二十九話
久しぶり更新です。
少しだけ書き溜めましたので、次はもっと早く更新します。
翌日の昼。
階段棟の扉を開けると雲一つない、すっきりとした空が頭上に広がっていた。
今度こそはちゃんと弁当の中身が間違ってないか確認した。2度目の確認を行い、やっぱり心配になり、3度目の確認をしてから眞姫那に渾身作を渡す。
「お、おいしいっ。ほんま嫁に貰いたいくらいやわぁ。なぁ、ウチんとの嫁にこぉへん?」
えっ?この人なに言ってんの?
バカなの?
一瞬ドキッとするから、その手の冗談はモテないヤツにはしないで欲しい。
「なに?俺は眞姫那ん家のミタさんになればいいのか?」
まぁ、コイツとの会話はいつもこんなのだから
マトモにとっても仕方がないだろう。
「なんで家政婦なんよぉ?あれ?もしかしてウチのこと全然タイプやない?ショックやわぁ」
全然ショックじゃなさそうな明るい口調。
ちょっと腹が立つ。
「いや、見た目はともかく、性格は気に入ってるぞ。いい具合に破綻してるあたりがな」
そう、なんだか気が楽で会話が弾むのだ。
まるで同性と話しているみたいなんだよ。
それでいて、人懐っこく、甘ったるい声をしているのだから厄介だ。
「うわぁ、それ絶対褒めてへん。いつもの意趣返しなんかなぁ?まぁ、ウチもハッシーの見た目はタイプじゃないけどなぁ。ほら、あの友達の男の子と並んだら完全に引き立て役や「それ言ったらダメなやつだろ?俺だって少しは気にしてるんだから。まぁ、あいつはそんなつもりないんだろうけどな。」
そう、トモヤはいつもマイペースで羨ましい限りだ。
「そうやねぇ。見てたらわかるもん。意外と性格良さそうやもんな、モテるのわかるわぁ。」
やはりトモヤはオタクなのに、女子の好感度は高いんだよな。俺とどこが違うんだよ?顔か?
「やっぱり顔って事じゃないのか?」
思わず本音が口を突いて出る。
「はぁ〜っ、呆れるわぁ。それって女の子のこと馬鹿にしてるよぉ。意外と女の子って色んなとこみてるんよ。わからへんのん?」
そう言われてトモヤの良いところを思い浮かべてみる
「わ、わかるな。アイツの周りが見えてるところとか、自然に人に気をつかえるとことか、優しいとことか。仲間想いなとことか、物事に真面目に取り組むとことか、真剣に相談に乗ってくれるとことか「もうっ、友達のことどんだけ好きなんよぉ、ほんま妬けるわぁ。」
思い返せば沢山ありすぎるな。
正直、俺の友達にしておくのには勿体無さ過ぎる。
「好き‥あぁっ、そうかもな。あいつは本当にいい奴だしな」
声に出してみるとしっくり来る。
そう、アイツはいいヤツだ。
「えっ‥‥オトコが好きなん?」
しかし、眞姫那は引き攣ったような声を出す。
『トモヤのことが好き』発言にドン引きされた挙句‥‥誤解を解くのに昼休みいっぱい費やすことになった。
ウチは今日も屋上に呼び出されていた。
もちろん昼休みやないんよ。放課後。
「神崎刹那さん。入学した時からずっと好きでした。俺、俺と付き合ってください。」
また、聞き慣れた言葉が耳に届く。
この言葉はあまりに聞きすぎて、レア度では挨拶と大して差はないかもしれへんわぁ。
確か、彼はサッカー部のキャプテン。
名前は‥ダレだっけ?
あれ?確か、彼って少し前まで同学年のマネージャーの彼女が居たような‥‥
「あの?彼女と1年付き合ってたんですよね?元彼女に失礼だと思わないのですか?尻軽、口先オトコさん」
あぁっ、この話し方‥疲れるんよぉ〜。
ほんと嫌やん。
「えっ?あれ?知ってたのか?」
動揺したんかな?
目が泳ぎ過ぎて溺れそうになってはる。
「あっ、サッカー部のマネージャーのグループラインにさっきの告白のセリフ送っておきますね。お礼なんて結構ですわ。今日からの部活、楽しみですこと。」
ウチは作り慣れた作り笑いを浮かべた。
「えっ?や、やっ、やめてくれ〜」
彼の顔面は紙のように蒼白になってしまった。
よく見ると膝も震えているんよ。
その日以降、彼をサッカー部で見たものは誰も居なかった‥‥らしいんよ。
あ〜〜っ、つまらへんわぁ。
ウチの中身を見てくれる男の子なんて‥‥‥1人だけ。
からかいがいのある可愛い。
そして、かわいそうなオトコノコ。




