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四十五話


「お兄、、、サイテー。」

弥生はドライアイスよりも尚、冷たい視線を俺に向ける。その視線に酔いしれる程、俺のM力は強くはないので普通に凹むな。



結局、警察署に母親が迎えきたのが深夜なので、弥生は待ってはいないと思っていたが、自分もご飯を食べず、待ってくれていたみたいだ。


嬉しい。というよりは申し訳なさでいっぱいになった。そう、まさか待ってくれてるなんて夢にも思っていなかったし。


「弥生、心配かけてごめん。」

「別に心配なんてしてないけどね。」


「あはは、、ありがとうな。」


「ぜんぜん悪いと思ってないでしょ?」

弥生はため息でもつきそうな呆れた表情を浮かべる。


「いや、違うって。ただ、本気で心配してくれてたんだって、嬉しくて。」


そう、罪悪感だけではなく、心の中があたたかくなった。こんな時に思うのは不謹慎かもしれないけど、こういう想いを幸せって呼ぶのかもしれない。



「当たり前‥っていうか、臭いよ、お風呂入ったら?」


しかし、俺は弥生にそう言われて今度はめちゃくちゃ落ち込むのだった。




朝も、凛花と一緒に登校して、昼は屋上に逃げ込んだ。もちろん、鍵はきっちり閉める。



階段棟の扉を開けるとどんよりとした雲に包まれた空が頭上に広がっていた。



眞姫那が居るといいんだけどな。


「眞姫那、居るか?」


そう、凛花のストーカー問題についてどうすればいいのか相談したいんだけど?



「ん?えっ?私に話しかけるなんて珍しいわぁ、プレイボーイ君。幼馴染の女の子とつきっきりで世話してくれてる女の子の2人にはもう飽きたんかな?」


おっ、居たのか?

それにしても俺の言われようって‥‥散々だ。



「俺を女の子を取っ替え引っ替えしてる悪い男みたいに言うなよ。まだ、誰とも付き合ったことなんてないのに」


まぁ、自分で言ってて悲しくなるんだけどな。



「え〜っ、何言ってるん?あの娘たちはエッチなことをする友達ってことなんかなぁ?もしかしてスーパー美少女のウチも毒牙にかけようとしてるん?」


どこのプレイボーイの話?

というか、スーパー美少女って誰のこと?

冗談にもほどがあるぞ。



「いやいやいや、毒牙って‥眞姫那の価値観で俺を図るなよな?俺は女の子とキスしたことすらねぇよ」


もちろん、スーパー美少女の部分は完全にスルーしてやった。ネタ過ぎてツッコむのですら躊躇われるし。




「何言ってんのん?ウチかて男の子と手を繋いだことすらないんやよ。」

「ということは、エッチも‥」


なんとなくサバサバしてそうだったから、手を繋ぐくらいは経験済みかと思ってたが、もしかして‥‥手汗が凄いのだろうか?


そして、ヌメッとしているから渾名は両生類とか?



「うん、もちろん処じ‥‥って何言わせるんよぉ、変態やよ。」


‥‥いや、そこまで聞いてないし、、、



「悪かったな。今日は相談したいことがあるんだけど、いいか?」


そうだ、眞姫那が処女って話しをしに来たんじゃなかったよな。


「どうしたん?彼女でも欲しくなった?紹介してあげよっか?」


な、な、なんだとぉ〜。

マジか?

眞姫那の友達ってやっぱり関西弁なんだろうか。

それでも全然構わないな。



「ありがとう、出来れば金のかからない彼女なら最高なんだけど‥‥いや、そうじゃなくて俺の幼馴染についてなんだけど‥‥。」


そうだった。

あまりに嬉しくて、本題を忘れるとこだったよ。



「幼馴染‥‥あの人と付き合ってるの?」

「いや、全然だよ。だいたい、可愛い幼馴染が自分を好いてくれるなんて二次元の中だけだろ?」


「そうなん?で、相談ってなんなんよ?」

「幼馴染がストーカーに追われてるんだけど、一緒に居ても、張り込みしても全然見当たらないんだ。どうしたらストーカーを見つけられると思う?」



「‥‥それって、本気でゆってるん?」

射抜くような鋭い口調で問いかけられて、思わず身構える。


「いや、だって、凛花も莉奈も言ってるし、」


『みんなスマホ持ってるんだよ。だから、俺にもスマホ買ってよ。』

『いや、皆んなって誰だよ?』

みたいな言い回しに自分自身違和感を覚えた。



もしかして、、、


「その顔は、、自分で気付いたんやね? 」

その口調から眞姫那がニタリと笑ったのがわかるが、俺は相変わらず彼女の顔を知らない。



「そうだよな。本当に俺って馬鹿だ。周りの人達を信じられない訳じゃないけど、これだけ探って居ないということは‥‥」


「そうやね。でも、念のため今日から何日か水面‥使用人に見張らせるから、心配せんでええんよ。」


「ありがとう。なぁ、眞姫那。」

「ん、どないしたん?」


「なんでそこまでしてくれるんだ?」

「‥‥?そういえばそうやんね。えっと‥‥‥と‥‥ともだ‥ち‥‥だから?」


と、友達なのか?俺たちって。

なんだろ?

なんだかちょっと照れるんだが。


「おおぅっ、、ありがとう。」

「あははっ、コッチの方がありがとうやわぁ。」


眞姫那の声が弾んでいる。

彼女の口調は裏表がないので、安心して話せるのも彼女の魅力の一つなのかもしれない。



「それでも、姿は見せてくれないんだな?俺ってば姿を見たくらいで、友達やめるとでも思っているの?」


「そんなことは‥‥そうかもしれないね。」

少し口調が重いか?


「友達なんだから、容姿に自信なくても気にする必要なんてないんだぞ?どうせ、俺だってこんな見た目だし‥‥って見えてないか?」


「ウププッ‥アハハッ‥‥あっ、そうなんやねぇ。あ〜っ、ありがと。また3日後、報告するからここで待ってるなぁ〜」


そう言われて、俺は安心して3日後を待つことにした。

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