表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/179

聞き込み

「二人とも、あの村で聞き込みをしてもいいか?」


 エリアスが問うとルークとレイナは同時に頷いた。よって、農村を訪れて話を聞くことに。

 突然騎士が訪れたことで村人は驚いた様子だったが、調査であることを説明すると納得し、話をしてくれた。


 その相手は農夫。魔物を見かけることはあるかという問い掛けに彼は、


「あー、小さい魔物なら森の中で見かけることはあるな。魔物が出たらすぐ逃げろ、と言われているからそれ以上詳しくわからないが」

「なるほど……開拓を行う場所では、魔獣オルダーと戦っていたのですが、その時に何か変化はありましたか?」

「ああ、この村にも情報が届いていたよ。変化は特になかったな」

「わかりました、ありがとうございます」


 礼を述べ、エリアスは別の村人へと話し掛ける。いくつか聞き取りを行ったが、内容は最初の農夫と似たようなものだった。


「うん、至って平穏……というわけだな」

「魔獣オルダー討伐による変化はなかった、ということでよさそうですね」


 ルークが言う。エリアスはそれに同意し、


「それじゃあ戻るとしようか。張り合いがなくて申し訳なかったな」

「いえ、エリアスさんの話を聞いて勉強になるところもありましたし、こういう調査によって平和が維持されると考えれば、価値はあると思います」


 ルークが言うと、レイナも同様に頷いた。それでエリアスとしても満足する。


(交流は成功したかな。今度も二人には話し掛けて、戦闘訓練なんかも一緒にやっていこう)


 二人がどれほど成長するかは未知数ではあるが――そんな風に考え村から出ようとした時だった。


「あー、騎士さん達」


 一人の女性が声を掛けてきた。


「あの、もしよろしければ相談に乗ってくれませんか?」

「……どうしました?」


 エリアスが問い返すと女性は少し躊躇いつつも、話し始めた。


「その、ここから北東……開拓をしている場所から少しズレるんですが、小さい山が一つあるんです」


 その話を聞いてエリアスはルークを見る。


「場所、わかるか?」

「おそらくナナン山ではないかと。小高い山に木々が生い茂っている場所です」

「はい、その通りです……それで、その山の中腹くらいに、小さな洞窟があるんです」


 洞窟――エリアスは小さく頷きつつ、彼女へ問う。


「その洞窟に何かがある?」

「ナナン山には木の実を採取したり、赴くことがあるのですが……基本的に山の入口周辺にしか足を運ばないので問題はないのですが、山の中腹にあるその洞窟から声が聞こえた、と言われることもあり不気味で……」

「魔物がいるかもしれない、と」

「あくまで可能性ですが」


 エリアスはそこで周囲を見回す。談笑する村人などが目に入り、


「他の人も同様の見解ですか?」

「いえ、ナナン山は少し距離があるので、あまり人が行くこともないのですが……」

「わかりました、山に近寄ってみて色々と調べてみます」


 その言葉で女性は礼を言う。彼女が歩き去った後、エリアスはルーク達へ話す。


「洞窟であっても瘴気が溜まらなければ特に何もない……まあ魔法で索敵するくらいなら寄り道するくらいの労力だし、やるか」

「わかりました」

「私も賛成です」


 二人が相次いで返事をしたので、エリアスはナナン山へと向かうことに。その道中、ルークは疑問を呈す。


「仮に魔物がいる場合、人が入ることは少ないにしても目撃情報があってもよさそうですが」

「先ほどの女性が言っていた声、というのは例えば風の音が反響していたりとか、色々な可能性はある」


 そうエリアスは受け答えをする。


「だから音だけで魔物がいるかどうかの判断はできないな。もし調べるとなったら、魔法による索敵以外にはない」

「魔物がいる場合、今まで見つかっていない理由は?」

「洞窟に住処を構える魔物か……色々と種類はあるが、例えば日の光が苦手だとかそういうのであれば、少なくとも昼間洞窟からは出てこないな。夜に村から離れた山に赴くなんてことは考えにくいし、そういう魔物の特性があったとしたら、見つからなかったというのも頷ける」

「確かに、それなら……しかし夜に活動するにしても、山の周辺にいたら見つかりませんか?」

「単純にナナン山周辺を生息域にしているなら、見つからない可能性はゼロじゃないな。まあそもそも、人里から離れた場所で魔物の調査をするケースは少ないし、見過ごされていてもおかしくはない」


 そう語ると共に、エリアスは一つ思う。


(こういう風に生き残っている魔物というのは、結構強いケースもあるが……さすがに人間の領域にいる魔物だし、そこまでの強さはないのか?)


「では魔物の危険度は?」


 さらにルークが尋ねる。それにエリアスは、


「魔物の能力はどれだけ長く生存し魔力を取り込んでいるかで決まるんだが、洞窟に引きこもっている年月が長ければ、強い可能性はあるな。ただ現時点で危険度を予想するのは難しい……ま、索敵してみて魔物がいたら、どうするかは改めて相談するとしようか。ノーク殿にも報告はしないといけないからな」


 エリアスの言葉に、ルーク達は頷き同意したのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ