六十四話
誤字報告ありがとうございました。
「ねぇ、ねぇ、君、ちょっといい?」
翌日の昼休み、一番後ろの窓際の席でボォーッと窓の外を眺めていた孤立少女に話しかけた。
自分で言うのもなんだけど、やると決めた事は即実行するのが私の長所の一つだと思う。
「‥‥‥‥‥‥‥?」
しかし、返事がない。
ただのしかばね‥じゃないよねぇ?
‥‥なんて思ったけれど、よくみると彼女は首を傾げている。
「どうちた‥んですか?」
そして、ようやく口を開くと、、噛んだ‥‥
同時に、耳まで真っ赤になってる。
やだ、なに?すごく可愛い♡
「怖がらなくていいよ。私は君を傷つけにきたんじゃないから。」
私は精一杯の営業スマイルを浮かべる。
「ヒッ‥」
しかし、孤立少女は短い悲鳴をあげた。
あれ?なんでよ?
私は営業スマイルを止めて、女の子が好きそうな話題で気をひく作戦に変えることにした。
‥‥‥恐ろしい娘‥‥
話し始めてから約10分。
私は冷や汗が止まらなかった。
というか、10分が永遠にすら感じられたんだけども、どうなってるの?
この娘、本当に、女子高生なのかしら?
韓流アイドル、アーティスト、ファッションの話題まで、まるで食いつかないんだけど。
辛うじて食いついたのがネコ動画だったけど、ジィーっと食い入るように見つめるだけでもちろん会話は弾んでいない。
というか、本当になにを話せば盛り上がるのよ?これならまだ校長先生と話している方が盛り上がるレベルなんだけど、、、、
助けを乞うように、親友の唯香に視線を送ったけど、唯香はまるで視線を逸らすかのように俯いた。
なんでよ‥‥
よく見てみると、俯いた唯香の肩が震えてるし。もちろん、ただ肩が震えているだけなら慟哭っていう可能性も、、、、ないよねぇ。
明らかに笑いを堪えて、、っていうか堪えきれてないし。
どうせ、私と孤立少女のやり取りを聞いていたんでしょう?
そして、私の狼狽ぶりに笑いを隠せない。
‥そんなとこでしょ。
唯香にちょっとイラついた。
唯香を見返したい気持ちはあるけど、それだけでもない。かつての自分のような異質な少女を、ただただ普通の娘みたいに笑わせてみたかった。
でも、もう会話の引き出しがないんだよね。
あまりにも切羽詰まって、仕事の事を頭に浮かべる。
あの時、、彼は、、なぜ、商売敵を助けたんだろう?放っておけば私に出し抜かれたりなんてしなかったのに。
あっ?
今、、天啓のようにある考えが浮かんだ。
そうだ、アイツだ。
共通の知り合いっていう意味でも、話題性って意味でも申し分ない。
だから、私は笑顔で口を開く。
「ねぇねぇ、朱鷺田さん。橋本シンヤって男の子のこと知ってる?」
朱鷺田さんの不可視のネコミミがピクッと動いたのが見えた。
そして、私達は昼休みが終わるまで、彼の話題で盛り上がるのだった。
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