九十六話
お久しぶりです。
元気にしてましたか?
もう誰も続きをよんではくれないかも…
なんて思いながらも、
『1人くらいは読んでくれるかも』
っていう期待を込めて再開します。
かんそう、ぶくま、、頂ければうれしいです。
「えっ?」
頬に感じる柔らかな感触に、思考停止した。
まさか、女子小学生にほっぺにチューされるなんて、、、
ヒャッホー、やったぜぇ、俺、やってやったぜ。
なんて言いながら小躍りしていただろうな。
俺がロから始まる4文字の職業ならだけど。。。
いや、あれって職業ではないな。
どちらかというと宿命というか、人としての業‥‥とでも呼べばいいのだろうか。
しかし、俺は窺うように結衣ちゃんを見る。
そう、厄介ごとに巻き込まれたのだ。
「結衣ちゃん?俺に何をさせたいんだ?」
そんなことしても可愛くないのに俺は上目遣いで結衣ちゃんを見つめる。
「フフフッ、本当に意外。見た目よりズッと頭が回るんですね?」
褒められたかと思い頬を緩めかけて、それが皮肉だと気づいて顔を引き締めた。
「はぁ、、まぁ、見た目をディスられるのは慣れているからいいけど、無闇やたらと周りを攻撃するのはアイドルらしくないな。もし、このことをマスコミに言いふらされたらどうするんだ?」
小学生を脅すなんて高校生男子にあるまじき行為だが、きっと俺の本能がこの女の子の恐ろしさを感じ取って、自分を守ろうとしたのだろう。
「そりゃあ、あなたが加害者になるでしょうね?だって、ワタシ、小学生だしぃ。女の子だしぃ。」
ワザと幼なげな口調でそう言い張るところまで確信犯で、舞台やラジオで見せる以上の強かさを彼女から感じた。
まずい、完全に追い詰められているのは俺の方だった。完全にチェックメイト、いや、むしろまな板の鯉と呼んでも過言ではないかもしれない。
あとはトドメを刺されるだけ。。。
「ふふふっ、そこの可愛いお姉さん。刃物はしまってくれるかな?」
しかし、次の言葉は俺宛ではなく、弥生に宛てたものだった。
「えっ?あっ、、うん。で、でも、、キスはいけない」
「じゃあ、出るとこでます?お兄さん、かた〜いお部屋で寝るハメになってしまいますけど。」
口調からは俺たち若造なんかでは覆せないほどの自信と威圧感を感じる。
いや、待て、、結衣ちゃんの方が若造だった。
頼みの弥生の方を見ると、あ〜、とか、う〜、とか唸っていて、肝心の言葉が出てこない。
ちょっと待て、、『年上をも手玉に取る小学生』
ってあくまでもマスコミとか運営の演出の賜物、、では、なかったのか?
2対1で、全然相手になってない。
「で、俺に何をさせたいんだ?」
結局、、この言葉をあっさり引き出されてた時点で俺と弥生の敗北が決定した。
結衣ちゃんのお願いはシンプルなものだった。
「リナの尊敬を勝ち取って下さい。」
もちろん、俺の頭の中はハテナマークで埋め尽くされた。
「どう、わかった?」
美奈さまがヘルメットを外して髪をかきあげる。VR上というとこもあり、髪は変な癖がつくこともなく、サラリと広がった。
そう、今は学園のVRルームで美奈さまから特訓を受けている。正直に言って結衣ちゃんのお願いは分かりにくかったが、要は莉奈に尊敬されればいいということらしい。
まぁ、今回のケースで言うと、圧倒的な実力差で配達勝負に勝てばいいらしい。いやいや、配達勝負ってなんだよ?
ただ、経験も知識もないスカイダイビングの練習を闇雲にするわけにもいかず、経験者の美奈エモンに泣きついたのだ。美奈さまだって善意で特訓を引き受けてくれている訳ではないのだが。
交換条件として、一つ配達を頼まれるらしい。
まぁ、それはさて置き、俺は莉奈にリベンジすべく、美奈さまに特訓をおねがいした。もちろん、美奈エモンと呼んだところで、彼女がひみつ道具を出してくれるわけではないしな。
そして、美奈さまが見本を見せてくれるということで、あっさりスカイダイビングをこなしてみせたのだ。
なんなの?
いつから日本国民はスカイダイビングが必修科目になったんだよ?国語、算数、理科、スカイ‥とでも言うつもりか?
俺がアホなことを考えながらも、表面上は難しい顔をしていたからだろう。
美奈さまは普段とは違う天使のような笑みで微笑んだ。
「大丈夫。ほら、怖くない怖くない、100回も飛べば上手くなるから心配しないで」
いや、、一瞬ナウシカかと思った。
それはさておき、まさかのスパルタ方式なのか。
あんまり努力しそうにも無い見た目と違い、『やれるまで努力し続ける』いわゆる脳筋タイプだったようでその発言にわざとらしさはなかった。
まぁ、慣れるまでやるというのも一つの方法ではある‥‥のか?
「いや、、、しかし、俺はスカイダイビングはここで一回やっただけで、やり方がわからないんだ。さすがに見ただけじゃ。」
そう、、前回も適当にパラシュートを広げることしかできず、、着地点のコントロールなんてわかるはずもなかった。
「そっ、やったことないんだ?じゃあ、、私がインストラクター役ってことね。」
そう言って美奈さまが背中に密着してくる。
あー、ペアでやるやつか。大抵、まずはインストラクターに付いてやってもらうのが一般的だもんな。
それは暖かさと信じられない柔らかさを伴っていてとてもVRだとは思えない。もちろん、どこが柔らかいとかゲスなことは言わないからな。
そして、、、
いつの間にか着地していた。。。
ダメだ、、、まさか、、煩悩に支配されて何も覚えていない。さっきまでは俺は自分がゲスなんかじゃないと思ってたのに。。
「わかった?」
えっと美奈さまの身体の柔らかさが??
‥そんなわけないよな。。
口に出したら平手どころかグーで殴られそうだ。
そして、俺が殴られる快感に目覚めるまでがワンセット、、なわけはないが、、
「いや、、先生、、もう一回お願いします。」
俺は美奈さまと目も合わせられずに口から欲望を吐き出すことしかできなかった。




