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第8話 「タダでもらった板チョコを不遇女子にあげたら溺愛された件」‥‥って無いわ。普通。どんだけご都合なの‥‥?

※作者はアホです。「誰もやってない事」が大好きです。思いついたら実証したくて止まりません。是非お付き合い頂いて、その暴走の顛末を見届けてくださいませ (≧▽≦)


SF空想科学 にて ベイビーアサルト 第一部を連載中。

そして ハイファンタジー(転生/転移)にて 第二部 ベイビーアサルト・マギアス を同時進行。


第一部での伏線を第二部で回収、またはその逆、もある仕組みです。

両方合わせてお楽しみください。





「ふんふん。それでそれで」


 仲谷春(やよい)さんは意外と食いついてくれていた。普段クールだから意外だ。あ、コッチの人って意外とこういうハナシに飢えてるとか? とか思うのも失礼かな。




 それで、細い道をすれ違う事になったんだけど、ぬっくん――この時はまだ「暖斗(はると)くん」と呼んでたけれど――は、「本日の戦果」のお菓子を両手の袋で持ってたのね。私達はまきっち、あ、岸尾麻妃の事ね、と一緒に3年生から同じクラスなんだけど、そんなに彼と話した事はなくて。私も正直ぬっくんを意識した事はなかった。まあまだ10才だったから、って事にしとこうかな?



「‥‥‥‥あ、どうも‥‥‥‥」

「‥‥‥‥どうも」



 一回そのまますれ違ったんだけど、背中から、ぬっくんの声。



「あのう」


「はい」



「今から行っても、『さかがみ屋』にも、『仲田屋』にももう残って無いよ」


 彼は小さな親切をくれた。もう貰いに行っても配布のお菓子は品切れだと、わざわざ教えてくれた。だけど、それを聞いた私の足が、さらに重たくなった。


「‥‥はあ‥‥やっぱり。うん。教えてくれてありがとう‥‥ゴザイマス」


 親友のまきっちと幼馴染みだという男の子。たまにまきっちが話題にするけど、当時の私は、「男子は威張ってて怖いもの」って認識だった。あ、私の国、絋国ではそれが女子の男子に対する基本認識なんだけどね。仲谷さんも事情は知ってたよね?





 しょうがない。と諦めて帰る事にした。もし今の時間帯でまだ配ってる所があったとしても、それを目ざとく見つけた子達が集まっちゃうんだろな、今から探しても無駄だろうな、なんて考えながら。




「あのう」


 また背後からぬっくんの声がした。やさしい声。



「1個ももらえなかったの?」



 そう、訊かれて。


「‥‥‥‥うん。家の用事を済ませたら出遅れて。今年は諦めるよ」




 半笑いで答えた私の目の前に、差し出された「右手」。




 その手には、見慣れた赤くて四角いパッケージが。




「え!? いいの?」


「‥‥‥‥要らないから」


 そう言い捨てて走り出す少年。私は手渡された物とぬっくんの後ろ姿を交互に見た。




 私の手の中に残ったのは、『テオブロマ』。カカオ豆って意味なんだけど、そのメーカーは商品名にしてたの。彼がくれたのは板チョコ1枚。『テオブロマ ミルク味 50g』。よく見るありきたりな物だったけど、なんだか無性にうれしかったの。帰りの足は軽かったよ。ふわふわした気持ちで家の玄関をくぐって。あ、チョコは両手で握って帰ったから、冬なのに溶けちゃってました。あはははは。「お母さん、こんな事があったよ。聞いて聞いて」って。


それ以来、それ以来ね。私はぬっくんを目で追いかけるようになって――――。




*****




「え!? ちょっと待ってください!?」


 仲谷さんに、私の小説風回想シーンはさえぎられた。


「なに? いいお話でしょ?」



「いえいえ。申し訳ないですが、納得いきません」


 仲谷さんは息巻いていた。私も巻き込むほどに。



「だっておかしいです。たった1枚板チョコもらっただけで好きになったとか。あなたどんだけチョロいんですか。しかもそのチョコだって当日イベントの貰い物じゃあないですか」


「ええ? ダメ? まきっちから聞いてたんだよ。『アイツは男子だけどお菓子好きの甘党だ』って。その甘党男子がわざわざ『要らない』とか言って渡してくるの尊くないですか?」


「でもですよ。だって彼は両手の袋にいっぱいのお菓子を持ってた訳ですよね。それなのに板チョコ1枚って!? それはちょっと狭量では?」


「‥‥当然、当時の私も考えました。ドラマかなんかだったら、『ほらよ?』とか言ってお菓子全部渡してくるかもですよね。‥‥でも考えてみて下さい。それを受け取る私の事を。そんな事されたら重いです。気に病むじゃあないですか。彼は瞬時にそこまで考えてるんです」


「そうだという証拠はあるんですか? 彼がセコくないという?」


「セコ!!?? ‥‥‥‥あ、言いましたね!? ‥‥ぬっくんの悪口だけは許しませんよ。バランスです。彼の家は大家族だから、異母姉妹(おねえさん)同母妹(いろも)にも配る訳です。私が『成果なし』なのを回避して、家族の分も確保する。最適解じゃあありませんか?」


「そのバランスが悪いと言ってるんです。それで惚れてしまうあなたもあなたです。なんですか。感動話みたいな空気感で語っておいて!」


「っ‥‥‥‥バランスが悪い‥‥‥‥つまりぬっくんのやさしさはやさしさではない‥‥‥‥と? け‥‥警告‥‥しましたよね? ぬ、ぬっくんへの悪口は許さない‥‥‥‥って」


「‥‥‥‥先ほどは筋が良いとあなたの剣を褒めましたが。いみじくも姫様をお守りする警護騎士の私が、この世界に来たばかりのあなたに後れを取る事は、まあ、万に1つも」


「‥‥暴力に於いてでは、ですか。げ、下品な発想ですが、あえて付き合いましょうか。あ、大丈夫です。プリンセスガードナーだかなんだか知りませんが、あの辺の目つきの悪い殿方をあなたにけしかけることも。いえ。簡単です。わ、私自身をエサにすれば大抵の男性は‥‥‥‥あはははは」




 なんか普通にケンカになった。






※ いやあ、書き上げたのに投稿忘れてました。はっはっは。


ここまで、この作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!!


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