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妹さん。

婚約の約束をしてから数週間。私たちはなんとなく将来のことを話すようになった。歯医者さんを開業したら、私が受け付けね、とか。お菓子を時々焼いてね、とか。ホームページは私が更新するね、スタッフさんの写真もたくさん載せようね、とか。そして私は原田君を「てっ君」と呼ぶようになっていた。気持ちは、よくわからないままだけど、てっ君となら穏やかに過ごせる安心感を感じるようになっていた。私からもさりげなく手や体に触れるようになり、てっ君は相変わらずキスばかりしてくる。

そんなある日のことだった。

「悪いけど、車出してくれる?」

「いいよ。どこ行くの?」

「妹のオーディオを修理に出すように頼まれているんだけど、楓花の車の方が運びやすそうなんだ。」

「うん。いいよ。」

気付くと、私が車を出した日は毎回そんな風に妹さんの用事を頼まれるようになった。兄妹の仲が良いことは微笑ましい。最初はそう思っていた。でも私が車を出した時は必ずと言っていいほど妹さんの用事を頼まれるってどうなの?一応は「悪いな。」とは言ってくれるものの、大して申し訳ないと思っていないようにすら感じるようになった。

ある時は私が玄関前で「おはよう。」と言ったのに、それに対して返事もせずに「車出して。」と言い、どこに行くのかと尋ねても「そこを右。次の信号で左に行って。」と道順を言うばかりで、なかなか行き先を言わなかった。言いづらかったのかもしれないとも思うけど、物の言い方があるのでは?当然ながら妹さんからの一言すらない。私に用事を頼んでいることを知らせていないのだろう。そんな風に妹さんに対しては、カッコをつけている上に、些細なこととはいえ、私への気遣いが感じられないことも腑に落ちない。


たまりかねてその事について言ったら、てっ君はすご怒った。

「仕方ないだろう!ウチは複雑なんだから!俺が妹を支えてやらないと、かわいそうなんだよ!」

「それは違うんじゃない?」

「悪いなと思って、頻繁に言わないようにしているのに、そんな意地悪なことを言わないでくれ!幸せに育ったお前にはわからないんだ!」

はあ?幸せ?かわいそう?それは人を便利に使う言い訳にしか聞こえないわよ。


妹さんは舞ちゃんといって、私より一歳下の可愛らしい。てっ君がすごく可愛がっているのも知っている。半分しか血が繋がっていなくて、それだけに、家では寂しい立場であることも。

しかし、ソレとコレとは別だと思うし、私が意地悪を言っているととらえられてしまった。どうしてこんなことを言うのか、きちんと話そうにも、細かいことだと片付けてられてしまう気がして、それ以上、言えなかった。

ここから私達はギクシャクし始めた。

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