十九,五話 〜R-side〜
感想などなど頂ければ嬉しいです。
Rは凛花のRです。
『シンヤが転校生女の子にモテているぜ。お前も頑張らんとまずいぜ。もし協力して欲しいなら、報酬は前回のレイヤードの来場者限定クリアファイルで構わないぜ。』
昼休みに入ったメッセージを見て私は息が止まりそうになってしまった。
メッセージの送信者は宮下トモヤ。
シンシンの親友にして悪友。
と言っても、性格は真っ直ぐで、裏表がなくていい奴。それにイケメンだからモテるんだろうけど、女心は全く分かっていないんだよね。
だから、私の事情を知った上でこういうメッセージを送ってきているのか判断に困った。
「凛花、どうしたの?あっ、シンシン君かぁ?
いい加減、告白したらどうかな?凛花も付き合ったら氷結姫みたいに告白される回数も減るんじゃない?」
クラスメイトで親友の恵那が身を乗り出すとポニーテールがフルフルと揺れた。
恵那はバスケ部のエースで顔も可愛いし、明るいし、皆んなの人気者。でも、シンシンの好きなタイプじゃないから安心なんだよね。
「もうっ、恵那は簡単に言ってくれるんだから。告白が失敗したら、もう今までみたいに会えなくなるんだから。ね?」
私が弱音を吐くのも仕方がない。
本当に残念なのだけど
私はだだの幼馴染。
小学生の時はよく何をするのも凛花と一緒に居た。
その頃、ママとパパがよく喧嘩して、家庭内に居場所がなかった凛花はシンシンの優しさに甘えていた。
でも、ある日シンシンがクラスメイトで一番可愛い女の子を横目で見て
「三嶋レナちゃん、可愛いよなぁ。彼氏とか居るのかな?」
なんて言い出したから、凛花は動揺した。
三嶋レナちゃんは女の子の私から見ても可愛い。女の子らしいフワフワした服装に可愛い言葉遣いに仕草。白い肌に‥‥全然、まるっきり違うんだよね。
凛花は足元が崩れてしまったかのような不安定な気持ちでバランスを保てない状態だった。
「居るよ。」
しかし、幸いなことにレナちゃんには彼氏が居た。
「そっかぁ?可愛いもんなぁ。凛花は、、、彼氏いないし。それでさぁ、、、」
ただ、シンシンの優しさに甘えっぱなしの凛花は、お洒落にも無頓着だったし、肌も黒くて髪の毛も短くて、まるで男の子みたいだった。
それを指摘された凛花は急に自分が恥ずかしくなってしまった。こんな娘がシンシンに選ばれるはずがないって‥‥
「ごめん。」
耐えきれなくなった凛花は、シンシンが話している途中で逃げ出してしまった。
それから凛花は髪も伸ばしたし、身だしなみにも精一杯気をつかったし、スカートも履くようになったし、言葉遣いも女の子らしくした。
大好きだったサッカーも辞めてしまった。
色々あって、私は友達も多くなったし、色んな男の子や、男の人にも告白されたけど。‥けどね。
それと反比例するかのように、シンシンと凛花が居られる時間が皆無になった。
元々はシンシンに好かれる為、彼と一生一緒にいる為に努力したはずだったのに。彼との距離は絶望的に開いてしまった。
そして、凛花はなんの為に頑張ったのか。
目があってもシンシンから目をそらされるし、キッカケがつかめないまま中学校に上がった凛花はそのままシンシンと仲良く出来ず、そのままママの仕事の都合でイギリスに行ってしまった。そして、高校入学を機にこの街に戻ってこれたんだよね。
高校はシンシンの志望校を調べてもらって同じ高校を受けたから、同じ高校に入学出来たんだよ。
お陰で凛花とシンシンの切れかけた縁が別の形で、また繋がった。
「シンシンもこの高校だったんだ?偶然だね」
シンシンは私のウソくさい演技にも全く気づかない。本当に鈍感なんだから。
「あっ、本当に偶然だな。凛花頭良かったんだな。」
そう言われて、私は少しムッとしてしまった。
この高校入るためにどれだけ無理をしたと思ってるの?
「そんなことないよ。塾にも行かせて貰ったし。」
私は思わず口を尖らせて反論してしまったけど、それが良かったみたい。
「ま、マジか?たのむ、妹に、、妹に勉強を教えてやってほしい。俺のは独学過ぎて全然わからないって言われるんだ」
シンシンに頼まれて、私は定期的に橋本家に通う口実を得てしまった。
それでも、シンシンは私にはよそよそしい。
どうしたら、もっと仲良く‥‥
なんて、呑気に構えていたら、シンシンのバイトがおかしいことに気付いた。
ほっぺにチューされて帰ってきたり、、、
『シンシンが誰かに取られてしまう』
なんて思ったら、居ても立っても居られない。
その頃からなんだけれど、私はシンシンを待ち伏せするようになった。
話は戻るけど、私は宮下トモヤのメッセージの真偽を確かめる為、今日もシンシンを待ち伏せする。
カバンの中には調理実習で作ったクッキーもあるし、喧嘩になんてならないように頑張る。だって失敗したら全てが台無しになる。うん、頑張るよ。
私は気合と不安を胸にシンシンを待ち続けるのでした。
期待と不安の間違いではないので、気にしないでくださいね。




