このヘッドギアのようなものをつけるんだろうか?せめて、使い方くらい誰か教えてくれてもいいのに。



「ジッとしてて」

俺が戸惑っていると、美奈さまが、棺内のボタンを素早くおしてから、俺にヘッドギアを装着する。


普段あんな態度なのに、俺の体に触れても嫌な顔せず、涼しい顔で俺の世話をしてくれるのは俺に対して気がある。。なんてことはなく、単純に見た目とは違い、彼女が世話好きだからだろう。


そして、俺の世話が終わると、美奈さまはさっさと自分の位置へ戻って行った。


しばらく、物音一つしない時間が続いた。

慣れない場所での沈黙はどうも落ち着かない。


「それじゃあ、今日もペアでの実践練習をやりますね。相手がだれでも恨みっこなしですよ」


そして、見た目小学生の学園長がそういうと、VR装置が起動したようで、目の前に女の子が現れた。


サイドテールの彼女は先ほど居たクラスメートの一人だった。


氷結姫や美奈さまには敵わないが、彼女も学校指定っぽいえんじ色のジャージ姿にしてはずいぶん可愛い女の子だ。





「うむ‥そなたは誠に面妖なことに序列一位と知己とな?」


両手をモジモジとさせながらも、前のめりで顔を覗き込んでくる。


そんなに顔が近づけると、なんだかドキドキして好きになってきちゃうからやめて欲しい。


「いや、知り合いというほどのこともないぞ」


俺は視線をそらしながやも、きっぱり言い切った。だって。ここは美奈さまのホームだ。

あらぬウワサが立って困るのは美奈さまなんだからな。



「しからば、、、かの傲慢姫がこの寺子屋にそなたを紹介したりはするまいよ。」


傲慢姫?

美奈さまのこと?



「ん?あ〜っ、ちょっと別件で相談されたことがあってな。その御礼なんだ。他意はない」


あれ?

紹介ってそんなに大袈裟なことだったのか?

それにしては彼女は快くひきうけてくれたものだな。



「そんなに謙遜召されるな。そなたも柚月と同じく常に足音を消しておるのだけど、そなたも忍びの所縁の者じゃろうか?」


ん?

常に足跡を消していたつもりはないんだけど、、、えっ???



「君って忍者の末裔なのか?本当に?」


本当に?

忍者村のバイトとかじゃなくて?

それで、こんな話し方なのか?



「うん?甲賀衆‥‥ではあるまいか?無念じゃのぅ」


うなだれた彼女を見て、彼女がホンモノっぽくは見えた。いや、ホンモノだったらすごいよな。



「えっと、、、サイン貰えるか?」

だから、俺がそう言うと、彼女は盛大にずっこけた。


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