<第五十三話>エネルギー充填
「結構歩きましたね。そろそろ疲れたのではありませんか?
どうです?もしよかったらここで少し休憩しませんか?」
東山は、軽食が取れる店の前で、笑顔で声を掛けて来た。
「そうですね、そうしましょう。」
静も笑顔で答える。
二人で店の入り口に展示してあるサンプルを見てから注文をしに店の中まで入ろうとした時、
「僕はホットコーヒーを頼もうと思っています。西谷さんは、何を頼まれるのですか?もしよかったら一緒に買ってきますよ。」
と東山が言った。
「私はホットのカフェオレにします。あっ、でも大丈夫ですよ、自分で買いますから。」
静は東山と一緒に注文の列に並ぼうとした。
「飲み物だけですし、僕一人で大丈夫ですよ。
その代わりに、申し訳ないのですが、僕達の席を取って置いて下さい。」
東山がそう答えて、少しだけ空いている座席の方を見ていた。
「あ、はい、分かりました。ちゃんと席を確保しておきますね。
それじゃあ飲み物、よろしくお願いしますね。」
そう言うと静は、空いているテーブルの方へ、先に移動して行った。
「いやぁ、席を取って置いてくれて良かったです。ちょうどギリギリでしたね。」
両手に飲み物を持った東山が、席まで歩いてきた。
「本当ですね。東山さんが気が付いてくれたおかげですね。ありがとうございました。」
席に座った東山に、静は手元に準備していた飲み物の代金を渡そうとした。
「あっ、これ位いいですよ。」
東山は笑顔で答えて、席に座った。
「そんな、駄目ですよ。
そう言えば、動物園の入園チケットの代金もまだ払っていなかったですよね。
一緒に精算しますから、金額を教えてください。」
静が聞いた。
「西谷さんは、真面目な方なんですね。
でも、本当に大丈夫ですよ。せっかくデートにお誘いしたのですから、少し位僕に良い格好をさせて下さい。とは言っても、どちらもそんなに高いものじゃないんですけれどね。」
東山が笑顔で答えた。
「あらっ、そんな…。
それじゃあ、今回は奢っていただきます。どうもありがとうございます。」
(『デート』だって!なんだか聞いたこっちの方が照れちゃうわ。もう東山さんったら、おかしい。)
二人で見て来た動物の感想を話をしながら、楽しく休憩をした。
「良かった。休憩で西谷さんの元気が復活しましたね。」
東山が言った。
(あらっ。…そっか、私に気を遣って休憩をしてくれていたんだ。東山さん、優しい。
ふふっ。でも休憩というより、さっきの東山さんの言葉で元気になっちゃったんだけれどね。)
「はい、元気いっぱいになりましたよ。」
静が笑顔で答えた。




