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<第二十話> 説  明

 私は、母に自分の不注意で赤信号の交差点に入ってしまった事と動けなくなった自分が助けられた事を話した。


 「考え事をしていてって…。

 静、そんな周りの状況に目がいかなくなる位、一体何を悩んでいたの?」

 母が心配そうに聞いてきた。


 (どうしよう…。明とケンカした事を悩んでいたって話したら、お母さんには、どう思われちゃうのかな?)


 「あのね、私昨日人事異動を言われて、その話を明としていたら、ちょっとケンカみたいになっちゃったんだ。

 でもね、彼とケンカをした事なんて無かったから、どうしてケンカになったんだろう?ってあれこれ考え込んでいたんだ…。」

 まだ自分でも答えが見つかっていない悩みだったが、母に話し始めた。


 「静、明さんと一緒にいたの?さっき一人で歩いていたって言わなかった?」


 「…あっ!?うん、ごめん。事故に遭う前に一緒にいたの。

 彼、部屋に来ていたんだ。一緒に晩ごはんを食べていたんだけれど、ケンカになって、私が部屋を飛び 出しちゃったの。」


 「あらっ、その後、追いかけて来てくれなかったの?

 明さんって意外に冷たい人なのね。

 ちゃんとすぐに、『ごめん、静!僕が悪かった!』って追いかけてきて欲しかったよね。」


 「えっ!?お母さん何言っているの?」

 母の反応に少しビックリしていた。


 「何って、明さんの事よ。

 すぐに追いかけてきて静と仲直りしてくれていたら、静がそんなに悩むことも無かっただろうし、昨日事故に遭う事もなかった訳じゃない。


 そもそも、こんな優しいうちの静ちゃんをそんなに深く悩ませるなんて、お母さんからしたら、それだけで明さんは十分重罪だよね。」

 話の最後の方は、母は少し茶化した顔をしながら答えていた。


 「お母さん話が飛躍している。私の不注意の事故が、いつのまにか明のせいになっているじゃない。」

 母の変化球の返答に、私も修正を入れながら、明るく答えた。


 「実はね、そんなに飛躍した話をした訳ではないのよ。

 静、あなたお母さんに明さんの事を悪く思われたくなかったから、最初に事故の話をする時、彼の事を言わないで話をしたんじゃない?」

 母は私がドキッとする質問をしてきた。


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