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悪魔の一部

「あれ、ちょっとやばそうじゃない」


 カレンと合成魔族の戦いは、光が見えたという以外に詳しいことはわからなかったが、ミラやソラにも何かが起こっているということだけはわかった。二人は顔を見合わせてうなずいた。


「バーンズさん、僕達はあっちの様子を見てきます」


 二人と同じように異変を感じていたバーンズは首を縦に振った。


「わかった。ここは我々に任せておけ」


 返事を聞いたミラとソラはすぐに走り出した。おかしなことに、二人は全く魔物に遭遇せずにカレント合成魔族が対峙している場に到着した。そして、いきなり背後から声が聞こえてきた。


「君達、いいところにきたね。これから盛り上がるところだよ」


 ミラは振り向いてから、ファスマイドの姿を確認するとそれに詰め寄った。


「これはどうなってんの!」

「まあ、見てればわかるよ。下手に手を出せるような戦いでもないしね」

「そんなことは!」


 ソラは興奮するミラの肩を押さえた。


「姉さん、落ち着いて。カレン師匠が本気を出すんなら、今は僕達は見ているだけのほうがいい」


 ミラは言葉の意味を飲み込んでから、力を抜いた。


「それもそうか」


 それだけつぶやくと、ミラはカレンのことだけをじっと見つめた。


 カレンはその様子を横目で確認して、一歩足を踏み出した。合成魔族はそれを見て歪で獰猛な笑みを浮かべる。


「その余裕がいつまで続くかな?」

「無駄口はいいですから、早くしてもらえませんか。待って差し上げますから」


 しかし、待つ間もなく、合成魔族の体の中心に空間の歪みが生じると、それは広がり、その全身を包み込んだ。


 そして、歪みをまとったそれが足を踏み出すと歪みは消え、そこに現れたのは半分ずつのグロテスクな怪物ではなく、全身が闇に覆われ、顔も何もない形だけは人のような影だった。


 それは腕を顔の高さまで上げ、手のひらをカレンに向ける。カレンがとっさに剣を自分の顔の前に上げると、そこに熱線が直撃した。熱線は剣に当って弾かれたが、後ろに押されたカレンの前に、いきなり影が姿を現す。


 だが、カレンはそれに素早く反応して後ろにステップする。次の瞬間、今までカレンが立っていた場所の地面から炎が噴出した。カレンは着地する前に剣を横に振り、光の刃を飛ばす。


 光の刃は炎を切り裂いたが、影は横に移動してそれをかわす。そのまま横に流れながら、影は両手に火の玉を作り、それをカレンに投げつけた。


 カレンは地面を蹴って前に飛ぶと、素早く剣を振ってその二つの火の玉を両断する。そのままの勢いで影を切りつけようとしたが、それは真上に飛んだ影にかわされた。そして、上空から影は熱線を撒き散らした。


 爆発が巻き起こり、その場の全員が一時的に動きを封じられ、ミラとソラが上空を見上げた時には影はその姿を消していた。


「ちっ! あいつどこに」


 ミラが慌てた様子で周囲を見回していると、カレンの落ち着いた声が答えた。


「おそらくエミ様のところでしょう」

「じゃあすぐに追わないと!」

「もちろんです。私は先に行っていますから、あなた達もすぐに来てください」


 そこまで言うとカレンはすぐに飛んで行ってしまった。ミラとソラはすぐにその後を追い、ファスマイドはいつの間にか姿を消していた。


 その頃、恵美のいる小屋の前で展開しているバーンズと小隊の前に、いきなりあの影が姿を現した。バーンズはすぐに剣を構え、兵達を散開させる。


「貴様、何者だ!」


 バーンズの問いに影は答えず、ゆっくりと進んでくる。攻撃しようとする兵士をバーンズは手で制すと、剣のカードを入れ替えた。


 そして、バーンズは一気にその影に向かって走り、大きく跳躍した。


「メテオスマッシュ!」


 剣は勢いを失わずに影を両断し、そのまま地面に激突した。地面は陥没し、真っ二つになった影はその場で消え去る。だが、バーンズはすぐにその場から下がって再び剣を構えた。


「人間がこれほどの力を使うようになったか」


 奇妙にかすれたような声が上から響いた。バーンズが見上げると、そこには見た目は若いが、まとう雰囲気は全くその容姿とそぐわない青年風の男がいた。


 その男はゆっくりと地面に降りると、目を閉じて体を伸ばした。一見隙だらけだったが、その静かな圧力にバーンズはそれに手が出せない。


 数秒後、その男の背後にカレンが降り立つ。カレンは状況を確認してから、男を見て、口を開いた。


「あなたは何者でしょうか」


 男は軽い動作で振り返ると、にやりと笑った。


「お前達はオメガデーモンと呼ぶな」

「なるほど、あなたが黒幕ですか。待ちきれなくなって出てきたというわけですね」


 それにオメガデーモンは嘲笑を浮かべる。


「魔族を二体も使えば、お前達を相手にするくらいの力はこの世界で発揮できる」

「そういうことならば、試してみますか」


 カレンは剣を構えた。

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