番外編 魔剣を当てた半端者レナ 2
冒険者ギルドに入るとざわめきがおこった。皆が私を蔑む目で見るがもうどうしようもない事だ。そんなことより今は冒険者になって強くなることが先決だ。
「すいません、冒険者登録したいのですが」
「はい、では名前と年齢をご記入ください。」
よかった、受付の人はちゃんと対応してくれるのか…
ここでもし登録を拒否されたらと考えていたため少し安心したがどうやら現実はそこまで甘くはないらしい。
「おい!ちょっと待てよ!ほんとうにそこの半端者を登録させるつもりかよ!」
「そうだ!そいつと一緒に思われるとか御免だぞ!」
「ギルド側からとしましては誰でも登録できるで特に問題はありませんが」
「そういう問題じゃねえんだよ!お前だって本当はわかってるだろ!」
私の登録に反対する冒険者とそれを庇ってくれる受付の人が言い争う。彼らからすると半端者として忌み嫌う私が同じ冒険者としてやっていくのが気に入らないようだ。
どうしようかと悩んでいると1人の男がやってきた。
「おい!うるせえぞ!なんの騒ぎだ!」
「マスター!」
「ギランさん!」
やってきたのはこの冒険者ギルドのギルドマスターらしい。
慕われているらしく先程まで争っていた冒険者も彼が来た途端大人しくなっている。
「それでなんの騒ぎなんだ?」
「それがそこにいる半端者が冒険者登録しようとしていたんで…」
「それでそれの何が問題なんだ?」
「いや、それは、その……」
ギルドマスターの問いかけに冒険者はだんだんと声が小さくなり黙ってしまう。
なにも喋らなくなったのを見てギルドマスターが辺りを見渡して、
「いいか!ギルドに登録するのに半端者とかそんなのは関係ねえんだよ!誰でも受け入れるのが冒険者ギルドだ!それに文句があるなら俺に言え!」
ギルドマスターが大声でそう言うと誰もが黙って動かない。
あまりの圧に圧倒されみんな文句を言う力も度胸もないのだろう。
「それでそこの子が登録するんだったな」
「あ、はい、」
「そうか、さっきも言ったがうちは誰であろうと歓迎するぞ。いろいろと大変だろうがせいぜい頑張んな。」
そういい去っていった。ギルドマスターのおかげでもう文句を言う人はいなくなり無事に冒険者として登録することができ、F級とかかれた証明書を渡された。
そこからはひたすらにモンスターと戦う日々だった。
ダンジョンに潜りひたすら戦いギルドによって依頼を受けて終わればまたダンジョンに潜る。そんなことを何年か繰り返していたらいつの間にかB級まで上がっていたがまだまだ力が足りない。
ここまで強くなっても私を蔑む目は相変わず変わらないがB級である私に表立って絡んで来る人もいなくなり、多少過ごしやすくなった。
無事に依頼をこなし久しぶりにギルドに戻るとなにやらギルドが騒がしかった。
何かあったのかと受付嬢に聞いてみた。この受付嬢は私が冒険者登録した受付嬢で私を差別することなく普通に接してくれて、なにかと気にかけてくれる優しいやつだ。
「久しぶりに帰ってきたらなにやら騒がしくないか?」
「ええ、最近登録した人が珍しいスキルを持っていましてそれが原因で皆さん大騒ぎしているみたいです。」
「ほう、どんなスキルなんだ?」
「『ガチャ』というスキル名でして。発動するとなにやら不思議な物が現れるんですよ。それにお金を入れると自動で商品がでてきて、運がいいと上級ポーションとかスキルの種が手に入るので皆さんそれが目当てみたいですね。」
「な、、上級ポーションとスキルの種だと、、、」
ダンジョンでしか手に入らない上級ポーションもスキルの種が手に入るスキルなんてそんなスキルがこの世に存在するのか……
だが確かにそれならこの騒ぎも納得だ。
どちらも冒険者をやるなら重要なものだし売っても大金を手に入れられるしみんなやるはずだ。
「それに最近武器がでるのも現れたみたいですよ。」
「武器だと?」
「ええ、魔武器などが出るらしくて、しかも1番いいのだと魔剣が出るらしいですよ!」
「な、魔剣が、、、」
魔剣、それはあらゆる武器の中でも聖剣と並び頂点に君臨する武器だ。
普通の武器はもちろん魔武器でも圧倒する力があり、魔剣は使い手に強大な力を与えるらしく、それに相応しい切れ味と耐久力を備えているらしい。
これだ!私の武器はこれしかない!
直感で確信した。私の持つスキル『自己強化』は強いが私自身が強くなるのに対して武器は強化されない。
そのため武器の消耗が早く最悪戦っている途中に折れてしまうことがある。
だが魔剣なら私のスキルでも耐えられるだろう。これならあのオーガ達に復讐を果たせる。
受付嬢にそのスキルを持つ冒険者がやっているガチャ屋という店の場所を聞いてそこに向かう。
店に着くとすごい行列が出来ていた。スキルの種や上級ポーション、魔剣などが銀貨1枚で手に入る可能性があるのなら無理もない。
私が列に並ぶと周りがいつものように見てくるがもはや気になどしてられない。
誰かが魔剣を当てないように祈りながら自分の番が来るのを待つ。
ようやく店に入れるようになり、店内へ進むとやはり店内にいた客が私を蔑み、罵倒の言葉などが聞こえる。
そんな中で私のことを知らないのか周りの冒険者に私のことを聞いている男を見つけた。
受付嬢から聞いていた黒髪でやや細身の男だ。おそらく彼がこの店の店主なのだろう。私の話を聞いて出禁にでもなるのかと身構えていたが何もしてこない。
何もしないまま列が進んで自分の番がきたので店主は私に何もする気がないのだと分かり一安心した。
ガチャと呼ばれるものの前に立ち、皆と同じように銀貨を穴に入れた。
そうして触って少ししたら虹色に光るものが出てきた。
それを見た周りが騒がしくなる。この虹色がなんだと思うとそれは徐々に姿を変えてひとつの剣になった。
とても力強さを感じ見るもの全てを切るような剣。間違いなく魔剣だと確信をもてた。
「おめでとうございます!見事魔剣グラムを引き当てました!」
店主が近づきそう言ってくる。
確かに魔剣を手に入れたかったが私なんかが当てたことに信じられない。
「ほんとうに私なんかが当てたんですか?」
「ええ、もちろんあなたが当てたのですよ。おめでとうございます。」
店主がそう言うのなら本当に魔剣を当てることができたのか!
そう思うと感動のあまり涙がでそうになる。
周りは私が魔剣を当てたことに騒いでいるがもうそんなのは気にもとめない。
「では魔剣グラムを当てたあなたには選択肢があります。簡単なことですのでこの先当てる可能性のある皆さんもぜひお聞きください!」
「選択肢?」
「ええ、武器のURを当てると盗難防止などのために武器の使用者登録が行えます。これを行えば魔剣を無理に使用者から引き離すこともできずそれを行えばその人には強烈な攻撃が行われます。それこそ死ぬ可能性のある攻撃が…」
それはありがたい。私のようなものには必要なものだ。
店主の言葉にすぐに同意する。
そのまま奥に行き登録をしてもらい店を出た。
店を出て暫く歩いて街の外に出た。背中には魔剣がありとても心強い。魔剣も当てて自分の力に耐えられる武器は手に入った。これならあのオーガ達にも勝てるだろう。
「よし、まずはこの力に慣れるところから始めるか。」
幸いにもあのオーガ達の居場所はここ数年で把握している。
あのオーガ達以外に仲間はいないようなので彼らさえやれば復讐は達成される。
そう考えオーガ達のいる場所を目指しながら魔剣を使いモンスターを倒して進んでいく。