どういう意味?
「浮気は男の甲斐性だ。」
「恋愛と結婚は別。」
付き合い始めて少し経った頃から、原田君は口癖のように言うようになった。私から見たら、そんな甲斐性いらない。後者に関しては、私も原田君の紹介の時に少し考えたコトだから、人のコトをとやかく言えないけどさ。
こんなことをしょっちゅう言われると、やっぱり打算的に“おいしい結婚”狙いで付き合う方が傷つかなくて済むかもしれないと考えちゃう。
原田君は優しいし、外見が派手ではないという点でも、もし私の家族に会うことがあった場合、ウケは悪くないだろう。このままおとなしく付き合っていれば、結婚まではこぎ着けられるかもしれない。経済的に恵まれていれば、平気で過ごせるものかもしれないわね。
そんな口癖を繰り返しているてっ君は突然言い出した。
「俺の回り、結婚ラッシュなんだよ。」
「私の方もだよ。」
私のまわりでは、高卒、短大卒の友達がちらほらと結婚しだしている。私はまだ学生だから関係ないと言えばそうだけど、出遅れた気分になっているのも事実。
「いつ結婚するの?」
それ、どういう意味?いよいよ別れ話?
「わかんない。まだ何も考えていないから。」
わたしは反射的にそう言った。いくら私でもプライドがある。そろそろ結婚相手を見つけろと言われるなんて…。
「俺は、30歳位までに結婚できればいいと思っているんだ。」
「そうだね。私もそんな感じかな…。」
うろたえないことがせめてもの私のプライドだった。どうしてそんなことを言うの?
しかし、その日の彼はおかしかった。
「ハネムーンでワンダーランドって、どう思う?」
「いいんじゃない?」
「でも、男の側からしたらカッコ悪くない?」
「そう?奥さん思いの優しい旦那さんって思うけど?」
「でもさあ…。」
「じゃあ、フロリダのワンダーランドに行けばカッコつくんじゃない?」
「イヤ、しかしさあ…。」
だんだん私はイライラしてきた。結婚相手を見つけろとと言った末に、他人のハネムーンの心配してんじゃないわよ!
「さっきから何?行きたい所に行けば、何もカッコ悪くないでしょ?」
「でもさあ…。」
てっ君はまだブツブツ言っていた。私にあんなコトを言っておいて、一体、誰の心配してるわけ?