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<第三十七話>妹探偵

 「怒らないで聞いてね。

 明さんがさ、浮気をする人なんじゃないかな?」

 遥が推言してきた。


 「明が浮気って…。えっ!?突然何を言ってくるの?」

 私は思わず聞き返していた。


 「実はね、以前にも考えた事があるのよ『明さん軽い男説』。」


 「ちょっと、遥!?」


 「まぁまぁ、とりあえず聞いて。」

 私の話を静止して、遥は話を続けた。


 「まず、有名な進学校のK大学に在籍していたとは言っても、エスカレーター組で、経済学部希望を落選している。これって、勉強より遊びを優先して来ていたお坊ちゃま達に多い傾向だよね。


 そして在籍していたのは、大学非公認のイベント系テニスサークルで、さらにその幹部。

 新人歓迎コンパで可愛い新入生に声を掛けて、性格も良かったからと、そのまま素早くゲットしてしまう。


 一応ここまでは、単なるもてる男の条件でも通る範囲だけれど、問題なのは、ここからの行動ね。


 遊びの予定は、基本的に自分が立てたものを実行。女性からの予定は何故か流す傾向にある。

 これは、彼女に言えない他の予定がある男が、よく取る行動みたいなのよね。


 そして、彼女の親に会いたがらないし、自分の親にも会わせない。どちらの家にも近づかない。


 自分が分からない彼女の行動を考察する時に、浮気を考えたという事は、自分がそういう行動をしていたから、ついそう思ってしまった。


 まあ、純粋培養された人間のお姉ちゃんの話に、当然嘘偽りが無かったことがあっさり分かって、反省したっていうのが、昨日の最後の落ち込んだ状況なのかしら?なんて聞いていて思ったのよね。」


 「ちょっと『純粋培養』ってもしかして私の事、何にも気が付かないおバカさんのように思っているの?」


 「ううん、思っていないよ。だってお姉ちゃん頭は良いもん。

 ただね、他人を信頼し過ぎるんだよね。特に明さんは初めての彼氏さんだからね。

 まるで、ひな鳥が生まれて初めて見た生き物をお母さんと思って一心不乱について行くように、もうすっかり明崇拝をしているでしょ。」


 「そんなお人好しじゃないよ。ちゃんと明に怒る事だってあったよ。」


 「それって、お姉ちゃんがちゃんと納得するまで、本当に話し合っていた?

 お姉ちゃんがわざと気が付かないフリをして、結局明さんの考えに無理をしてでも合わせていただけなんじゃないの?」


 遥の最後の言葉が、私の心に突き刺さった。



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