別side1.影 byルル・フリュスタル
短めです
私は、縁の下の力持ち。
村を支える巫女。
白銀の髪の毛を持って生まれてくる瞳晶の一族。
ただし、必ずしもこの村で生まれるわけではない。
私は、人の前世も見ることができる。萌葱には当たり前だが、はっきりとした前世があった。
とても大量に。
だって、萌葱だもん。
まあ、今日の武術試験はつまんなかった。
負けたあとはつまんない。
私は目立ちたくない。
それに、目立てばまた、あのときのようになってしまう。
出来るだけ影に隠れたい。
そうだ、次は決勝でか…
アミア・ルンドルフ対篠原萌葱か…
脅しが勝つか、速さの前に瞬殺されるか…見ものね。
共通することは、魔法が苦手…
本当にそうだろうか?
まあいいや。
「ゴォォォォォン!!!!!!」
試合開始の合図だ。
黄土色の砂地に、少女は、闘いという舞を始めた。
柵の中で。
アミアは予想通り鞭を、萌葱は意外にもロングソードを選んだ。
両者ともに相手のでかたを伺って動かない。
ふむふむ…予想どうりの始まり方だな…
『お前みたいな穀潰しなんて、要らねんだよォォォォォ!!!!!!!』
うわぁ、こっわ。もうお嫁にいけないね…
『………』
萌葱はだんまりか。さてさて、どうなる?
『おい!!!!!何か言え!!!!このブスゥゥゥゥ!!!!!!』
で、あっ、自爆した。
言葉じゃないよ。
行動だよ。
鞭という中距離武器を片手に突進する。
馬鹿げた行動。アホみたい。
萌葱はこんな状況でも、嗤っていた。
萌葱に鞭が迫った。顔の目の前にきた。
ブン。
そこにあったはずの鞭と、そこに居たはずの萌葱はいなかった。
気づいたら、アミアの目の前だ。そう、萌葱は迷わず正確に鞭を避けてアミアに肉薄した。
そして、
ブオーーー。
口に仕込んであっただろう酒と火打ち石で炎を吐いた。
口に酒があったから喋れなかったのだ。
爆薬入り団子を投げ入れ爆発が起きる。
ロングソードを持ちながら、その範囲の利を全く使わずにアミアに近づくことを平気でやる萌葱も恐ろしいが、これに逃げずに立ち向かうアミアも恐ろしい。
『巻き起れ、闇を浄化せし焔を生む風ーーー
ー火炎旋風ー』
炎に巻き込まれなおも立ち上がっていたアミアが崩れ落ちた。
カンカンカァァァン!!!!!!
『勝者!篠原萌葱ぃぃぃぃ!!!!!』
勝利を祝う声は高らかに響いた。
アミアは数日後に目を覚ました。
変わったことといえば、私たちにちょっかいをかけてこなくなった。
火炎旋風が関係しているのだろうと萌葱に聞いてみた。
答えはあっけらかんと誤魔化されたが、精神攻撃を含ませた炎だったということはぼんやりと分かった。
ようやく萌葱の能力が目覚めるかもしれない。
とゆうか、これで目覚めなかったらどうすればいいか私でも検討付かない。