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四十九話

それからは特に変わらない日々が続いた。


結局、トモヤは風邪をひいていたみたいで、しばらくしたら何食わぬ顔で学校に出てきた。



『トモヤが風邪なんてめずらしいな。』

嬉しさを滲ませて軽口を叩くと、


『いや、それは○○は風邪ひかないって言いたいのか?』


トモヤはなぜかパチリとウィンクを決めた。


う〜ん、こういう仕草も似合ってしまうのがイケメンの特権だよな。俺が同じ事をしたら、周りの視線で凍え死んでしまいそうだ。



「いや、そうじゃないけど、色々相談に乗ってくれてたの、負担だったんじゃないのか?」


トモヤは凛花のことなどで、色々相談に乗ってくれたし、本当に助かった。しかし、それが負担になっていたとしたら、、、



「チッ、チッ、チッ、違うぞ。あ〜っ、ここんとこ毎晩幼馴染と一緒でさぁ。あいつ、少し風邪気味だったし、うつったんじゃないか。」


幼馴染?

毎晩毎晩一緒?

風邪がうつった?


‥‥リア充め。。。

弾けて死ね。


なんて呪詛の言葉が出そうになったよ。

まぁ、あいつ、なにげにというかモテるからな。まぁ、知ってたよ。


まあ、トモヤも復活したし、凛花とトモヤと莉奈と4人で帰ることになったが、相変わらず俺のモブ感がスゴイ。


凛花は昔はともかく今は正真正銘の美少女、莉奈も普段はクール系の美少女だ。

その上、トモヤはイケメン。

そして、俺は‥‥。


まぁ、容姿の話は別としても、4人で帰るとやたらと疲れるんだよな。


なぜなら、凛花はベタベタしてくるし、莉奈はそれを引き剥がそうとしてくる上に俺としか喋ろうとしない。



そして、そんな時トモヤはといえば、完全に空気だ‥‥そう、イケメンなのに空気だ。



『なんてチームワークの無い4人なんだ。』

なんて怒りたくもなるけど、そもそも、残りの3人はお互いにそんなに知り合いでもない。

俺を中心としたスター型のネットワークなんだからな。


‥‥ということは、この体たらくは、俺の責任ってことか???



ただ、凛花は俺の言うことを全然聞いてくれないし、莉奈にしたってやけに子供っぽく凛花に突っかかっていくのだ。

いや、、実際子供だから仕方ないのか?


本当に意味わからん。


正直に言うと、オンナゴコロってのは全然わからないから解決策がまったくもって浮かばない。というか、イケメンで女の子慣れしてそうなトモヤですら解決できないのだ。



俺にどうしろっていうんだよ?

竹槍でドラゴンを倒す並みに無理ゲーだって。



‥‥なんて思っていのだが、人間の環境適応能力とは恐ろしいもので、段々とこういうものだと慣れてきてしまった。


まぁ、大袈裟に言ったが、そんなに格好いいもんじゃなくて、つまりは諦めの境地に達してしまっただけだったのだけど‥‥




そんなこんなで、悟りを開くつもりもないのに、一方的な苦行を終えると、やっと週末にたどり着いた。



週末の今日の空は真っ青で、俺は思わず窓を開けて深呼吸した‥爽やかな初夏の空気が肺に満たされて、まるで浄化されているかのようだ。


何しろ、今日は凛花や、莉奈からも解放されて、完全オフなのだ。


そりゃあ、空気もおいしいって。


そろそろ、良くなってきたな。

部屋でジャンプしてみるが、足に痛みが走る事はなくなった。


ただ、筋力は落ちてしまったので、ここからファイブスターを維持できるレベルに戻すのには、かなり時間がかかってしまうのだろう。


思わずウンザリしてくるが、早く復帰しないとお金が‥‥



俺の暗い雰囲気を吹き飛ばすかのように、ピンポーンという間の抜けた音が部屋の中に響き渡った。やや旧式のインターホンだが、まぁ、アパート自体が古いからな。


慌てて、扉を開けると


「はじめまして、今快眠布団の販売させてもらってるんですけど、お時間よろしいですか?」


‥‥?

どういうこと?

思考が停止する。


「最近良く眠れていますか?眠れていないですよね?そんな時‥この布団を使えばあら不思議。30秒でワンダーランドへひとっ飛び」


‥‥?

だから、何よ、これ?



「‥‥莉奈。なにしてんの?」

「‥‥冗談です。」

最初から最後まで終始棒読みを続けている。

はっきり言ってわかりづらい。



「何か用なの?」

「先輩、今晩暇ですか?」


いや、暇じゃないな。

精神衛生上、休みの日くらいは凛花や莉奈の事は忘れていたい。



いや、そう言えば先週末も莉奈は俺のお世話に来ていたな。


そして、弥生にジト目を向けられてしまっていたっけ?今日こそは断るぞ。



「先輩、すっかり良くなったみたいですね。」


見ただけでなぜわかるのかは不明だし、適当に言ってるんじゃないの?


「なんで分かるんだ?」

「いや、だって、、、気の流れが綺麗、、というか澱みないですもん。だから、今日は全快祝いに、お仕事、手伝ってくれませんか?」


いや、気の流れってなんだよ?

莉奈ってば何者よ?


とはいえ、そんな下手に出た言い方をさせてしまった以上、断りづらいし、それだけでなく、今の俺の身体能力で莉奈についていけるか試してみたい気持ちもあった。


別に上目遣いで頼む莉奈が可愛いから、とかそういうのは無いけど、、、いや、ないよ‥‥ホントにほんと‥‥



まぁ、あくまでも実践感を取り戻せるし、あわよくばお手伝い賃をもらえるから乗っただけだから。莉奈のことなんてぜんっぜん、好きなんかじゃないんだからね。


‥‥ダメだ。これって完全にツンデレ。



そして、約12時間後、気軽に誘いを受けた事を俺はたっぷりと後悔するのだった。

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