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禁断の地下室  作者: 虫松


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第六話:希望の光

まもるは、地下室の中で数日が過ぎる中で、心の中に少しずつ希望の光が見え始めていた。彼はダニエルと共に過ごす暗闇の中で、時折彼の目が窓の方に向かうことがあった。家族が外出する機会を狙って、なんとか外に向けてメッセージを投げることができるのではないかと考えていたのだ。


ある日、護はついにその機会を得た。家族が外出している隙に、護は小さな窓の近くに行き、精一杯の力を振り絞ってメッセージを外に向けて投げた。メッセージがどこに届くのかも分からないまま、彼は不安な気持ちでその時を待った。


数日後、地下室の扉が開く音がした。護はすぐに耳を澄ませ、誰かが来たことを感じ取った。暗闇の中で目を凝らすと、そこに立っていたのはサラ(ホストファミリーの娘)だった。


サラは地下室の中の様子を見回し、目が合った護に驚きと憐れみの表情を浮かべた。彼女はゆっくりと近づき、護の目を見つめながら口を開いた。


「あなたが…護さんですか? 私、サラです。」


護は驚きながらも、彼女の言葉に希望を見いだし、震える声で答えた。「はい、私が護です…あなたが私のメッセージを見つけてくれたんですか?」


サラは頷き、彼の言葉に真剣に耳を傾けた。「メッセージを見つけました。あれがなければ、ここに来ることはなかったかもしれません。でも、どうしてこんなことが…」


護は彼女に状況を説明するため、できるだけ詳しく話した。「ジョンさんとエリザベスさん、そして保安官マイクが私たちをここに閉じ込めているんです。私たちのメッセージを受け取って、外に知らせてください。助けが必要です。」


サラは深刻な表情で頷き、護の話を理解した。「わかりました。何とかします。あなたとダニエルさんを救うために、私ができることをやります。」


サラは地下室から出ると、すぐに隣人オリビアの家に向かうことに決めた。オリビアにはすぐに護とダニエルの状況を説明し、彼女の協力を求めた。


オリビアは驚きと同時に、サラの話を真剣に受け止めた。「それは大変だわ。町の人々に知らせるために、すぐに動きましょう。」


サラとオリビアは、町の人々に真実を伝えるための計画を立てた。オリビアは町の会合で、護とダニエルの悲惨な状況について説明し、町の人々に協力を呼びかけた。町の人々はすぐに反応し、護とダニエルを救出するために行動を開始した。


町の住民たちが一斉にジョンの家に押しかけると、家の前には興奮と怒りが入り混じった人々が集まり、家族の家を取り囲んでいた。住民たちの中には、家族の秘密を知ったオリビアをはじめ、サラ、そして護とダニエルの救出を支持する声が上がっていた。


「ジョン、エリザベス、マイク! 出てこい!」と、ある住民が大声で叫んだ。「あなたたちがどんなことをしているか、私たちは知っている!」


ジョンは家の中で慌てて状況を把握しようとしたが、外の圧力は想像以上だった。彼は家の窓から顔を出し、群衆の怒りに直面した。「何が起こっているんだ? どうしてこんなことに?」


サラが前に出て、ジョンに対して冷徹に言った。「私たちは護さんとダニエルさんが地下室に閉じ込められていることを知っています。あなたたちがしていることがどれほどひどいか、町中が理解しています。」


オリビアも声を上げ、町の人々に支持を呼びかけた。「ジョン、マイク、あなたたちがしていることは許されません。町の人々はあなたたちの行為に対して強く抗議し、真実を求めます!」


保安官マイクは、ジョンと共に家の外に出たものの、その顔には困惑と焦りが浮かんでいた。彼は自分が職務を全うしていたと思っていたが、今や町の人々からの非難の矢面に立たされていた。彼は声を震わせながら言った。「皆さん、これは誤解です。私はただ、町のために…」


しかし、町の住民たちは彼の言葉に耳を貸すことはなかった。彼らの怒りは、町の安全を守るという名目で正義を押し込めていたことに対する強い反発から来ていた。


「誤解だと? あなたがどう言おうとも、私たちは護さんとダニエルさんを解放するまでここを離れません!」と、住民の一人が叫んだ。


町の人々は、家の周囲に集まり続け、ジョンとマイクに対して強い圧力をかけた。彼らの要求が高まる中、ジョンとマイクはついに譲歩せざるを得なかった。ジョンは歯を食いしばりながら、地下室の鍵を持って外に出た。


「地下室の扉を開けろ!」と、住民たちが一斉に声を上げた。


ジョンは無言で地下室の扉を開けると、護とダニエルが暗闇から現れた。護はその目に涙を浮かべながらも、サラに深く感謝の意を表した。「サラさん、オリビアさん…本当にありがとうございます。」


ダニエルもまた、外の光を目にしながら安堵の表情を浮かべた。彼は護の肩に手を置き、共に解放された喜びを噛みしめていた。


ジョンとマイクはその後、町の人々によって連行され、法の裁きを受けることとなった。ジョンはその冷酷な行為によって罪に問われ、マイクもその役割について責任を取ることとなった。


裁判の場では、ジョンは自分の行為を正当化しようとするも、証拠と証言が彼を追い詰め、最終的には有罪判決を受けることとなった。マイクもまた、自身の行動に対する責任を取る形で職を追われ、町の人々の信頼を失うこととなった。


町の人々は、護とダニエルの解放を果たし、正義が勝利したことに満足し、二人の新しい未来に希望を寄せることとなった。家族の秘密はついに明るみに出され、町は新たな平和と安全を取り戻したのだった。


END 


挿絵(By みてみん)




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