六十話
放課後、生徒たちの喧騒の中、親友の雅がゆっくりとこちらに向かってくる。
「どうした?刹那?ニヤニヤして気持ち悪い」
そして、雅が怪訝な表情を浮かべる。
「ん、気持ち悪いなんて、、そんなことないでしょ?えっ?ニヤニヤしてた?」
どうやら、ウチの表情は知らないうちに物凄く緩んでいたみたいやなぁ。
「うん、だらしのない顔してたよ。ほんと刹那にしたら珍しいよね。真面目にしてたら冷たく見えるし、普段からそのニヤニヤ顔でいったら?」
何が面白いのか、雅もニヤニヤ顔にして顔を近づけてくる。
「そう、ニヤニヤで思い出した。仔猫ちゃんがめっ‥‥無茶苦茶面白くてね。」
「仔猫ちゃん?初めて聞く娘だね?というかセツタンって私以外に友達いたの?」
セツタンというあだ名で呼んでくるのは今のところ、この地球上でこの娘だけなんよ。
ちなみにあだ名の理由を聞いてウチは頭を抱えたくなった覚えがある。
『刹那っていつも一人で居るよね?つまりは刹那単体だよね?じゃあ、それで、セッタンってつけたんだよ。わかりやすいでしょ?』
まさか、『刹那ボッチ』とほとんど同じ意味だなんて。これじゃあ、愛称どころか、ただの悪口?
「うん?他に友達なんて居ないけど?」
「はぁ?じゃあ仔猫ちゃんって誰よ?空想のお友達?」
人をイタい娘呼ばわりする彼女が唯一無二の友達なんて、ウチはもうちょっと世の中を嘆いてもいいかもしれへんなぁ。
「人を痛々しいキャラ扱いはやめてくれないかな?ハッシーの事だよ。ハッシーが女の子からラブレター貰ってね。宛先がなぜか『仔猫ちゃん』やってん。」
ちなみに普段、橋本君のことを雅によく話しているからハッシーで通じてしまうけど、雅はハッシーと会ったことはないから、雅はハッシーのことはよく知らへんねんよなぁ。
「へっ?それでなんで笑ってられるの?嫉妬は?‥刹那って本当にお子ちゃまなんだね。」
それなのに、、したり顔で、彼女は呆れて、深いため息をつくのでした。
訳がわかんないけど、なんかバカにされてる?




