<第四十五話>決戦の後…
「バタンッ!」
玄関の扉が閉まった。
明は振り返る事もなく、出て行ってしまった。
玄関脇に落ちた鍵を拾い上げた時、そこに飾ってあった写真が静の視線に入った。
明の卒業旅行の時に撮った写真だった。
家では飾れないからと、この部屋に越してきた時に初めて飾れた物だった。
幸せそうに笑いながら寄り添う二人…。
明に見せないようにと必死で今まで抑えていた涙が、静の瞳から溢れ出てしまっていた。
付き合って四年。
そう、辛く苦しい事ばかりじゃなかった。
楽しいことも嬉しいことも沢山あった。
…だから今日まで一緒に居られたのだ。
お互いに支え合い、共に生きていきたいと思っていた。
そう思っていたはずだったのに…。
静は、こらえきれなくなった涙に抗う事も無く、ベッドへ向かうと、そのまま泣き続けていた。
翌日、占いが一番だった上に、朝日がとても美しかった。
このダブルラッキーの力でなんとか自分を鼓舞して、静は会社へと向かった。
会社に着くと、化粧で誤魔化しが効かない位腫れてしまった瞼をした顔に、『その腫れぼったい顔、どうした?』と聞かれてしまった。
静は、疲れがそこに出たみたいだと、精一杯の言い訳をしていた。
そして、何もかもを忘れるように仕事に没頭したいと思っていたのだが、やはり心配されてしまい、結局早くに帰されてしまった。
その帰り道…
二人で過ごした思い出がある部屋に、何より昨日明と別れた場所である自分の部屋に、今は帰りたくなかった…。
あの部屋に戻ると、自分の別れようと思った決意が揺らいでしまう気がした…。
静は、家に連絡をして、そのまま家族の元に帰っていった。




