魔剣グラムは誰の手に?
無事に開店初日を終え、しばらく経つが何故か未だに魔剣グラムは誰にも当たってない。
このままだと誰かに当たる前に武器ガチャが違う武器に切り替わってしまうのでここはスキルで確率を操作して誰かに当ててもらうとしよう。
だか、スキルの種と違いなぜかこの魔剣は確率を弄って特定の誰かに当てさせることができない。何故なのかは分からないが少しばかり確率をあげることはできるのでそれで何とかなるだろ。
スキルの種が2個でてるのでそこに魔剣グラムもでればガチャ屋も安泰するだろうし、次の武器が何になるのかはやく見てみたい。
「せっかくだし大々的に宣伝した方が盛り上がるか」
そうと決まれば明日の開店に向けて急いで準備を整えよう。
無事に準備を終え、開店する前に並ぶ人達に宣伝をしておく。
「えー皆さんいつもガチャ屋を利用してくださりありがとうございます。本日はそんな皆さんに感謝の気持ちを込めまして未だ出ていない魔剣グラムが出る確率を上げさせて貰いました!皆さんぜひチャレンジしてください!」
「おお!マジか!俺が当ててやる!」
「今日来たのは運があるな、これで魔剣も当てて俺が魔剣使いになってやる」
「魔剣さえ当てればこれまでの負けは全部帳消しだ!魔剣なんて売れば一気に借金返しても遊んで暮らせるぞ!」
どうやら宣伝はかなり好評のようだ。
まあ魔剣は男の憧れだしな、そこは元の世界でも異世界でも変わらないか、てか毎日来てると思ったらあの人借金してまで来てるのか…
色々と複雑な思いになるが俺にできるのはみんなにガチャを提供して楽しませるだけ、俺は儲かるしみんなも運が良ければ儲かる、それに早くも人の爆死を見て愉悦を感じる同志もいるし、とても素晴らしいことだ。
「では『ガチャ屋』開店します!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ 魔剣がぁぁぁ!!!」
「ははは………これでしばらく水だけの生活か………」
「また借金生活か………もうガチャなんてやらんぞ………」
なんか見事にみんな爆死してるな、魔剣じゃなくてもSSRなら当たってる人はいるがさすがにそろそろ出てくれないとなにか言い掛かりでもつけてくる人が現れそうだな。
さらに確率をあげようか迷っているとなにやら店の中が騒がしくなる。
「おい!あいつもきたのか」
「あんなやつに魔剣が当たってたまるか、さっさと帰れ」
「半端者なんかに勿体ない、当たっても宝の持ち腐れだろ」
耳を澄ませて聞いてみるとそんな言葉がちらほら聞こえてくる。
そんな歓迎されてない中みんなの視線の先にいたのは本来人間にはない額に角の生えた女性だった。
この世界に来て初めて人間以外の種族を見たが周りの反応を見るにどうやら他種族を嫌っているのだろうか?
情報を集めるべく周りの客に聞いてみることにする。
「なあ、あの女性有名なのか?なんかみんな歓迎してないようだが」
「なんだ店主は半端者を知らなかったのか?この街じゃかなり有名だぞ?」
「半端者?」
「ああ、半端者ってのは…」
客に話を聞くとどうやら半端者とは他種族と人間との間にできたハーフの人達らしい
レナと呼ばれる彼女はオーガと呼ばれる種族と人間の間に産まれたらしい。だがどうもこの世界はどの種族も他種族との間に子供を作るのは歓迎されてないようだ。
どうして彼女の両親が結ばれて彼女が産まれたのは知らないが、この世界では異なる2つの種族の血が混じり合うことでその両方から爪弾きにされるようだ。
両親がどうなったかは知らないがある日彼女1人でこの街にきて冒険者になったらしい。
当初冒険者の間では反対していたのだがギルドマスターが彼女の力を認め、冒険者として活動出来ているのだという。
だがギルドマスターに認められても大半の冒険者は彼女のことを歓迎していないようだ。
そんなこの世界の暗い事情を知ってしまったが俺には関係ない。なぜならこの店はガチャを引くためにあるのだ!
そこにあらゆることは関係ない!それに彼女は辛い環境の中必死に頑張ってきた、なら少しばかり幸福に恵まれてもいいじゃないか!
俺の中でもう心は決まった。これまで魔剣が出てこなかったのはきっとそういうことだったのだろう。ガチャ屋として特定の誰かを贔屓するのは本来なら間違っているのだろう。だがこのガチャの運営は俺だ!だったらやるべきことは決まっている。
いよいよ彼女の番がやってきた、スキルを使い今まで出来なかった確率を上げて誰かに当てさせることも今ならできると直感でわかる。
そんなことをしていると彼女がガチャを回した。そして出るのは当然虹色の光!
「え、嘘………」
「マジか!半端者が虹色だしたぞ」
「ハァァァ?全財産注ぎ込んででなかったのになんで半端者が1回ででるんだよ!」
呆然とする彼女とそんな彼女に驚きと嫉妬を隠せない客達で騒然としている。
彼女が魔剣を当てれば中には無理にでも奪おうとする人も出るかもしれない。
その前に事態を収拾しなくては、
「おめでとうございます!見事魔剣グラムを引き当てました!」
「ほんとうに私なんかが当てたんですか?」
「ええ、もちろんあなたが当てたのですよ。おめでとうございます。」
周囲の関心を自分たちに向けてることには成功した。
後は初めて武器URが出たことで発覚した力を使うだけだ。
「では魔剣グラムを当てたあなたには選択肢があります。簡単なことですのでこの先当てる可能性のある皆さんもぜひお聞きください!」
「選択肢?」
「ええ、武器のURを当てると盗難防止などのために武器の使用者登録が行えます。これを行えば魔剣を無理に使用者から引き離すこともできずそれを行えばその人には強烈な攻撃が行われます。それこそ死ぬ可能性のある攻撃が…」
そんな説明を聞いて周りはざわめく。その中には彼女から無理に魔剣を奪おうと企んでいた人たちも含まれるだろう。
「ではどうしますか?」
「もちろん登録します!」
「了解しました、ではこちらにお越しください。」
そういい彼女を店の奥に連れていく。これだけ脅しておけばきっと彼女から無理に魔剣を奪おうなどと考える人達はいなくなるだろう。
彼女のこれからの人生がどうかいいものになりますように…
そんなことを考えながら登録を行い彼女を見送る。