第2話 聞こえている?疑惑
SF空想科学 にて ベイビーアサルト を連載中。本作はその第二部です。
第一部の伏線を第二部で回収、またはその逆、もある仕組みです。
第一部と合わせてお楽しみください。
異世界転移をし、暖斗と麻妃と共に目を覚ました女性。それは、前の世界での、ふたりの同級生、逢初愛依に瓜二つであった。だが、その女性は言う。愛依さんはわたしの中にいます。わたしと愛依さんは、一心同体なのです、と。
「まあ、異世界に来るくらいなら、何でもアリって事か。未だに実感ないや」
麻妃は諦めるように言って。一方暖斗は、愛依――エイリアと名乗る女性――を、じっと見つめていた。
「信じるよ。見た目も同じ、来ていた服も同じ、なのは状況証拠でしかないんだけど、なんか、信じても大丈夫な気がする」
そう暖斗は言った。
*****
「でもさ~。一個気になんだよね~」
と、先ほどのゴブリン達を倒して、ギルドへ向かう帰り道に麻妃は言う。
「その暖斗赤ちゃんさあ、ウチらの声聞こえてんじゃない?」
「そうですか?」
エイリア姫が腕の中の赤ん坊をのぞき込むと、赤ちゃんはす~~っと視線を外した。
「ああ、やっぱアヤシイ。やっぱ」
麻妃は不審がる。
「大丈夫でちゅよね~。だって、こんなにかわいいんだもん」
エイリア姫は終始赤ちゃんに対してこんな調子だ。また、「むちゅ~」と顔を押しつけている。麻妃は食ってかかった。
「まさか、一緒にお風呂とか入ってないでしょうね?」
「ええ? 入ってるわよ。麻妃さんは入らないの」
「入ってるけど、服着たまま赤ちゃん洗ってから入ってます! 赤ちゃんの姿でも、14才のオトコだって事、ゆめゆめ忘れる事無かれ」
「うふふ。変な言い回しね。あ‥‥‥‥」
エイリア姫は顔を上げた。
「来ました。【感応】です。春からの通信。‥‥‥‥明日、この村に立ち寄るそうです」
「その、魔法って便利だな~。ウチらのいた世界よりも便利なのかも」
麻妃は感心する。
「この【感応】は、春と秋、ふたりが一卵性双生児だから。特別です。そしてわたしとは、【リンク】をしているから」
そう、エイリア姫は謙遜まじりに説明した。
「ああ~。固有の能力とか【リンク】とか、なんか色々あるんだよね。で、明日春さんが来るって事は、ひめっちも一緒じゃん? アツい! 久々の再開が異世界とは」
麻妃は飛び上がって喜んだ。
「ホントに久しぶりだ‥‥‥‥なあ!」
そして不意をついてエイリアの腕の中を覗き込んだ。
「ほら。今見た? ぬっくんもひめっちと逢えるって、コッチ向いて笑ってたのに、ウチが顔向けたら す~~って視線外して」
「そんなに急に顔を向けたら、ビックリしますから当然です」
エイリア姫は、あくまで暖斗を信じて疑わなかった。
「ああ。もうギルドが見えてきた。じゃあ姫さん行ってくるよ」
夕焼けの中、村のはずれにある冒険者ギルド、そこに魔石を握りしめながら走っていく麻妃の姿があった。
*****
そしてお風呂タイム。このミナトウ村は転移したポイントにほど近い村だった。そのまま空いている家に住まわせてもらっている。この国の姫であるエイリアが、何やら手続きをした様だ。
今日は、エイリアが赤ちゃんをお風呂に入れる当番だった。
「考えすぎでちゅよね~。麻妃おねえさんは」
と、別段気にする事もなく暖斗ベイビーと湯舟に浸かるエイリアだが。
「んん?」
暖斗の視線に気づく。先日暖斗が赤ちゃん化した時は、赤ちゃんの挙動そのものだった。だが今日は、明らかの自分から視線を外している。
「見えてるの‥‥‥‥?」
呼びかける。
「もしかして、赤ちゃん化をする度に、毎回状況が違うとか、だんだん14才の意識が残るようになってるとか?」
「‥‥‥‥」
暖斗は、湯舟の中で固まったまま動かない。
「‥‥‥‥」
沈黙の後、エイリアは笑った。
「うふふ。まあいっか。どうせこのカラダは愛依さんの物。わたしの物ではない、借り物だし」
「ほぎゃあぁ?」
暖斗が「ええそんな?」というような鳴き声をあげた。
「あら? やっぱり14才暖斗くんの意識があるのかしら? じゃあ、一応こうしましょう」
エイリアは脱衣場で暖斗を壁側に向けて座らせる。月齢5カ月程度の暖斗は、頭を安定させられず柔らかにフラフラする。
「こっちを見ちゃダメよ? うふふふふ」
身体を拭くタオルの音と、服をまとう衣擦れの音。
「夕ご飯できたよ~。って姫さん、赤ちゃんあんまり湯舟に入れると~」
入ってきた麻妃が暖斗を助け起こす。
「何やってんですか」
「ああ~。やっぱりこの人天然だわ~」
麻妃は再び、深いため息をついた。
ここまで、この作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!!
ブックマーク登録、高評価を、ぜひぜひ! お願い致します!!
評価 ☆☆☆☆☆ を ★★★★★ に!!
↓ ↓ このCMの下です ↓↓