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2話

 クレアは今とても悩んでいる。レイラがここ二週間位、何もしてこないのだ。

 前まではクレアからそういう態度を取らなくても誘ってきてくれたのに、最近は自分からいかない限り、イチャイチャしてくれないのだ。

 それでもすれちがう時に、こちらの方を見て欲求不満そうな顔をしているような気がするが、結局キスも何にもアクションを起こさず行ってしまうのである。嫌われたのだろうかと、とても心配になってしまうのである。

 やっぱり学校に入り、友達と会話していく中で、物事の考え方が変わったからだろうか?それとも自立していく年だからこそ、素っ気なくなるのは当然のことなんだろうか?

 そんなことを考えながら、風呂場に行く。やっぱり悩んだ時は風呂に入り、ゆったりとした頭で考えるのが良い。

 そうして服をだんだんと脱いでいき、白い肌があらわになる。160センチくらいの身長で、引き締まっているからだ。そしてそれなりに大きいが、まだまだ成長段階の淡い果実が目に入る。クレアは戦う時に邪魔になるから、そんなに成長しなくてもいいやと考えている。

 だけども、最近レイラの視線が自分の胸に釘付けになっているのを見て、きっと好きなんだと考えている。レイラが私の胸を好きで、私をもっと求めてくれるなら、それ以上幸せなことはないので、大きくなってもいいやも考えるようになったのだ。



 そんなこんなで、お風呂のドアを開けて中に入る。

 お風呂はさすが王様の家と言うべき広い浴場だ。

二十人でも狭くなく、子供なら、お風呂で泳げるくらいである。

 昔は家族一緒に入って、談笑したりもしたが、年を取るにつれ、みんなで入るのは恥ずかしい気がして、一人で入るようになった。だがこんなに大きいお風呂だと、より寂しく感じてしまう。そんな気持ちを誤魔化すため、明るく鼻歌を歌いながら髪を洗う。

 クレアは頭、顔、体の順番で洗っていくが、昔レイラと入った時に体、顔、頭という真逆の順番で洗っていたことを思い出した。

「洗う順番、真逆だね」と、何となく思ったことを呟き、レイラも「姉妹なのに何でかな?」と、何気ない会話を普通にして、とても幸せになった。

 最近レイラが構ってくれず寂しいのか、昔の思い出ばかり思いだされる。リラックスするためにお風呂に入ったのに、レイラへの不満のためか、昔の楽しい思い出が頭の中に浮かび、寂しくなる。

 やっぱり少しずつ成長して、姉離れをするのだろうか?それとも単に、嫌われることでもしてしまっただろうかと考え、鬱々となり、涙が出てくる。

「レイラは私を嫌いになったのかなぁ?何で話しかけてくれないのかなぁ?お姉ちゃん悲しい」と掠れた声で俯いて呟く。

 だからだろうか?風呂場に入ってきたいたずら的な笑みを浮かべた女の子に気付かなかったのは。




 レイラには大きな野望があった。それはまたお姉ちゃんとお風呂に入ることだ。

 昔は毎日のように一緒にお風呂に入り、体を洗い合ったり、流しっこして、とても楽しかった。お姉ちゃんに、わざと体をくっつけるようにして洗ったりもして、意識させようともしたが、鈍感なクレアは全く気が付かなかった。そんな鈍感なところもかわいくて好きだけど、やっぱり私の好意には気がついて欲しかった。

 それに悩んでる間に、クレアはだんだんと一人でお風呂に入るようになり、私の気持ちを伝えて、恋愛感情的な意味で愛されるという目標は達成されなかった。

 


 だから今度こそは鈍感なクレアに私の好きという気持ちを伝え、相思相愛になるのだ。

 そこで一つ作戦を立てた。

名付けて、「お風呂で仲を深めよう大作戦!」だ。

 その名の通りお風呂に入り、すっぽんぽんの生まれたままの姿で語り会うことで、仲を深めようとすることだ。

 しかも、ここ数日間は何もクレアとしていない。

こうすることで、寂しくなったお姉ちゃんが、より私の大切さを感じることができるようになる。

 これには大きなデメリットもあった。

 一つは、お姉ちゃんと触れ合えないことにより、私のメンタルが大きくやられること。これにより、何十回も我慢することへの失敗を繰り返した。

 もう一つは、クレアの心に傷をつけてしまうことだ。我慢の失敗は、こっちの方が大いに影響を及ぼしている。レイラも一緒にお風呂を入らないと言われた時、とても悲しくて泣いてしまった。

 自分もそのような経験をしたため、この作戦はしてこなかった。だけど、学校に入学してから、特に素っ気なくなったので、ついに実行するのだ。



 姉がお風呂のドアを締める音を、壁越しで耳をくっ付けながら聞き、こっそりと脱衣所に入る。壁越しで聞いている時、廊下でメイドにドン引きした顔で見られたが気にしない。

 鼻歌や水のバシャバシャした音が聞こえてくる。どうやらばれていないようだ。ばれないように警戒しながら服を脱ぐ。また、この日のために脱衣所に隠して置いた女性のデリケートゾーンを刺激する、お手製媚薬を取り出す。

 これぞ完璧なる作戦。クレアに愛されるためには、何でもするのだ。後は、私がお風呂に入って、寂しそうなお姉ちゃんを抱きしめるだけだ。




 お風呂のドアの前に立って、ドキドキする心臓と興奮の我慢を出来なくなってきている理性を抑えつけ、ドアに手を掛ける。

 それと同時にクレアの泣き声が聞こえてくる。それもレイラがいなくて悲しいという。

 これは好機と、気配を消して近付いていく。後ろに立っても子供のように泣いている。余程寂しかったのだろう。

 それにしても、お姉ちゃんはとても可愛い。そしてスタイルも良いし可愛い。やっぱり理性が抑えられなくなってきた。お姉ちゃんの背中はすべすべしていて、気持ちよさそう。しかも後から見える胸も可愛い。胸は私のフェチなのでそこから触りにいこう。あぁ、だんだん私の顔が崩れてきた気がする。二週間も我慢したのだから、もういいだろう。

 私は身体全体をくっ付けながら手で胸を触る。

 突然のことに驚いたクレアが、悲鳴を上げて、立ち上がる。急に立ち上がられたことにより、滑って頭をぶつけるレイラ。興奮していたこともあり、頭をぶつけて気絶した。



 

 目が覚めるとクレアの部屋の天井がみえた。また、クレアの良い匂いがして、もう一度眠りたくなってきた。目を閉じると、「寝るなー!」と言ういつも聞いている大好きな声が聞こえ、そちらに目を向ける。そこには、目の回りが赤くなっているクレアがいた。


「どうしたの、お姉ちゃん?」


「どうしたのじゃなわよ。何やってんの!」

 訳が分からず、顔がはてなになる。


「何惚けた顔してんの!お風呂勝手に入ってくるし、身体触ってきたと思ったら、気絶するし、大変だったからね!それに…」


「それに?」


 何か言いたそうだが、何だろう?


「と、とにかく何してたの!?」


 それにの続きを誤魔化されてしまったが、まあいいや。

 それにしても何したんだっけ?ぼんやりとした頭を働かせ、記憶を辿る。

 思い出した。「お風呂で仲を深めよう大作戦!」をしていたんだった。でも気絶してしまったと。

 なるほどなるほど、つまり作戦は決行中と。レイラは体を起こし、クレアに触ろうとするも、起きれない。

 ん?と手を見ると、両手に鎖。足を動かそうとするも、両足に鎖。

 クレアの顔を見ると、にやにや笑っている。しかも手にはレイラが作った媚薬。レイラは悟った。怒られると。

「これは何かな?」


「何なんだろうね?レイラわかんない。」


 堂々とすっとぼける。これをバレたら嫌われる可能性が大なので、絶対隠し通すのだ。


「レイラ、もう一度だけ聞くよ。これは何?」


 クレアが怒っている時ほど怖いものはない。だけど、負けられない時もある。


「体を洗う薬品だよ」


 ニコニコしながら答える。だが、


「嘘だね。目を見れば分かるよ」


 ため息をつきながら、平然とした様子で言ってくる。


「何年一緒にいるか、わかって言ってるの?」


 今度は優しそうな、どこかからかっているかのような声で言ってきた。今日のお姉ちゃんは情緒不安定だ。言わないけど。


「ところでこれって本当に何なの?」


 手に出して、匂いを嗅いだりしながら、観察している。それを媚薬だと知ったらどんな反応をするのか楽しみだが、今はそれどころではない。


「それはですね~、またの機会にでも教えるので、鎖を解いてくれませんか?」


「駄目。これ教えるまで解かないよ」


 こう言ったお姉ちゃんは絶対に言うまで、鎖を解いてくれないだろう。

さて、どうしたらいいのだろうかと考えていると、お姉ちゃんが上に乗ってきた。お風呂上がりの良い匂いが広り、自分の体が火照ってきた。顔を赤くして何をするのかと待っていると、脇をくすぐってきた。私が脇が弱いことを知りながら、くすぐってくるとは卑怯なり!


「どう?降参して喋る?私はどっちでも良いよ」


 悔しいが負けられない。でも、笑い過ぎて苦しくなってくる。このドSめ。卑怯だぞ。

 だがそんな言葉はクレアには届かず、三分後にはベラベラしゃべっていた。媚薬のことや学校の人達への嫉妬を聞いたクレアは、何を思ったのかレイラの服を脱がし始めて、媚薬をたっぷりとレイラにつけた。

 急にうずき出す身体。今触られたら、意識が飛びそうになる。

 触ろうとしてくるクレアに「待って」と告げるが、全然待ってくれない。むしろ、嬉々とした顔で、手を突っ込んでくる。


「レイラ大好きだよ!ごめんね、気付けなくて。でも、もう大丈夫だから。私が見ているのはレイラだけだからね!」


 そう言いながらキスをしてくるクレアは幸せそうだった。それを見て作戦は失敗したが、クレアの幸せそうな顔を見て、レイラは笑顔になりながら、体をクレアに任せた。




 それは何の抵抗も出来ず、可愛らしい声も出せなくなって、レイラの意識が飛ぶまで続いた。二人とも仲良く液体まみれで朝を迎えた。

 

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