エルフの森
「うぅぅぅ」
窓から差し込む木漏れ日で目が覚める
「うぅここは?」
「目が覚めた?」
「わっ!!」
びっくりして飛び起きた
すると体から激痛が走る
「いって」
「わっまだ安静にしてなきゃダメだよ」
目の前には1人の少女がいた
いやただの少女ではないその少女は、至って普通の少女だった
そう耳が長いことを除けば
「あ!えっとここは、エルフ族の森だよ」
耳に視線を向けていたからか何にしても恩人に対して失礼だったかもしれない
「すまない珍しかったからつい見てしまった」
「ううん気にしてないよそれより、君の名前は?」
「俺は、ユリウス、ユリウス・アルカディア
君は?」
「私は、シルヴィ」
「ユリウスは、どうしてあんなとこで倒れていなの?」
「えっと俺は…」
突如頭に痛みが走るまるで思い出すのを拒否しているように
「すまない分からない」
「あ、えっとそうだよねまだ目が覚めたばかりだもんね」
「いやそうじゃない思い出せないんだ何も…」
「えっとじゃあ年は?」
「えっとたしか11だ」
「そう私と同じだね
じゃあどこに住んでいたの?」
「えっとーくっ」
痛みで頭をおさえる
「ダメだ分からない」
「えっと焦らなくてもいいよここには、いつでもいていいから」
「そうかすまない あとありがとう」
この日がユリウスにとって忘れられない日となる
そう最愛の人との出会いであり
そして新たな悲劇の幕開けとなる
ユリウスとシルヴィが出会って1年後
「ユウー」
ユウとは俺ことユリウスのことだ
「また狩って来たの?」
「おう今日は、ウサギ鍋だな」
「ふふっじゃあ腕によりをかけてつくるねっ」
「あぁ頼むシルヴィの料理だったらいくらでも食べれるよ」
「ふふっもうユウってば言い過ぎだよ」
俺達がピンク色の雰囲気を醸し出していると
しわくちゃの化け物が現れた
「誰がしわくちゃの化け物じゃ」
なっ心を読まれた
ユウまたワシの孫に手を出そうとしおって
そうこのしわくちゃは、なんとシルヴィの祖父でしかも森の長老をしているのだ名をシグムドという
森のみんなからは、立派に生えた無精髭からヒゲ爺と呼ばれているなんと安易なあだ名だろうか
「それでなんか用か?クソ…ヒゲ爺」
「おいおぬし今クソジジイと言いかけたろう?」
「それで用は?」
「はぁまぁ良いお主もここに来て1年になるからのう盛大に祝おうというわけじゃ」
「それは素晴らしい考えですお爺様」
なんとこのジジイにしては粋な計らいだ何か裏があるのか?
「裏もなんもないから安心せいちゃんと善意からじゃよ」
なっまた心を読まれた
そして半刻ほど経つと
森は盛大に賑わっていた そう主役であるはずの俺を差し置いて
そして俺は1人で小川にいた
そう俺が倒れていた小川に
「ユウ」
そこで俺の名が呼ばれる
振り返るとシルヴィがいた
「ユウがここに来てもう1年になるね」
「あぁ結局1年経っても記憶は、戻らなかったけどな」
そう俺は、あの日からずっと自分が何者か分からずにいた
「ユウはその…自分が何者か気になる?」
「え?あぁ」
「じゃあいつか自分を探しに旅立つの?」
シルヴィは、消え入るような声で言った
俺は、分からなかったなぜ唐突にこんな質問をするのか
だけどもしも俺と離れたくないというのなら
もし俺と同じ気持ちを抱いているのなら
「シルヴィ…俺は、君のことが好きだ!」
「え?」
「だから俺は、どこにも行かない君が俺のことを何者でも構わないというのなら俺は、君のそばにずっと居たい」
「うぅぅぅぐすっ」
シルヴィは、突然泣き出した
そして俺は、困惑した
「え?シルヴィ?」
「うぅ違うのこれは嬉し涙だから」
「え?それじゃあ」
「うんっ私もユウのことが好き
ユウとずっと一緒に居たい」
「シルヴィ」
「ユウ」
どちらかともなく手を取り合う
そしてお互いの唇と唇が触れ合った
ドギャンという爆音が鳴り響く
「みんなのいる方だ行ってみよう」
「うん」
この時彼らは知らなかった
この先に絶望があるとは…