【プロローグ】出会い、きっかけ
私の名前は葉月詩織。
黎明高等学校2年生。
小説が好きで、いつも小説のような恋に憧れていた。
自分の好きな人を小説の出来事に当てはめて妄想するのが好きだ。
私の好きな人は間宮優希くん。
私は入学式の時、彼に一目惚れした。
私が彼と両思いになれないことくらい知っている。
彼はクラス、いや学年の中でも一番というほどの人気者でサッカー部エース。
凄くベタな感じのツンデレ男子。
それに対して私は、クラスの一番下の軍団といっても過言ではない。
そんな私と間宮くんが付き合うなんてそんなこと絶対ない。
でも想像力があれば片思いだって楽しめる。
自分の妄想で自分たちの関係をどうにだってすることができる。
恋に消極的な私はいつまで経っても距離を近づける事ができない。
そうやって月日は流れていく。
そう思っていたのに…
―次の日。
私は高校まで電車で通学している。
朝は通勤ラッシュに揉まれて学校まで来る。
そんな時私は目を疑う光景を目にした。
間宮くんが同じ電車に乗っていたのだ。
私が驚きを隠せないでいると間宮くんは手招きをしてきた。
きっと私に対してではないと思い、無視をしていた。
「葉月さん。葉月詩織さん。無視は辞めてくださ〜い。」
え…?
間宮くんが私を呼んでいる?
そんなの信じられない。
どうしよう。鼓動が早くなる。
「葉月さんって、いつもこの電車で通学してるの?」
「あ、はい。」
「俺、昨日この近くに引っ越してきたんだよ。まだ分からないことも多いからよろしくね。」
「あ、宜しくおねがいします…」
「敬語じゃなくていいからね。あと優希って呼んでいいから。」
「じゃあ私のことも詩織でいい、よ。」
電車が揺れた。
その勢いで二人の距離が一気に縮まる。
そして私に壁ドンをして守ってくれる。
これがよくある恋愛小説の流れ。
でも…
電車が揺れて体重を支えきれなくなった優希と私の唇は触れ合った。
お互いの顔が火照る。
「ご、ごめんね。そんなつもりはなかったんだけど。」
「い、いや大丈夫。これは単なる事故だもんね。」
そういったまま二人の空気は気まずくなる。
でも、少しでも優希と近づけたから今はそれだけで嬉しい。
如月笑夢です。
今回は「小説とかでよく見る恋ですみません」をお読みいただき有難う御座います。
今回のお話はいかがでしたでしょうか。
感想・評価等あればしていただけると嬉しいです。
次のお話でお会いしましょう。