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41話

「ぐああぁぁぁ!」

左肩から骨が砕ける音が聞こえる! 致命傷を受けた。そう思った所で後ろから陳宮を支えた者がいた。

「将軍を離せぇぇぇ!」

それは高順だった!

彼は自らの怪我など気にせずに槍を振り上げると張遼へ斬りかかる!

「やめろ!俺は無事だ」

呂布の声に高順は攻撃を止めた。

「将軍……一体!?」

信じられないと言った感じの高順に呂布は簡単に説明をする。

「ぎりぎりで張遼の一撃が右脇腹へと逸れたのだ。いや、曹性によって右脇腹に傷を負わされていたからそれが良かったのかもしれないな」

(本当は魔術キュアの力だが……今言うと混乱するから言わないでおこう)

陳宮の疑問は解消されたが一つだけ疑問が生じたと言う顔をしてるいる陳宮に俺は説明する様に話を続けた。

「俺を刺さなかった理由を張遼自身が教えてくれたよ、曹操の命だと言っていたな」

しかし、そう答える俺に対し陳宮は首を横に振っていた。

「それは恐らく本当でしょう……ですがそればかりではありません」

なるほど……曹性が力尽きるのを見極めていたと言う事か。

それが分かればわざわざ敵兵の死体を盗むような真似をしなくて済むと高順も納得したようだった。

高順も頷くと同時に曹性の首筋へ剣を向ける。

すると息も絶え絶えな曹性は俺達二人に言った。

「高順には分からぬだろうが……呂布には儂が考えている事は分かっておるはずじゃ」

曹性のその言葉の意味が俺には分からなかったのだが、当の高順だけは納得したようだ。

彼は言う。

「やはり呂将軍か」と……。

いや、だから俺には分からんよ!?

(って、俺も大概に武人バカだな)

そんな俺達へ曹性は満足げな表情を浮かべながら言った。

「これ以上の言葉は無粋であろうな……では、さらばじゃ呂布奉先」

そう曹性が言うと高順がその首に目掛けて剣を振るった。

剣は首を捉え見事に斬り落とす事に成功した様に見えた。

だが高順は訝しげな顔をしながら俺達の方へ振り向いた。

「斬った……はずだ」

高順の言葉に俺は目を凝らし、陳宮も彼の横で同じ様に目を細めながら見つめていた。

曹性の首は確かに落ちている!

だがその首から何かが出てきているのだ!?

それはむき出しになっている銅線とかであった。

(こいつ機械兵士だったわけか)

俺の考えている事を察した陳宮も慌てながら言う。

「機械兵ですか!?まずいです高順将軍」

そんな時、別の場所から声が上がった!

「危ない!」

それと同時に銅線を高順に射ち出して来た!

まさか……。

機械兵は三機いたというのか!?

高順が体勢を崩した所に銅線が放たれた。

まずい!当たる!?

「高順将軍!!」

そう言って陳宮は銅線を弾き返した! なんと!?その技術の高さに驚いたが、驚くべき事は続いて起こってしまった! 銅線を弾かれた機械兵はそのまま陳宮へ向けて射ち出してきたのだ! 慌てて俺と高順も身を挺して盾となり、陳宮を守る。

一射目は何とか防ぐ事が出来たのだが、それでも既に目の前には二機の機械兵がいて俺達に襲い掛かってきた!

「将軍!」

そんな中でも陳宮は冷静に対処しようとするが、ここで予想もしていなかった出来事が起こってしまう。

俺目掛けて放たれた銅線を高順が弾いてしまったのだ! この状況で失敗は許されない。

「いかん!」

と言う俺の言葉と同時に高順と陳宮が血溜まりの中で倒れている光景を俺は見ていた。

(まずい……このままでは呂布軍が崩れる)

そんな状況を見て思った。

(それも良し)

そう思いはしたがそれでだめだと思い

(これは使いたくなかったが)

バッグから光線銃を取り出し機械兵士に向けて撃つ。

一射目、二射目と放たれた光線は機械兵の頭部に命中しそのまま動かなくなった。

それを見た俺は肩の力が抜けるのを感じたが陳宮はまだ俺を心配していた様だ。

「将軍!」

俺の近くへ駆け寄る。

「大丈夫もう安心だ」

と陳宮の頭を撫でる。

「ちょ、将軍……あの……」

「なんだ?」

未だに頭を撫でる呂布に陳宮は

「恥ずかしいのでやめてください」

と顔を赤らめながら言った。

(俺ってそんな臭いか?)

そんな事を考えたのだが、この血溜まりの中で続けられる様な話でも無かったので手を放す事にした。

(結構傷ついているな……)

目の前で斬られる高順も陳宮の魔術キュアで修復している様子だが、肩を損傷している俺にも必要だろうと治療魔法を使う事にする。

「かの者に癒しの安らぎを『キュア』」

肩の痛みが引いていくと共に高順と陳宮が驚く。

「呂布将軍、その術は?」

陳宮の問いに俺は曖昧に答える。

「昔読んだ書物に書いてあった魔術でな……仙術と言うものだ」

以前も思った事なのだが仙術については記憶が曖昧になっている部分も多く、本当に俺が使用したのが仙術なのか分からなかったのである。

そんな俺に対して何かを聞こうとしていた陳宮だったがそれは叶わなかった。

何故なら外から扉を破壊される音が聞えたからだ。

慌てて外に出るとそこには十人の将達と数人の武将が立っていた。

「呂布将軍!御無事ですか!?」

先頭でそう叫ぶ張遼に俺は驚きながら口を開く。

「どうしてここに?」

俺の問いに張遼はにやりと笑いながら答えた。

「敵を騙すなら味方からと言うではありませんか」

そんな張遼の答えに納得しながら俺は気持ちを切り替えると近くにいた高順へ声を掛ける。

「高順、悪いが兵達に城の包囲を解くように伝えて来てくれ」

「御意」

その言葉を残し走り去って行く高順。

残りの武将達も俺の無事な姿を確認すると胸をなでおろすと共に喜んだ様子を見せた。

そんな彼らの後ろで俺も喜んでくれている趙雲を見つけると走り寄った!

「趙雲殿も来てくれたのですね」

その言葉に趙雲は俺を抱きしめながら答える。

「やはり高順だけでは不安でしたからな」

傍で見ていた陳宮が俺に対して焦った様に問いかける。

「あの?趙雲殿と将軍はお知り合いで?」

その言葉に俺は思わず苦笑いを浮かべてしまった。

「陳宮、細かい事は後で話すよ」

こうして俺は二倍の敵と激しい戦いをやり抜く事が出来たのだ! 曹操の首を目の前にしながら敗走した張遼は屈辱に顔を歪めながら呟いた。

「くそっ……呂布め」

「将軍、配下と兵達に負傷者は出してはいますが大きな怪我を負った者はいません」

そう報告してくる高順にも張遼は同意の言葉すら上げずに呂布達の逃げた方向を見詰めている。

するとそこへ一人の将が遅れてやって来た。

「張遼将軍、大変です!高順将軍の部隊が張遼軍と交戦しています!!」

そんな報せを聞いて思わず舌打ちした張遼に別の将が駆け寄りながら言う。「張遼将軍、これは一体どういう事ですか!」

その言葉に張遼は答える。

「今聞いた通りだ。どうやら我々の中に裏切り者がいたらしい」

その言葉を聞いて冷や汗を流す将に張遼は声を荒げて言う。

「私はどの勢力にも付くつもりは無い!覚えておけ!」

その迫力に他の者も黙り込んでしまう。

(いや、正確には『付いた』事が無いだけなんだけどな……)

そんな言い訳を考えながら俺は目の前の陳宮と張遼を見つめた。

二人の視線が俺に向かっている。

いや、睨んでるって言った方が正しいかな? ちなみに今のこの場には劉備が居ないのは配下の武将が出撃したのは伝えたのだが、今は別の場所にいるらしい。

「呂布将軍、全く持って訳が分かりません!」

そんな張遼の言いたい事も分かるよ。

(敵の裏切り者と間違えられたんだからな……)

俺もまた嘆息しながら説明を始めたのだった。

「何日か前に城門の前にあった曹操軍の軍旗と目の前にいる方の軍旗を入れ替えたのです」

俺がそう説明をすると張遼が身を乗り出しながら抗議の声を上げた。

「馬鹿な!私は兵士と共に城門の前で見張っていたのだぞ!」

そんな張遼へ趙雲がすかさず答える。

「呂布将軍にかかれば敵方の武将一人を騙す事など簡単なのですよ。私がこの軍に参加していた時からそうでしたから」

その言葉で張遼は納得しきれないといった感じで黙り込んでしまう。

張遼へ更に俺が追い討ちを掛けるように陳宮へ問いかけた。

「陳宮、今まで黙っていて済まなかった」

俺の言葉に驚いた表情を見せたのは呂布軍の武将達だった。

それもそのはずだろう、俺が今まで隠して来た事はそれだけ彼らの信頼を損なう事だからだ。

しかし劉備は別である。

(あいつは知っているからな……あいつが劉備軍の情報を漏らさなければ問題は無いと言ってくれた訳だし)

俺の謝罪に陳宮は首を横に振りながら答える。

「謝る必要はございません!呂布将軍を疑っていた己の愚かさを恥じるばかりです」

陳宮の言葉に対し張遼は怒りを込めて言葉を発した。

「ちょっと待て!やはり怪しいぞ!?噂で聞いたが黄巾の乱の際、曹操軍の武将と内通していた者がいたらしいではないか!!」

そんな張遼の言葉に頷いてしまう者も出て来る。

俺の説明が悪かったのか……それとも呂布軍の信頼度が以前よりも落ちてしまったのか。

しかし高順は怒りを込めて張遼に言う。

「我が主君を愚弄する気か!?」

今にも斬りかかりそうな勢いを見せる高順を止めながら俺は陳宮に問いかける。

「陳宮、前々からお前は俺に忠告してくれていたじゃないか?信用を無くすかもしれないと」

俺がそう言うと陳宮は頷きながらも答えた。

「その通りです……ですがこうも思い始めてたのです。将軍の器も広いが同時に疑う事も覚えてくれと」

陳宮の言葉に張遼も俺の信頼度が以前よりも落ちてる事を自覚したのか少し悲しそうな表情で俯いてしまった。

「呂布将軍!先程から言っている様に私は最初からその事を疑っていました」

そんな俺達の様子を見ていた高順が声を上げたが、俺は逆に問うてみる事にした。

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