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<第二十二話> 愛 情

 「そうねぇ。なんだか合っているような、間違っているような回答ね。


 あのね、親から子供への愛、つまりあなた達への愛には見返りの要求が無いの。

 親バカって言葉があるじゃない。簡単に言うとそういう感じ。

元気に幸せに育ってくれている姿が見たいだけなの。それだけで惜しみない愛を注ぐ事が出来るのよね。


 でもね、パパは違うのよ。あなた達と同じように愛情を注ぐ対象なんだけれどね、それだけじゃないの。

パパの存在はね、私の精神的な支えになっているの。

だから、それは自分には大きな見返りなんじゃないかって考えているんだよね。


 パパはね、とても尊敬できる、そして信頼している最も身近で大切な存在なんだよね。」

 母が落ち着いた優しい声で、そう話してくれた。


 「そうなんだ。好きって気持ちに違いなんてあるんだね。そんな風に深く考えた事、無かったな。」

 私はしみじみ答えた。


 「お母さんもね、こんな風にじっくり考えたのって、実は数年前の事なのよ。


 さっき静が異動の話をしたのを聞いていて、その事を思い出したの。」


 「お母さんが愛について深く考えるような事が、数年前に何か起きたの?」

 私は、驚いて聞いていた


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