九十四話
「昨日は散々だった。というか本当に恥ずかしいわ」
美奈さまが、急に用事が入ったとかで1人でスクールのVRルームで特訓していた時のことだ。
莉奈が入ってきた。
というか、会う事自体久しぶりだった。
俺が負傷して世話をしてくれた時以来か。
また懐かれるのも側から見るとロリコン疑惑が発生してしまうしなぁ。。
まぁ、色々問題があるから親戚の子に会うくらいたまに会う感じがちょうどいいかもしれない。
ちなみに強く否定させて頂くが、俺はロリコンではない。
「よっ、、久しぶり、元気にしてたか?」
俺史上最高の笑みを浮かべる。
「はい、、特に変わりはないです。」
しかし、莉奈は無表情にこちらを見やる。その無機質な瞳はこちらの考えを見透かされていそうで何か怖い。
「そうか、まぁ、俺は自主練してるから、またな」
触らぬなんとかに祟りなしと言うし、俺はサッと彼女をあしらって特訓に戻る。つもりだっのだが。
「一緒に練習しませんか?」
意外な提案に俺は彼女の顔をガン見する。
しかし、やはり莉奈は無表情だ。近頃の小学生ってのはこんなにクールなものなのだろうか?
「俺が??君と??いや、見てあげるのならいいけど、、」
いや、、そう言ったがたぶん実力は殆ど変わらない、、だから本音ではやりたくない。小学生に負けたくはない。
「いえ、ご一緒させてください。」
しかし、莉奈の射抜くような目に気圧されて渋々受けることになった。
‥‥練習終了。
ボロ負けした。
学園のVRルームで俺は盛大に肩を落とす。
というか、、ヘリからスカイダイビングで降りるところから出発って‥どこのスパイミッションだよ?
結果、俺は着地場所からお届け先まで2キロもズレてしまい。それから全力で走ったけど、、現地に着く前に莉奈の配達は終わっていた。
VRの電源を切ると、莉奈はゴミでも見るような目で俺を見ている。
「悪い、遅くなった。」
歯切れ悪くもなんとか謝罪をしたのだが
「素人、、、ですか?」
戸惑った瞳が何故か揺れていた。
「パラシュートっていつ開けば分からないし、莉奈はスカイダイビングの経験者だったんだな」
驚いた。まさか小学生が単独でスカイダイビングできるなんてな。
「いいえ、初めてですけど?高度、気圧、風向、風力を計算に入れて、S字ターンで位置を調整すれば良いだけですよね?」
S字ターン?なんだそれ?
訳がわからないんだけど。
なに、それ小学生界では常識なの?
「ハクブツサイコ‥さよなら。」
しかし、彼女は俺の理解を待たずに捨て台詞を吐いてサッサと帰ってしまった。
ん〜っ、、でも、、小学生相手に負けるのは流石に不味かったよなぁ。。。
尊敬して、、慕ってくれてたのにな。
それにしても、サイコって、、そんなにサイコパスな性格はしてないと思うんだけど。
「またぁ、自分の殻に篭ってるぅ。そんなにニヒル気取っててもカッコ良く見えるのはイケメンだけだからね。」
家に帰ってから、俺の様子に気付いた弥生に励まされる。いや、励まされてるんだよな?
「いや、、別に小学生に負けたからって凹んでないし。」
「へぇ〜っ、それって恋愛偏差値でとか?」
弥生の揶揄するような少し憎たらしい笑顔がなんだか妙に可愛いらしい。そう感じるのは俺がシスコンだからじゃないぞ。
「いや、さすがに小学生に恋愛偏差値は負けて‥‥‥ないよな?」
まぁ、少なくとも弥生は俺よりはズッと恋愛偏差値は高そうだし。あれ?もしかして弥生って彼氏が居るとか?
お兄ちゃん、ちょっと泣いちゃいそう。
「でも、、まぁ、お兄はモテないからいいでしょ?」
ポンと肩を叩く。
満面の笑みを浮かべる弥生はなんだか機嫌がよさそうで、俺まで気分が高揚するのだから不思議だ。
「ありがとうな。兄ちゃん、頑張るわ。」
「ん?なんでありがとう?」
弥生が不思議そうに首を傾げる。
そんな姿も可愛い妹だ。
「妹の声は兄に元気をくれるものだからな」
俺は世の中の真実を告げながら眠りに落ちそうになったが、
「シスコン。キモイ。」
弥生のリアクションはハッキリ聞こえていた。
間に受けたら本当に死にたくなるから、聞かなかったことにしてそのまま眠りについた。
翌朝事件が起こった。
ちょうど家から出る前にインターフォンが鳴る。
慌てて玄関を開けると、、目の前に立っていたのが画面越しにはよく見覚えのある小学生女子だった。
そう、、レイヤードの結衣ちゃんだった。




