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おいしいポーション

 我が異世界カンパニー初のドラゴンキャッチャー、その景品はこれに決まりだ。


ぶっちゃけ、私の趣味なので失敗してもかまわないのだけれども、むざむざ失敗す


るのもあれなので可愛い女の子なんかを宣伝してもらっている。女の子に関して


は、奴隷商から買ってしっかり働けば解放するという契約もしている。他にも、経


営している孤児院で小さい頃から知っている子達が成長して手伝ってくれている、


もちろんお給金は払っています。他にも、魔法の修行時代や冒険者時代に知り合っ


た女性達にも手伝ってもらっている。というか、そもそも異世界カンパニーの作っ


た景品で失敗などありえないとは思うんだけどね。



 景品は『おいしいポーション 下級』。ポーションなんて、そんな安物と思うの


はこの世界を知らない人達だろう。ゲームなんかでは、すぐに入手したら上手い人


なら全然使わないなんてこともあるかもしれない。しかし、この世界では魔法薬な


のである。飲んだり、かけたりすることにより、その薬に応じた回復が見込める。


お値段もそれなりなので、最初に使った事があるアイテムがポーションですなんて


ブルジョアであろう。



 この世界には薬草が存在した。薬草というと大きなジャンルになってしまうの


で、今は食べれば回復する草と考えて欲しい。これが草食動物ならば、美味しく食


べる事ができたかもしれない。しかし、人間にはあまり美味しくない。調理すれば


美味しいし、ポーションにすれば薬効もあがるんですけどね。新米冒険者はお金が


ないので、戦闘中に怪我をすればまずい薬草を食べるが、回復量が少ないので多く


食べなければいけない。実力があれば、こんな経験をしなくてもよいが多くの冒険


者が、これを経験する。



 そんな不味い薬草を、ポーションにするのである。味はお察しの通りである。と


いうよりもおいしいポーションは身内の間では使用していたのである。なぜってい


うかと、おいしいポーションを作ったのは私であるからである。なぜ流通させなか


ったかというと、やはり利権がらみで面倒くさい事を嫌ったのと、実験をするため


の素材やら準備に実験やらにも時間を使っているからである。まぁ、回復量は同じ


か微増というところである。


 薬草は、私の初依頼のアイテムだけあって感慨深い。今では自前の空中庭園で、


ハーブのように品質の良い薬草を育てているし、他にも必要な材料は自前で用意で


きるし、調合できる錬金術、薬草使いなどといった人でも十分確保できているので


品切れになることもないだろう。容器に関しても、私が作ったアイテムで解決でき


る。



 蛇足だが、乾燥薬草を卸していた薬屋というか花屋の女の子が、小柄で華奢なの


にボーイッシュなつり目な女の子が忘れられない。お母さんはボインなのにね。お


祖母ちゃんは、きっと魔女に違いない。あの若さは魔法か、それとも遺伝なのかな。




 ドラゴンキャッチャーを設置してから、異世界人は初めてのクレーンゲームをす


ることになる。はじめは可愛い女の子目当ての客が多かったが、後にアイテムの性


能がしれわたり大繁盛になる。ちなみに、少しはイケメンの店子をおいて女性客も


確保していました。



 当然、繁盛すれば困ったお客さんもくるわけで、対処の方法はいくらでもでき


る。まずは、警備員を配置する事である。


 「モブジロウ、モブタロウわれらの出番が登場っタ。」


 「モブタロウ兄、わかってるっジ。」


 「われら三つ子の前に不可能はないっサ。」


 「「「一人を除いてっタ・ジ・サ」」」


 彼らは冒険者ランクにしてCランクに位置している。Cランクは冒険者として一


人前であることをしめしている。冒険者として一人前ということは、一般人よりも


かなりの実力をもっていることをしめしている。


 初めは下級ポーションということで、下級冒険者が多く殺到した。他にも中級冒


険者の、不味いポーションに堪えられないもの達もやってきた。おいしいポーショ


ンの秘密を探ろうとする商人や錬金術師などもきた。


 一般人にも、すぐに怪我が回復するということで重宝されるようになり、一般人


も多くドラゴンキャッチャーへとやってきた。クレーンゲームがあり、それを操作


するのが上手い人がいれば、やはりそれを商売にする者も誕生するのである。


 クレーンゲームは、まさに戦場と同じである。いくらお金をつぎ込んでも、操作


が下手ならば得られるものはない。まぁ、経験や時間つぶしなどといったものは得


られるが現物はない。クレーンゲームが上手いというだけでゲーセンで英雄になれ


るのと同じである。



 ドラゴンキャッチャーで、問題を起こすものは馬鹿である。なんせ、異世界カン


パニーを敵にすることは複数の大国に敵対すると同じ意味を持つからである。すぐ


れた冒険者や貴族になれば、情報の大切さを知る。なので貴重な情報という形のな


いものに大金を払う。


 それでも馬鹿はでてくる。Cランク以下の戦闘力の問題者には3兄弟などが相手


をする。しかし、BランクにAランクの戦闘力をもつ相手にも対策はあるのであ


る。


 3兄弟は思う。なぜなら、かつて3兄弟も異世界カンパニーのマスター社長に捕


らえられた者達であるからである。ちなみにマスター社長は、本当は会長だとかよ


びにくいからやめろといっても難しい。社長という概念がなくやっと定着したの


に、新しい会長というがすぐに定着するかというとそうではないからである。はん


ば、あきらめたりもしている。



 「おいおい、なんか中級冒険者が下級ポーションがあるなら中級ポーションもあ


るだろって暴れてたぜ。」


 「あぁ、おれも見てたぜ。でも、猫に捕まえられてたよ。」


 「猫って、あのネコ?か。」


 「そう、あの猫さ。」

 

 異世界カンパニーのマスター社長は猫が好き。

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