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アーブレリオナ

 ミラとソラが洞窟を進んでいくと、前方に帽子を被っているらしい人影が見えた。


「誰だ!」


 まずミラは大声を出した。すると、その人影はゆっくりと近づいてくる。


「お前達、何者だ」

「そういうあんたの名前を聞かせてもらいたいもんだけど」

「それもそうだな。私はアーブレリオナ、魔族だ。お前達の名も聞かせてもらおうか」


 それを聞いたミラはかすかな笑みを浮かべた。


「じゃあ、こっちも名乗るけど、私がミラ、こっちが弟のソラ。あんたが魔族っていうなら、ここで片付けさせてもらうよ」

「面白い。ちょうど失態をなんとかしたいと思っていたところだ。まずはお前達を倒して、それからあの男をなんとかすることにしよう」


 アーブレリオナは帽子を投げ捨てた。


「ソラ、あれよろしく」

「わかった。火の精霊よ!」


 炎がミラの剣を包み込み、それが剣を伝わってミラの体に流れ込んでいった。精霊の力を全身に漲らせたミラは、静かだが迫力のあるたたずまいだった。


「ソラ、あんたはタマキ師匠にこのことを報せて。ここは私がなんとかする」

「でも、それじゃ」

「大丈夫。いいから早く行ってきて」


 少し間を置いてから、ソラはうなずいた。


「無理はしないで」


 ソラは走って去っていった。アーブレリオナはそれを黙って見送り、ミラに視線を移した。


「準備運動にはちょうどいい」

「調子に乗ってるじゃん。痛い目見るよ、あんた」


 ミラは一気に踏み込んで、アーブレリオナに向かって剣を突き出した。だが、それはかわされる。後ろに大きく飛び退いたアーブレリオナは少し驚いたような表情をしていた。


「できるな。ならば、こちらも本気でいこう」


 アーブレリオナの雰囲気が変わった。ミラはその圧力に気圧されることもなく、輝く剣を構えなおす。


 それに向かいアーブレリオナは手のひらを向ける。すると、そこに雷のかたまりが発生した。それがミラに向かって投げつけられた。


 ミラはそれをかわしながら前方に走るが、アーブレリオナは落ち着き払った様子で、一見したところ無防備な様子のままだった。


 ミラはジャンプして上段からそれに剣を振り下ろした。だが、それは目に見えない壁のようなものに遮られ、アーブレリオナには届かない。


「チッ!」


 舌打ちと同時にミラは見えない壁を蹴って後ろに下がった。アーブレリオナが腕を振ると、そこに五発の雷の矢が放たれる。


 ミラは鋭く剣を振って、それを全て打ち払う。だが、そこにできた隙にアーブレリオナがいつの間にか目の前に現れ、正面から拳を突き出してきた。


 ミラはそれをなんとか腕で受けたが、体は大きく後ろに吹き飛ばされた。体勢を立て直してから、追撃がこないのがわかったミラは顔を上げて、笑った。


「思ったよりも大したことないね。戦い方もなっちゃいないし」


 それから、姿勢を低くして後ろに引いた右足をじりっと踏みしめる。


「いくぞ!」


 ミラは地面を蹴って逆袈裟に剣を振り上げた。アーブレリオナはそれを身を反らしてかわしたが、ミラはさらに踏み込み、振り上げた剣を振り下ろす。


 それもかわされたが、ミラはそこから体を回転させ、回し蹴りを放った。それは見事にアーブレリオナの体の中心をとらえた。


 アーブレリオナは衝撃に耐えられずに転がったが、ミラはそれを追いかけずに用心深く様子をうかがう。数秒後、その倒れた体はゆらりと立ち上がった。


「確かに、お前を侮っていたようだ」


 すると、その全身から強烈な放電が始まった。そして、の稲妻が一斉にミラに襲いかかる。ミラは剣でそれを受けようとした。


「ぐああああああ!」


 防ぎきれずに、ミラは稲妻にさらされた。だが、それはいきなり飛来したカードが発生させた魔法の盾に遮られた。


「まったく、せっかく見逃してやったのに、なんでこういうことをするのかな」


 タマキがソラを伴い、洞窟の闇の中から手に光を灯して姿を現した。アーブレリオナはそれを見て放電を止める。


「来たか」


 アーブレリオナは低い声でそう言うと、タマキのほうに足を踏み出した。


「ちょっと待った」


 膝をついていたミラは立ち上がり、タマキを腕で制した。


「タマキ師匠。こいつのことは、少しの間でいいので任せてください」

「できるのか? いや、やるんだな」


 それだけ言って、タマキはミラの背中を叩いた。


「じゃ、任せた。でも、危なくなったらすぐに手を出すからな」

「はい。師匠はそこでゆっくり見ていてください」


 ミラは笑顔でそう言うと、ソラのほうに顔を向けた。


「ソラ、風の精霊の力をよろしく」

「でも、まだ同時には使ったことはないよ」

「いいから、勝つためにはそうするしかないの」


 ソラはしばらく考えてからうなずいた。


「わかった。風の精霊よ!」


 その声と同時に、ミラの剣が風をまとった。


「はああああああああああああ!」


 風は剣を通じてミラの体に取り込まれた。何かを抑えるかのようにミラは歯を食いしばり、アーブレリオナに剣を向ける。


「待たせたね」

「くだらん手品だな」


 アーブレリオナとミラは互いに構え、対峙した。

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