ウソだろ? by 哲矢。
まだ涙声の楓花ちゃんを抱きしめたまま、俺はその腕を解けずにいる。
大事にしたいと思いつつ、思わず押し倒してしまったが、見事にすり抜けられてしまった。つまり不発に終わった。喜んで裸になる女に慣れている俺としては、かなり意外な展開だった。それにしても二十歳過ぎて処女なんて、ウソだろ?こう言っちゃナンだが、ブスならご縁がなかったということもわかるけど、あのルックスでこれは信じがたい。
いやしかし、事情がわからないワケではない。前のオトコのことまで話してくれたんだから。泣かれてまでそんなことをするつもりはない。待つしかないな。ヤれないのはさみしいけど、楓花ちゃんがいいんだから。
柔らかな唇の感触と、華奢な身体の外側だけはたっぷり堪能したけど、やっぱり早く俺のモノにしてしまいたい。こうしていると、股間が熱く…いやいや、こんなことを言ってしまうと年齢制限の枠に引っかかるな。
そして、気になるのが、楓花ちゃんがどう思っているのか読めないところだ。キャピキャピしていないのはいいけど、楓花ちゃんから抱き締めて来ることはない。キスにしても無抵抗という感じで、何と言うか、彼女から何かしてくることは今のところ皆無だ。
LINEにしても、なんともシンプルな文面でスタンプもデコ文字もなく、素っ気ない。スタンプやハートが満載のカラフルなメッセージを見寝れているだけに、不思議に思える。
「楓花ちゃん、じゃなくて楓花って呼んでもいい?」
抱きしめたまま聞いてみると、黙ってコクンと頷く。可愛い。可愛くてたまらない。少しは気があると思っていいんだろうか?
そろそろ品定め、いや結婚相手を考え始めたい時期でもある。さすがに親が見合いの話を持ってきはじめたところなんだ。見合いで適当に結婚して、外に愛人を作ってしまうことを考えていたが、今は見合いと楓花を同時進行させることはしたくないと思うようになった。