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第10話 異世界芸能論を語‥‥‥‥ってあなただれ?

 





 私は(やよい)さんと、ある村を訪れた。この世界? ‥‥というか、この国? に、よくある感じの村だそうだ。


 最近あるウワサを耳にした。元々木工製品とかを作って売っている村なんだけど、近ごろ外から新しい人達が入って、より複雑な部品とか、加工品みたいのを作りだしたらしい。


「‥‥‥‥やっぱり春さん。私の世界『あっち』の人、なんでしょうか?」


「その可能性は高いです。あの村でそんなに急に工業レベルが上がるとは思えません」


「‥‥‥‥工業! じゃ、やっぱりあの!」


「ええ。『メンテ3人組』。みなと市の海軍中等工科学校、あの3人の可能性が高いです」





 オートウム村。――確かによくあるタイプの、中くらい、特に特徴がない村だった。


 早速ギルドに行く。そこで春さんが各方面に訊いて回ったんだけど。


「‥‥‥‥成果なし、ですか」


 私は正直がっかりした。折角『あっち』の世界の人、しかもラポルトメンバーに会えると思ったのに。――なんだかんだでまきっちやぬっくんにも会いに行けないし。あ~あ。早く誰でもいいから、お仲間に会いたい!



「‥‥‥‥ゆめさん。あちらに珍しく見世物小屋があるようです。折角なので見てみませんか?」


 春さんがこう言ってくれた。――それだけ私ががっかりしてるのを表に出してしまってたんだ。

 まあそうなんだけど。気を使わせてしまうのはちょっと申し訳ない。



 ――――んだけど、お言葉に甘えて、ふたりで観る事にした。理由はふたつ。本当に落ち込んだので気分を上げるキッカケにしたいな、って思ったから。

 あともうひとつは、一応私も元いた世界では芸能関係のお仕事してたし、この世界での娯楽――ネットも地上波も無い世界での娯楽――を実際に見てみたかったから!




 と、いう訳で春さんのエスコートでチケットを買い、芝居小屋の客席に着いた。う~~ん。絋国の近代以前の、え~と江戸時代? あの辺のテイストかな? 屋根があって舞台があって。

 うん。私も小劇場で少しお芝居のお仕事したけど、この開演前のざわざわした緊張感は好きかな。




 と、舞台が暗転して、再び明転して幕が上がる。芝居が始まった。あ、照明さんて光魔法なんだ‥‥。へえ。


 正直お芝居はあまり入って来なかった。なんかこの国の英雄譚っぽいんだけど、元ネタ当然知らないし。あ、春さんはたまに頷きながら楽しんでた。

 あ~~。春さん! 私を口実にして? 実は自分が観たかったんじゃぁないの?




 と、お芝居が終わって、エンドロール的な感じになった。と、言ってもアナログなお芝居だから、なんか音曲がジャンジャン♪ 鳴って、出演俳優さんが挨拶して、舞台袖から踊り子さん達がぞろぞろ出てきた。


 実際『あっち』の舞台とかでもあるけど、ミュージカル的な踊り子エンドな演出かなあ。


 でも確かにこの世界にはネットも地上波もないけど、それ故にこういう劇団一座がエンタメの主軸なんだって事は良くわかったよ。参考にしたいなあ。



 ――無事元の世界に戻れる前提ですけど。



 と、その踊り子の女の子達の中心、いわゆるセンターの子に思わず目がいった。



 何これ、この娘むっちゃかわいい。



 大きな瞳。整った鼻梁。食べちゃいたい系のもちっとした肌。

 私の芸能レーダーが反応した。――この子、明らかにあか抜けてる。




 ‥‥‥‥正直踊りはそんなに上手くない。っていうか覚えたてって感じで自身なさげだけど、ルックスが幼い感じだから違和感が無い。初々しさがスゴイんだよね。



 案の定、そのセンターの娘に一番声援がいって、「おひねり」って言うの? スパチャのアナログ版、というかリアルなお金が舞台に投げ込まれてる。あ~~。だからスパチャの事「投げ銭」っていうのね。異世界来てやっとわかるとは。


「ユズキ~~!」


「ユズキちゃ~~~ん!!」


「ユズキ! ユズキ!」


 村の若者らしきお兄様方が必死に声援と投げ銭してる。おお、リアルスパチャだ。「おひねり」って言うんだよね? アナログな異世界らしいなあ。


 あ~~。私は事務所の方針であまりファンの方とふれ合うイベ無かったけど、うれしい反面、警備面が異世界だと心配だな~~。大丈夫かなあの娘?



 後で春さんにその辺訊いとこ。



 ‥‥‥‥と、思って春さんの方を見たら、踊り子の方を見てなんか硬直してた。何? 感動しすぎてるの? どした?






「‥‥‥‥ユズキ‥‥‥‥さん?」


「‥‥‥‥‥‥え?」


「もしや、‥‥‥‥()(づき)さんでは!?」


「は? え? 春さん!?」


「間違い無いわ。多賀、柚月さん」



「それってラポルト16の? 世界に散らばりし、世界を救うための仲間?」


「どうして踊り子なんか? 私てっきり工業的な何かをしてるもの、と」


 と、舞台の袖から見た事ある顔がこちら、客席を覗いていた。かなりこっそりだけど、角度的なアレで見えてしまった。確か――――網代さんと。



 七道さんだ。



 その七道さんが右手を軽く上げ、舞台の上の方に合図をすると、上から紙吹雪みたいのが舞い降りてきた。非常にいい感じで。え~~? 何それ?



 私はラポルトメンバーとは、一応個別に面識がある。まきっち経由で挨拶したりして。


 でもわからなかった! この多賀柚月さんはいつも帽子を深々とかぶっていて、素顔を見たのは今日初めてだったし。



 しかも、となりの春さんもわからなかったという事は、そうとう帽子の深かぶりを徹底してた――という事だね。



 チャララ~~♪


 楽器を持った人が軽快な音楽を奏でていく。


 ひらひら舞うきれいな紙吹雪の中、彼女は踊り続けた。あどけなくもカワイイ踊りを。





 客席で呆然とする私と春さんを置き去りにして。






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