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姫さまと白い悪魔2

「これが、おもちか? 小さくてかわいらしいヤツじゃのう!」


いえいえ、姫さまのかわいらしさには及びませんよ、と心の中で呟きながら、シェフに用意させた七輪の上で焼かれている丸餅を眺める姫さまを愛でつつ、心を鬼にして姫さまに語ります。


「姫さま、いけません!」


「ふえっ!?」


目をパチクリさせながら、ざっ!と飛び退くように七輪から離れる姫さま。ああ、小動物かわいい!


「な、なんじゃ!?」


「いま、悪魔を心の中でバカにしましたね?」


「こ、こんなちんまくてかわいらしいヤツの、どこが悪魔なのかと思うてな」


「ああ! いけません。悪魔の怒りを買ってしまう!」


「ええ!? う、ウソをつくでないわ!」


ふふ、焦ってる姫さまもかわいいなあ。


すると、餅がいい加減に熱が通りはじめた様で、ぷくーっと膨らみ始めます。


「う、うわっ! こやつ、どんどん大きくなってゆくぞ!」


「そう、姫さまはお餅さまの怒りを買ってしまった……。もうじき白い悪魔はその怒りでこの部屋はおろか、王宮中を覆い尽くすでしょう……」



「な、なんじゃと! ど、どうすればよい?」


涙目で縋ってくる姫さま。チョーカワイイ!


「怒りを鎮めるためには、謝罪するしかありません」


「わ、わらわに頭を垂れろ、と?」


ぷるぷると今にも泣き出しそうながらも、威厳を何とか保とうとする姫さま。


「さあ、もう一刻の猶予もありません! 急いで!」


「わ、わあああん! す、すまなかった、すまなかったのじゃ白い悪魔よ! どうか怒りを沈めてくれはせんか?」


七輪に向かい、全力で謝罪する姫さま。完全にシュールな光景ですが、姫さまのかわいさはこの状況をも凌駕しますね、ええ。


すると、膨らんだ餅がぱん!と破裂しました。


「う、うわっ!」


「姫さま、よく頑張りました。姫さまのお気持ちが通じ、許されたようです」


「そ、そうなの?」


「さあ、お餅も出来上がりましたよ。いただきましょう」


「う、うむ!」


あちあちと急いでこんがり焼きあがったお餅を頬張る姫さま。


眼もとには透明度100%の涙がうっすらと残っていますが、破顔一笑。


今日も、アリ・フレータ王国は平和です。


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