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依頼と指導

 翌日、エリアスは再び山を下りて町へと向かうこととなった。


 ――開拓を行う戦士、冒険者を国が管理するのは難しいため、それを担っているのが戦士ギルドである。冒険者ギルドと呼ばれることもあり、国としては臨時に人を雇い入れる場合、まずこのギルドへ依頼を行うことが多い。

 エリアスは町のギルドを訪れ用件を伝える。それに対しギルド側は、魔法使いはいるが実際に望む力量があるのかは不明、とのことだった。


「要求する内容はそれなりに高いため、依頼料も相応になりますが……」


 そうギルドの人間は語り、具体的な金額をエリアスは確認。ひとまず予算内でどうにか対応できそうであったため、正式にギルドへ依頼し、後は待つだけとなった。

 砦に戻ると、調査の準備を進めるフレンの姿が。声を掛けて後は待つだけであることを告げると、


「採用するかどうかについては、基準を設けたのですか?」

「ああ、ギルド内で評判がいい……つまりギルドランクが一定以上の人物。もしくは、魔力を測定して一定以上の魔力量を持つ人間、ということにした」

「魔力量だけで判断するのですか?」

「ランクのみが条件だと、さすがに町の規模から考えて厳しいだろうなという考えからだ」

「ギルドランクが高い方であれば問題ありませんが、魔力量の方だとどういう人が来るでしょう?」

「素質はあるけど、まだ実績のない人物……今回の仕事はあくまで調査だ。索敵魔法を維持する人員が欲しいから、必ずしも戦闘能力は高くなくても構わない。まあ、その場合は俺や帯同する騎士達の負担が重くなるけど」

「そこは仕方がないでしょうね……近隣の町は北部へ向かうために通る町ではありますが、戦士が集まる町は別にありますし」

「そっちの方にも依頼は貼りだしてくれるらしいんだけど、仕事内容は報酬面から、北部へ開拓へ赴こうという人間からすると、請けてくれるかどうかはわからない……だからまあ、俺が訪れた町の方が引き受ける人間が出てくる可能性は高いってさ」

「難しいですね……後は、ちゃんと指示を受けてくれる方が来ればいいですけど」

「そこは運だな……人が来ない可能性を考え、準備をしておく必要はあるな」

「この砦にいる人間から選ぶということですか」

「元々、索敵魔法を使うために補助として誰か連れていこうとは思っていたんだ。一番魔力を保有している人員に頼んで、指導をする」

「どのくらい掛かりますか?」

「本人の適性によるな。索敵魔法は攻撃魔法とは違うセンスがいるからな。長ければ数週間は掛かるかも」

「戦士ギルドで依頼を請ける人間が出てくるのと、どちらが早いでしょうね」

「早く調査に行けるよう祈るしかないな……というわけでフレンは準備を進めてくれ」

「はい……とはいえいつ調査へ向かうかわからない以上、物資の調達はしますが調査員個々に必要な物を細かく調整、といったことはできませんよ」

「ああ、そこは仕方がない。ともあれ、動き出した以上はもしもの可能性に備えてしっかりと用意はしよう」

「わかりました。私の方は作業が一段落したら情報収集に戻ります」

「ああ、頼む――」






 依頼を行ったからといってすぐに結果が出るわけではなく、翌日、さらに翌日となっても連絡は来なかった。

 その間に調査に赴く人選を進めていく。ルークとレイナが同行するのはもちろん、索敵魔法を使う人員を選び、訓練を施すことに。無論、ギルドから人が来ればそちらに任せる予定ではあるが、今後の役にも立つだろうということで、指導はすることにした。


「なんというか、ずいぶんと器用ですね」


 指導をする間に、選んだ魔術師――女性魔術師がエリアスへ声を上げる。


「聖騎士、ということでこうした魔法が扱えるというわけではありませんよね?」

「……東部では結構人材が不足していてさ。場合によっては騎士だけで色々な状況に対応しなければいけなかった。魔法を学んだのは必要に迫られて、だな」

「その結果、強くなることに繋がったのは面白いですね」

「武を極める、なんて目標を掲げている俺は魔法と出会ったのは良かったと思っているよ。でも、騎士と魔術師は基本的には分業にした方がいいのは事実。騎士の負担が多くなるし、仕事も大変だ」

「実際エリアスさんはこうして私に指導していますからね」

「そういうこと。可能であればこの仕事、他の人にぶん投げたいくらいだ」


 エリアスの言葉に女性は笑う。


「……技法を習得するのは、時間が掛かると思います。調査は遅れてしまいますが、構わないのですか?」

「仕方がない面もある。まあ魔物がいるのは確定だが、今まで町や村に悪さをしているわけではないから、少々調査が遅くなっても影響はないだろう。魔物が今にも襲い掛かってくるような事態だったら、もっと急いでいたかもしれないな」

「なるほど……もし今回、手を貸してもらう人物が良い方なら、その魔法を見てみたいですね」

「この砦に来てくれるかどうかも不明だけど……まあ、仕事が無事に終わったら、一度話を通してみよう」


 エリアスの言葉に女性は「ありがとうございます」と礼を述べた。


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