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<第二十九話> 変 化

 交通事故に遭いそうになった日から、瞬く間に三ケ月の月日が流れて行った。


 異動先に着任してからの仕事は、やはり格段に忙しくなっていた。

 当初は、事故に遭ってしまった私の身体を気遣って、早めに帰してくれていた(とは言っても、庶務にいた時と同じ位の時間までは、普通に残業はあったのだけれど…)。


 しかし、一週間経った頃から、少しずつ仕事の量が増えて行った。


 今までは未経験だったのだが、残業時間になってから始まる打ち合わせも、普通に予定に入って来るようになり、自分の中の勤務時間の既成概念が、また変わっていった。


 今まで以上に会社にいる時間が長くなると、

自然に何処かの時間を削らなければ、毎日の生活は過ごせなくなっていた。


 そして気が付くと、明と過ごす時間が少なくなってきていた。


 平日、仕事が終わってから帰宅し、明の終電までの数時間を、部屋で一緒に過ごしていた。

 だが、自分が終電近くまで仕事をするようになってしまうと、明の望む日に数時間を捻出するのが、難しくなってしまったからだった。


 そして、平日に明と会えない日々を過ごしていると、

 『どうして私は、一人ぼっちで住む家に、毎日帰ってきているのだろう?』

 という疑問が浮かんできてしまっていた。


 そんな時に助けてくれたのが、病院での母の言葉だった。


 (今日は、家まで帰ろう!)

 そう決めると、仕事をもうひと頑張り出来るようになっていた。


 母に連絡を入れ、『終電より少しは早く帰るから』と伝えると、それを励みに仕事をこなしていた。


 そして、金曜日の夜に自宅に帰る事は、いまや最大の喜びになっていた。

 そう、土曜日に朝寝坊をして、起きると家族がいるからだ。

 明と約束のある日は、家から出かける。でもそうじゃない日は、週末をゆっくり自宅で家族と過ごす事が出来るのだ。


 そんな幸せな週末の過ごし方を見つけてしまうと、自然と自分から、明に週末の予定を聞かなくなってしまっていた。


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