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禁断の地下室  作者: 虫松


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第四話: 逃走

まもるは暗闇の中、必死に心の動揺を抑えようとしていた。地下室の重い扉が閉ざされた音が耳にこびりつき、心臓が激しく打ち鳴っている。ダニエルのうめき声がかすかに聞こえる中、護は何とか冷静になり、どうにかしてこの状況を切り抜けようと考えた。


ジョンとエリザベス、そして保安官のマイクが地下室に一緒にいた今、この状況はますます絶望的に思えた。だが、護はまだ諦めていなかった。彼は決意を新たにし、なんとか脱出しようと試みる。


「早く逃げ出さないと…」護は自分にそう言い聞かせ、暗闇の中で出口を探そうとした。しかし、ジョンの視線は鋭く、彼の一挙手一投足を見逃すことはなかった。


「逃げようとするな、護。無駄だ。」ジョンは冷酷な声で言い放つと、ゆっくりと護に歩み寄ってきた。


護はその言葉に従うわけにはいかなかった。彼は懐中電灯を手に取り、最後の望みをかけてジョンに向かってそれを投げつけた。ジョンは一瞬ひるんだが、その隙に護は全力で階段に向かって駆け出した。


暗闇の中で足元が不安定な地下室の階段を駆け上がるのは困難だったが、護は必死だった。何度も転びそうになりながらも、護はなんとか地下室の扉へとたどり着いた。


だが、その瞬間、後ろからエリザベスが護に飛びかかってきた。彼女の手が護の腕にしっかりと絡みつき、逃げ道を封じようとする。護は反射的にエリザベスを振り払おうとするが、彼女の力は思ったよりも強かった。


「お願い、逃げないで!」エリザベスの声には悲痛な叫びが込められていたが、護にはそれに応える余裕などなかった。


「ごめんなさい!」護は叫びながら、全力でエリザベスを押しのけ、再び地下室の扉に手をかけた。しかし、次の瞬間、ジョンが猛然と追いかけてきた。


「逃がすものか!」ジョンの声が護の背後から響き渡り、その瞬間、護は強烈な力で後ろに引き戻された。ジョンの手が護の首にしっかりと絡みつき、彼を無理やり地下室の中に引き戻そうとしていた。


「助けて!誰か!」護は叫び声を上げたが、その声は地下室の分厚い壁に吸い込まれるように消えていった。


必死に抵抗する護だったが、ジョンの力は圧倒的だった。彼は護を容赦なく引きずり、再び地下室の暗闇へと戻そうとした。護の足元が床に引っかかり、彼は再び倒れ込んでしまった。


その時、エリザベスが涙を浮かべながら護に手を伸ばしたが、彼女の手は無力で震えていた。


「どうしてこんなことに…」エリザベスは泣き崩れ、ジョンに向かって何かを叫んだが、その言葉は護の耳には届かなかった。ジョンの冷酷な表情が護の視界に広がり、彼は絶望感に包まれていった。


護は最後の力を振り絞って再び立ち上がろうとしたが、その瞬間、背後からマイクが現れ、護の腕をしっかりと掴んだ。


「もう無理だ、護。諦めろ。」マイクの冷たい言葉が護の心を打ち砕いた。彼は再び地下室の階段を引き戻され、ジョンとマイクの手で地下室の奥深くへと連れ戻された。


「これで終わりだ。」ジョンの声が護の耳元で響き、彼は再び鎖に繋がれる瞬間を迎えた。


地下室の扉が重く閉ざされ、護はダニエルと共に再び暗闇の中に閉じ込められた。逃走の試みは失敗に終わり、護の心には絶望と恐怖だけが残った。


外の世界から隔絶された地下室の中で、護とダニエルは再び沈黙の中で過ごすことを余儀なくされた。希望は消え去り、二人を待っているのは、果てしない絶望の日々だけだった



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