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とりあえず、って感じ。

「あ。来た来た!」

エリが立ち上がて小さく手を振る。その方向を見ると、二人連れの男性が歩いてくるところだった。エリの彼とお友達。そのお友達のほうが、今日の私の相手なんだけど。

「左の人ね。」

左の人、ということは。右の人がエリの彼ってことね。ってことで左の人をチェック。服装はまあ、普通ね。チノパンにポロシャツ。顔は、ごく普通な感じ。私の好みかっていうと残念ながらハズレだけど、普通っていう表現がピッタリのおとなしそうな顔立ち。人は好さそうね。

「紹介するね。私の彼の白川君と、こちらが原田くん。」

二人がオーダーしたコーヒーを手に向かいの席に座るなり、エリが紹介すると、二人とも軽く頭を下げた。

「原田と申します。」

「原田くん、紹介するね。私の同級生の楓花。」

「初めまして。長野楓花と申します。」

こういうのって何を話したら良いかわからないんだけどなー。などと思っているうちにエリが彼と今日の予定について話している。なんか、仲良さそうでいいなあ。私は、この“原田くん”とこんな風に会話ができるようになるのかしら?

「…じゃあ、私たちそろそろ行くね。ごゆっくり。」

エリと白川くんはそそくさとコーヒーを飲み終えて立ち上がった。どうしよう。いきなり二人きりにされても。


手持ち無沙汰で、アイスティーを飲む訳でもなくストローを口にする。何か話すこと、ないかなー。名前は…、そうだ、名前!苗字しか聞いてないもんね。聞いてみよう。

「「あの…。」」

同時に声を発していた。

「あ。お先にどうぞ。」

「名前は、ふうか、というのはどんな字を書かれるのですか?」

「楓に花です。えと、原田さんは下の名前は?」

「かわいい名前ですね。僕は哲矢と申します。哲学の哲に弓矢の矢です。」

「そうですか。いい名前ですね。」

ここで会話終了。どうしよう。気まずい。沈黙の長さをストップウォッチで計ってみたいくらいだわ。

原田さんはほぼ空になったマグカップをもてあそんでいる。

「普段は休みの日は何をしていますか?」

「バイトに行く日もありますけど、バイトが無ければ友達と買い物に行くことが多いです。原田さんは?」

「映画が好きで、DVDを借りてきて観ていることが多いです。映画はお好きですか?」

「はい。割りと。」

またしても会話終了。本物のお見合いってこんな感じかしら?会話が進まないあたり、次回はなさそうね。早く帰ろっと。

「お腹空きませんか?」

帰ることを考えていると、原田君が言った。

「そうですね。」

そうね。お腹は空いてるけど。こんなに会話が弾まない相手と食事をするのもどうかと思うけど、お互いエリたちのカオを立てなきゃってところだろうし。

利害関係の一致ってことで、とりあえず、食事だけ行っておくことにしようかな。

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