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<第五十一話> 以前からの知り合い?

 「すみません!」

 1週間後、東山との待ち合わせ場所に行った静に、開口一番東山が頭を深く下げて謝ってきた。


 「一体どうしたんですか、東山さん?

 もしかして、今日の都合が悪くなったのですか?


 あー、それでしたら、こちらの方こそすみませんでした。私が連絡先の交換をお願いし忘れてしまったから、わざわざここまで来て下さったのですよね?


 お忙しいのですから、そのまますっぽかして下さっても良かったのに…。」

 静は、予定があったのにわざわざここまで東山を来させてしまったことが申し訳なくなってしまい、平謝りになっていた。


 「えっ、僕の都合は悪くなっていないですよ。

 それに、今日の約束をとても楽しみにしていましたから、たとえどんな予定が入ろうとしても、そっちを変更しますよ。」

 東山がきょとんとして答えた。



 (いやだわ。遥に連絡先の交換をしなかったことを言われてから、その事を結構反省していて、つい勝手に変な先回りをした答えをしちゃった。恥ずかしい…。)


 「あらっ?それじゃあ、何を謝っていたのですか?」

 静は不思議に思い聞いた。


 「そうそう、すみません!

 実は、西洋美術館、今改装中で休館しているんですよ。


 西谷さんと約束してから、美術館で何の企画展をしているのかな?ってホームページを確認して知ったんです。


 いやぁ、慌てましたよ。

 これは連絡しなきゃって思ったら、今度はその時になって連絡先を教えていただく事を忘れていた事に気が付いて、予定の変更を相談する事も出来なかったし…。


 本当に色々不手際が多くて、すみませんでした。」

 東山がまた頭をペコリと下げて謝ってきた。


 「そんなに謝らないで下さい。全然大丈夫ですよ。それに、東山さんは何も悪くないじゃないですか。


 そもそも美術館が休館している事は、私も知らなかった事ですし…。


 でも、なんだか可笑しいですね。二人とも連絡先の交換をしなかった事に最初は気が付かなくって、でも途中気が付いて、その事を考えていたなんて…。」

 東山も連絡先の交換をしていなかった事に気が付いて慌てた話を聞いて、親近感を覚えて笑っていた。


 「ああ、そうですね。お互いうっかり者でしたね。普通は最初にするものですからね。


 でもなぜかもう知っているような気がしていて、聞くのを忘れてしまったんですよね。」

 東山が答えた。


 「そうそう、私もそうなんです。

 なぜかもう知っていた気になっていたんですよね。私の方こそ、すみませんでした。」


 そして二人で笑いながら、改めて連絡先の交換をした。


 「でも、それじゃあ、今日の予定はどうしましょうね?」

 静が聞いた。


 「はい、一応考えてきました。

 上野と言えば動物園。

 ただし、双子の子パンダちゃん達は、特別な鑑賞券が必要で、もう今日の分の抽選は終わっていました。まぁ、僕はくじ運が無いので、仮に間に合って申し込んだとしても、きっと当たらなかった気がしますが…。


 でも、普通にパンダ以外の動物に会う入園券は購入できたので、準備してきたのですが、どうでしょうか?」


 「あら、素敵ですね。それじゃあ、今日は動物園に行きましょう。

 準備して下さって、どうもありがとうございます。」

 静は、笑顔で答えた。


 こうして、二人の楽しい初デートは始まった。


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