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「次はもっと…。」

「どれがいい?」

「どれって…。」

てっ君の問いに戸惑いを隠せない私。連れてこられたのは、ジュエリーショップ。しかも指輪のショーケースの前。

「もうすぐ誕生日だから。」

言われてみれば半月後には私の誕生日。しかしいきなり過ぎて唖然。指輪よりも新しいピアスの方が嬉しいんだけどな。

「いらっしゃいませ。どのような指輪ものをお探しですか?」

「誕生日プレゼントなんですけど。」

「かしこまりました。」

唖然としているうちに店員さんと彼とのやりとりが始まり、店員さんは指輪を見繕っている。

「ねえ、ピアスのほうがいいんだけど。」

店員さんに促されてショーケース前の椅子に並んで座ったときに、小さな声で言ってみた。

「じゃあ、ピアスも買ってあげる。誕生石にしようか。それとも、他の宝石いしのほうがいい?」

「いや、でも…。」

ピアスもって言われても、指輪だって決して安いモノじゃない。実際にここにあるものは、値札をチラ見した限りではどれも五万円前後。学生の私には高価すぎるものばかり。

「俺が、指輪を贈りたいの。あ。ネックレスも欲しい?」

いや、そういう問題ではなくってよ。

うろたえているうちに次から次へと右にも左にも薬指に指輪をはめられては外し、それらは布張りのケースに並べられていく。ケースは10月の誕生石の、オパール、トルマリン、ピンクサファイアのものを中心に色とりどりにキラキラの状態。そのくらいたくさん指輪が並んでしまっている。

「どれが気に入った?」

わかるワケないじゃない。

「ピアスとネックレスも見せてください。」

次は指輪に合いそうなピアスやネックレスが何点か運ばれてきた。

「よくお似合いですよ。」

店員さんに笑顔で言われても、ちょっと待って。似合うとかそういう問題じゃないでしょ?

「その組み合わせ、よく似合うよ。」

指輪とピアス、ネックレスを着けた私にてっ君が微笑む。

「あのう…。」

「どうしたの?」

「私には贅沢すぎると思って。」

「そんなこと気にしなくていいじゃん。俺が、指輪を贈りたいの!」

いつもなら柔軟な対応をする彼にしては珍しく、頑として指輪だけは譲らない。

そうこうしているうちに、店員さんとてっ君の意見が一致して、お会計をしてしまい、ラッピングした小さな紙袋をてっ君は受けとり、店を後にした。


そして今はホテルの一室でソファーに並んで座っている。普段のラブホではなく、お高めなホテル。

てっ君が紙袋からそれぞれのケースの蓋を開ける。

そっと私の着けているピアスを外し、ピアスを着ける。ネックレスをつける。そして左手を取り、薬指に指輪をつけた。

その手を握って抱き寄せ、キスを落とされる。

「少し早いけど、お誕生日おめでとう。」

「あ、ありがと…。」

「次はもっと大きい宝石いしのを買ってあげるから。」


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