第7話 「アナタはドM」、真顔でそう言われた件。
※作者はアホです。「誰もやってない事」が大好きです。思いついたら実証したくて止まりません。是非お付き合い頂いて、その暴走の顛末を見届けてくださいませ (≧▽≦)
SF空想科学 にて ベイビーアサルト 第一部を連載中。
そして ハイファンタジー(転生/転移)にて 第二部 ベイビーアサルト・マギアス を同時進行。
第一部での伏線を第二部で回収、またはその逆、もある仕組みです。
両方合わせてお楽しみください。
「仲谷さん。その‥‥‥‥【魔法】とか【固有スキル】って何ですか? 一体どうやってやったか、教えてくださいよ」
「‥‥‥‥それなんですが、ちょっとここでは。ギルドでは初心者狩りもいますからね。【スキル】情報もおおっぴらにはしない方が無難です。アッチの世界で個人情報を守ったのと同じニュアンスです。いずれ、咲見ゆめさんにも【スキル】の発現があるかも知れませんから、それを楽しみに待ちましょう」
仲谷は、声を落して周囲を見渡しながら、そう言って、ふたりしてギルドの酒場の、わざわざ人気のない隅の方に移動した。咲見ゆめはその【魔法】とやらの話を詳しく訊こうと思ったのだが。
「人はそれぞれ【固有スキル】を持っているのです。あ、正確には持ってはいるけれど、発現したり見つからずに一生を終える人もいます」
仲谷は【魔法】と【固有スキル】の説明をしてくれたのだか、それは「特別枠」を取った方法としてではなく、こちらの世界での一般的な【魔法】の説明であった。
「こちらの世界では【魔法探知】の【スキル】持ちがいますから。その者が探り当てるんです。あ、ちなみに私の【催眠】は、その人の深層心理に向けて命令などができ、制約や行動のコントロールをするものです。でも【催眠】の名の通り、具体的な行動を強制するのは不向きなんですよ。で、ですね――――」
仲谷の「異世界【魔法】講座 入門編」は続いていく。たぶん、異世界に慣れてきたこのタイミングで説明しとこう、という事なのだろう。
「その代わり術が解けるまでの効果時間は長いです。かける【催眠】の前提条件を狭めれば、より強いコントロールが可能ではあります。あ、強いといえば、姫様の力で強制的に効果を高める事もできますね‥‥‥‥」
咲見ゆめは苦手なのだ。折角説明してくれているのだから今さら「その話では無いです」なんて言えないと考えてしまう。仲谷の気分を害してしまわないか、思料してしまう。
(まあ、「魔法」を使ったにしても何にしても、「特別枠」の事はもう過ぎた事なんだから)と、モヤモヤする気持ちを必死に抑え込んでいた。
「‥‥‥‥咲見さん。どうされたんですか?」
「あっ。はい。ごめんなさい」
考え込んでいた所で不意に呼び止められて身体が浮く。不意に、と言ったが単に自分が思考の世界の中に入ってしまっていただけなのだったが。
「『テオブロマ』。海軍のジンクスの話は聞いたけれど、あなたが何故この言葉にこだわるのかはまだ聞いてないですね」
「魔法の説明は終えますが」と、前置きしながら仲谷は言った。
「そんな、ただの昔話で‥‥‥‥」
と、咲見ゆめは自身なさげに返事をしたが、仲谷は退かない。
「‥‥旅の途中で『コーラ』という子と出逢いましてね。ラポルトでの、旅の途中」
「‥‥‥‥知ってます」
咲見ゆめは胸の奥が チリッと灼けるのを自覚する。そう。その子の名前は聞いている。
私の代わりにUO-003に乗った子。飛び入り参加ながら、暖斗くんとペアを組んだあの島のDMTパイロット。
「アマリア村出身。日焼けした肌とカラッとした性格。気持ちのいい子でしたよ。で、その子が言っていたんですよ。あなたの事を」
「え?」と、思わず声が出る。面識はないはずだ。一体なんて言っていたのか?
「‥‥‥‥真性のドMだって」
「なんですかそれ!!??」
咲見ゆめは自覚している。自分がそういう傾向なのを。麻妃にもよく指摘されたりしているから。だがなぜ面識がないコーラが言い当てるのだろうか。
「あのUO-002、003番機の連携を見て、そう思ったらしいですよ。そして『テオブロマ』がそのキーワードなんだろうと。まあ、直情的な子で、深く考えて言ってる訳ではなさそうでしたけれど、ね」
仲谷は破顔して笑っていた。クール系の彼女にしては珍しかった。
「じゃあ、話そっかな? でも本当に大した話じゃないですよ?」
咲見ゆめはそう言い、身にまとった逡巡を解いた。
「え~~と。私が小学生時代の、しょうもない話なんですけど。あ、小学校とかって仲谷さん分かります?」
新しく注文した紅茶をすすりながら、私は仲谷さんに確認をした。と、同時に、異世界にも紅茶ってあるんだと気づく。彼女の言う通り、元々あるのかもしれないし、私達の世界から持ち込まれたのかもしれない。
「知っておりますよ。小学校。もし、分からない事が出てきたらその都度聞きますので、どんどんお話を進めてください」
彼女も紅茶を口にしながら、手のひらをこちらに開いて見せた。「どうぞ」の合図だ。
*****
咲見ゆめは語り始めた。
それは、私が小学校4年生の時。2月のある日の事でした。
「え~~! なんで用事があるのよ? じゃあ行けないじゃん!」
その日、学校帰りの私は家に着くなり、お母さんと軽く言い合ってました。その原因――――みなと市には、「初午」っていう行事の時に、子供にうれしいイベントがあって。
町の宿泊施設やお店がね。その日訪れた子供達にお菓子を配ってくれるのです。
まあ、スーパーで売ってるような駄菓子とかなんだけどね。割と歴史があって「商売繁盛」、「ゲン担ぎ」、みたいな意味があるみたい。
で、当然その日は、地元の小学生は全員自宅へダッシュ! 学校から「一回ちゃんと家に帰らないとダメ」って指導が入るくらい白熱するからね。特に男子。回れるだけ回ってお菓子の大量ゲットを目指します。
足の速い子が有利かと思いきや、意外と奥深いんです。そのホテルとかが用意するお菓子の内容。数量。あと、混み具合とか場所とか。
「あのホテルは豪華でたくさん用意してるけど、今から行っても列に並んで時間をロスする。それより海沿いの中堅旅館を組み合わせて5軒回ったほうが」、
もう、みんな(特に男子)は必死だから、大人顔負けの情報収集と戦略を立てるよ。
「あそこのホテルは今年はショボい! あそこの旅館は今から行っても十分ある! あその民宿は弾切れだ」
などなど。この日はみなと市中が賑やかで、目の色を変えて走り回る小学生が見れるんです。
だけど、私はお母さんが予定を入れてしまったせいで、出遅れた上に当ても外れて成果ゼロ。さすがにゼロにはがっかりして。ひとりでトボトボ、重い足を引きずって歩いてたの。
「あ~~あ。ちょっとはどっかで残ってないかなあ」
そんな事を言っていたら――――。
そう、その時なのよ。お約束。道の向こうから、歩いてくる暖斗くんが見えてきたのね。
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