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二人で首都到着

「魔物はこれで大丈夫だと思うけど、いざという時のためにこれを渡しておく」


 アディソンはタマキの差し出した数十枚のカードを受け取り、それを妙な表情で見つめた。


「これはなんですか?」

「それはインスタントスペルカードって言ってね、一度だけ決まった魔法が使える代物だ」

「魔法が、誰にでもですか?」

「そうだ。ほとんど攻撃系のカードにしておいたから、使うときには注意してくれてよ。これがファイアボール、爆発する火の玉を撃つ魔法だ。小さい魔物が複数出たときにはこれがいいけど、周りに被害がでるから注意してくれ。こっちはアイスバイト、氷の牙を撃つ魔法だ。打撃力があるから、でかい魔物に向いてるし、周りへの被害も出にくい。そしてこれがライトンニグボルト、雷の矢を撃つ魔法でまあ二つの中間くらいの特性って感じだな」


 アディソンはタマキの説明にうなずきながらカードを確認した。


「それで、攻撃系以外はまずヒーリング、これは怪我を治せる魔法だ。それとプロテクション、魔力で盾を作り出すんだが、まあこのあたりの魔物になら、まず破られないはずだ。持続時間はそれほどでもないけどな」


 タマキの言った順番でアディソンはカードを全て確認し終え、顔を上げた。


「それで、これはどうやって使うのでしょうか?」

「カードを持って、発動って言えばそれでいい。使う対象をしっかり見て、集中してやれば大体うまくいくはずだ」

「わかりました」

「ああ、それからまた戻ってくると思うから、あの家はそのままにしておいてくれるか?」

「はい。出発はいつなんでしょうか」

「準備もあるし、明日出発するよ」

「そういうことなら、お気をつけて」


 タマキはアディソンに見送られてその家を後にした。


 翌朝、荷馬車に荷物を積み込んだタマキとカレンは村人達に見送られて出発した。しばらくして、御者台のカレンは思い出したように口を開いた。


「タマキさん、首都に到着してからはどういった計画があるんですか?」

「いやー、どうしようか今考えてるんだよ」

「目当ての方が王宮にいるのが確実なら、私が潜入してもいいと思いますが」

「そんなことできるの?」

「方法ならいくらでもあります」

「まあ、それは着いてから考えればいいと思うけど」

「それもそうですね。しっかり調べてから方策を考えましょう」


 数日後、首都に到着した二人はとりあえず荷馬車を厩舎に預けてロドックの店に向かった。店内に入ると、ちょうど以前タマキをロドックの屋敷に案内した男がいた。


「よお、久しぶり」

「これはお久しぶりです。また何か御用でしょうか?」

「ああ、ロドックのおっさんはいるかい」

「奥にいますので、少々お待ちください」


 男は店の奥に入っていって、しばらくするとロドックがにこやかな表情で出てきた。


「よく来てくれた」


 ロドックはタマキの肩を叩いてから、後ろに立つカレンを見てうなずいた。


「そちらのカレンさんもようこそ、歓迎しますよ」

「色々お世話になると思いますので、よろしくお願いします」


 丁寧に頭を下げるカレンにロドックは機嫌が良さそうな笑顔を浮かべた。


「こちらこそよろしく頼む。それより二人とも、宿はもう決まっているのか?」

「いや、まだだけど」

「それなら私のほうで用意させよう。それでかまわないな?」

「そうだな、せっかくだから頼むとしよう。他にも頼みごとが出てくると思うけど、まあそれはまた後で話すよ」

「では仕事が終わった後に話そう。おい、この二人を宿に案内してくれ」


 ロドックはさっきの男を呼んだ。


 それからタマキとカレンの二人は、町の中でも質の高そうな宿に案内され、中々豪華な部屋に立っていた。


「これほどの宿をすぐに用意できるということは、確かに、かなりの有力な商人なのでしょうね」

「そうだなー、これは色々期待できそうだ」


 タマキとカレンは豪華なソファーに並んで座ってくつろいだ。


「それにしても、どうもこの町は雰囲気が妙ですね」

「そうかな? 確かに色々おかしなところはあるけど、それでもまだ平穏じゃないか?」

「どうも所々に不自然な魔力の痕跡が感じられるんです。タマキさんは感じませんでしたか?」

「いや、気にしてなかったな。サモン、お前は気づいたか?」

「いいや、そんなゴミは気にしてない」

「ゴミなどと断言はできませんよ」

「確かにそうかもな。でも、今はそれより優先しなきゃならないことがあるし」

「そうですね。そうすればわかることかもしれません」


 そこでタマキは立ち上がった。


「まあその前にそろそろ昼だし飯にしよう。こんな立派なところなんだからいいもの出すだろ」


 カレンも一つため息をついて立ち上がった。


「集中して考えられる環境は必要ですね」


 食事はタマキが予想した通り、豪華で申し分のないものだった。

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