明かされたこと
城に戻ったカレンは、まずヨウコの部屋に向かった。カレンが室内に入ると、ヨウコは待っていたかのように立ち上がって迎える。
「おかえりなさい。今日はどうしたの?」
「はい。エバンス様にお話したいことがあるのですが」
「じゃあ、ここに呼ぶ?」
「そうしていただけるのなら、お願いします」
ヨウコはうなずいて立ち上がった。
「少し待ってて」
ヨウコが室内から出て行くと、奥でソラと話をしていたファスマイドがカレンに近寄ってきた。
「さすがだね、王子妃様をそんな風に使うなんて」
「ヨウコ様にやっていただいたほうが角が立ちませんから。それに、この部屋のほうが都合がいいので」
「なるほどね」
カレンはそれに軽くうなずいてから、ソラに顔を向ける。
「ソラ、ミラとバーンズ様をここに呼んできてもらえますか」
「わかりました」
それからしばらくして、その部屋にはエバンス、ヨウコ、バーンズ、ミラ、ソラ、ジャド、恵美、ファスマイド、そしてカレンが集まっていた。
椅子に座ったエバンスがまず口を開いた。
「カレン、話を聞かせてもらおうと言いたいところだが、その男にも聞かせてよいのか?」
「どうせここにいなくてもどこかで聞いているでしょうから、気にしても仕方がないと思います。それに、今まで特に邪魔をするようなこともしていません」
ファスマイドはそれを聞いてにやりと笑う。エバンスはそれをちらっと見た。
「そうか、お前がそう言うならかまわない。話を始めてくれ」
「私は最近タマキさんから連絡を受けて動いていたのですが、先ほど少々厄介なことがわかりました。どうやらここに魔物が送り込まれるような計画があるようなのですが、問題はその魔物の力です」
「強力な魔物なのか」
「はい。一体倒してきましたが、普通の魔物とは比べ物になりません。ミラ達やバーンズ様ならば十分に対応できるでしょうが、普通の兵士ではかなりの数を揃える必要があります。あれが大量に襲ってきたら対応は難しくなりなるでしょう」
エバンスはバーンズに視線を向け答えをうながす。それを受けてバーンズは口を開く。
「カレン殿がそう言うのなら、間違いないのでしょう。そうなると我々としては、こことは違う場所で迎え撃つか、それともこちらから攻めて各個撃破を狙うかでしょうか」
「そうだな。その両方を組み合わせて対応するのがいいだろう」
そこでミラが胸を張って立ち上がる。
「そういうことなら、攻撃は私が!」
だが、カレンは首を横に振る。
「いえ、それよりも悪魔を引きずり出さなくてはいけません。そのためにはある程度相手の戦力を揃えさせておく必要もあります」
「でも、それまで相手を放っておくんですか?」
「もちろんそれはしません、私がある程度は数を抑えるようにします。今までもタマキさんと連絡を取ってやっていましたから」
「まったく、そんなことを秘密にしてたなんて」
ミラは不満気にそうつぶやいたが、カレンはそれに軽く微笑む。
「あなた達にはエミ様を守って欲しかったんです。それに、悪魔を引き出すためには、エミ様にも協力していただかなくてはいけません」
「それは恵美ちゃんをおとりにするっていうこと?」
ヨウコは心なしか厳しい表情になっているように見えた。カレンは動じることなくうなずく。
「危険はありますが、今のように予想できない状況よりも対処はしやすいと思います。それにその状況を乗り越えられれば、もしかしたらエミ様が帰る手立ても見つかるかもしれません」
「それはタマキ君がそう言ってるのね」
「はい」
カレンがヨウコにした返事に、恵美は身を乗り出し、ファスマイドはかすかに眉を動かした。
「具体的な方法はわかるのか?」
エバンスが聞くが、カレンは首を横に振る。
「いえ、それは聞いていません。ですが、タマキさんには何か確信があるようです」
その言葉にその場は少しの間沈黙する。そして、その沈黙を破ったのはエバンスだった。
「できればタマキから直接話を聞きたいところだが、そうできない理由があるのだろう。危険な手段はあまりとりたくないが、カレンの言うようにするのが、結果的には一番いいのかもしれんな」
エバンスが一同を見回すとソラが手を上げる。
「カレン師匠に聞きたいのですが、時間はどれくらいあるのでしょうか?」
「断言はできませんが、それほど時間はないでしょう。その時がくれば、私が連絡をします」
それからカレンは立ち上がる。
「では、申し訳ありませんが私は準備に戻ります」
「わかった、頼んだぞ」
エバンスがうなずき、カレンは一礼すると部屋を出て行った。それからエバンスは部屋にいる者達に向かい口を開く。
「聞いての通り、近いうちに激しい戦いがあるだろう。各々、戦いに備え、自分のやるべきことをしっかりと見極めて欲しい。私からはそれだけだ」